修理に出ていた車が久しぶりに帰ってきたので、車で行ける山を目指しました。天城山は、昔一度挑戦して敗退してしまった山です。その時はバスで行って天城峠までの縦走を試みたのですが、かないませんでした。理由は..二日酔い(^^;;;。
今回は、より一般的な車利用の周遊コースですが、美しい森の姿は思った以上に素晴らしいものでした。
天気は下り坂に向かっているということもあり、なるべく早くスタートしようと、久しぶりに前夜に出発しました。途中、小田原厚木道路の小田原PAで仮眠し、5時に起きだして、登山口へと向かいます。曲がりくねった国道を忠実に辿り、熱海を抜ける頃には空も白み始めました。伊東を過ぎてから山の方へと向かい、天城高原が近くなると遠笠山方面チェーン装着の看板がでてきます。そしてついに駐車場まであと少しというところの僅かな区間が積雪で進めなくなりました。そのまま置いていくにもしのびないので、チェーンを着けて駐車場まで登って行きました。
さて、準備を整え登山口に向かいます。よく整備された道ですが、今日は雪に埋もれています。ゆったりとアップダウンしながら行くと間もなく万二郎岳の登り口になる三叉路で、万二郎岳と万三郎岳と、どちらから先に登るか迷っていましたが、登りが楽でかつ長く楽しめそうなので、先に万二郎に向かうことにしました。
分岐からもゆったりした登りがしばらく続きます。そしてだんだん日が高くなり、明るい日差しが森の中に差し込むようになってきました。今日も天気が良さそうです。アセビやヒメシャラのある道をしばらく行くと、やがて傾斜が増してきます。しかし、急登にはなら無いため、すいすい行ける歩きやすい道です。前回来た時は相当苦しみましたが、今日は全く嘘のように登って行けました。途中右側が開けているところがあり、ここから富士山を見ることができます。ちょっと水蒸気が多めかもしれませんが、それでもきれいに見えていました。
やがて傾斜が無くなり、山頂の一角に出ます。ここを右に曲がればすぐに万二郎岳の標識のある山頂ですが、ここは特に特徴がある場所ではありません。少し下ったところに展望のある岩場があるので、そのまま通過し急斜面を下っていきます。前回来たときは、この岩場からカメラのキャップを落としてしまいましたので、よく覚えているのです。今日はその岩の上に立つと、万三郎岳に向けての稜線が正面にきれいに見えました。そして富士山もよく見えて、ここはこの縦走路中の数少ない、いい展望地なのでした。
展望地から鞍部に降り立ち、下った分だけ頑張って登れば1325峰です。この山頂部はゆったりとして長く、全体がアセビのトンネルになっており、複雑に絡み合った様な面白い樹林帯がしばらく続きます。これだけあると、花の時期はかなりの迫力だろうと思いました。
1325峰を過ぎると、いよいよ万三郎岳への登りとなります。鞍部への下りで、この分だと、着けても損はないだろうと、アイゼンを着けました。しかし、意外と湿雪で、よくダンゴになってしまう感じでした。万三郎岳への登りは2段になっています。鞍部から1段あがると、素晴らしいブナ林になりました。天城山というとヒメシャラやアセビのイメージが強かったのですが、今の時期一番見応えがあるのは、このブナ林かもしれません。木の幹の様子がとても美しく、芸術的でさえ有ります。思わず、たくさんの写真をとってしまいました。
山頂への最後の登りでは、霧氷フレークが地面に多く積もっていました。今日は気温が高く、全く影も形もないのですが、きっと数日前に霧氷が見られたのではないかと思われます。早朝登ってくると、そういった楽しみも有りそうです。
山頂は展望が無いとガイドブックには書かれていますが、富士山の方向が刈り開かれて、正面に見ることができます。南から見た富士山は黒い地面が見えているところも多いのですが、さすがに近いだけあっていい展望でした。そしてその向こうには白銀の南アルプスが、長く横たわっていました。
山頂からは北に下って行きます。このあたりも立派な大木のあるブナ林が続きます。しかし、かなりの急斜面なので、木や岩に捕まりつつ、アイゼンの力をフルに発揮しながら降りて行きました。森を楽しみながらいくと、やがて涸沢十字路です。ここから道は北面の巻道となりますが、しばらくは緩やかな下りが続きます。万三郎岳の北面を歩いているうちは傾斜も急でブナが多くあるようです。しかし、そのうち雪も少なくなり、雪の下に隠れた石や岩に、たびたびアイゼンをとられるようになったので、途中で外すこととしました。
巻道が1325峰の領域に入るとゆったりした道になってきます。涸沢十字路からずいぶん歩いてきたなと思う頃、ヒメシャラの群落が現れました。今までヒメシャラは結構単発で出現していたのですが、群落となった赤い幹は壮観でした。
道はこのあたりから緩やかなアップダウンを繰り返すようになります。それほど変化の無い道ですので、だんだん距離を長く感じるようになってきました。やがて立派な標識のある、菅引の分岐を過ぎると間もなく万二郎岳への登山口で、あとはどちらかと言えば登り基調で、朝歩いた道を駐車場へと戻りました。いつのまにか空は一様に雲に覆われており、まさに天気予報通りなのでした。
天城山はシャクナゲが有名で、花の時期は大変なにぎわいとなるようですが、今は静かな山でした。さすがに冬のシャクナゲは生彩が無いのですが、その分ブナ林が美しい風景を見せてくれました。期待以上に素晴らしい森を楽しんだ一日でした。
帰路は、中伊豆荘の万天の湯に立ち寄りましたが、この風呂は正面に本物の富士山を見て入ることができてなかなか感動ものでした。
万三郎岳山頂
参考図書・地図 | その他のコース |
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東京付近の山 実業之日本社 分県ガイド 静岡県の山 25000図 天城山 50000図 伊東 |
・万三郎岳からさらに天城峠へと縦走路があります ・涸沢分岐点へは地蔵堂からの登り道があります |