神山

 神山 1,437.7m 冠ヶ岳 1,409m 駒ヶ岳 1,356m
 山域:箱根

記録
 山行日1999年7月11日(日)
 ルート駒ヶ岳山頂駅→神山→冠ヶ岳→大涌谷
 コースタイム1025 駒ヶ岳山頂駅 → 1045 坊ヶ沢鞍部 → 1115 神山 → 1125 冠ヶ岳 → 1205 大涌谷
 天候

箱根の神山は複式火山の箱根山の中央火口丘にある最高峰で、あまりにも観光地のイメージが強く、登山となるとどうも対象として浮かんで来ない山である。しかし、この名山と讃えられる箱根の最高峰に一度はと考えていたが、山行の間が空いてハードな山はちょっとという心境だったので丁度いいと、お手軽な気分で向かった。

小雨の中、天気回復という天気予報を信じて電車に乗る。しかし、道中降ったりやんだりで、結局湯本でも小雨であった。湯本駅前から乗った伊豆箱根バスは1号線を進み、やがて傾斜の急な道を登って駒ヶ岳のケーブルカーの駅に向かう。雨は標高とともに強くなってくるようで、なんとも恨めしい。ケーブルカーの駅は駅員2名だけで、あとは誰もいない。乗り込む時、ホームのわずかな距離を歩いただけで、強い風雨にみまわれ、淡い期待も完全に捨て去り、一人しかいない車内で早々と雨具を着込んで準備をした。
山頂へはわずか5分で着く。そこは、観光客がたくさんいて、広大な笹原の緑が青空と作るコントラストが美しく、また、土産物屋のかけ声が観光客相手の商売のたくましさを物語っている....という光景のはずだが、硝子戸に打ち付ける雨の音があるばかり。駅員もなにも、人っ子一人いない。すでに準備は整っていたので、ガラガラと虚ろに響く硝子戸を空けて思い切って、真っ白な風雨の中へ出発した。
遊歩道を歩くと駒ヶ岳山頂直下に建つ箱根元宮神社に出る。神社の横が広々とした駒ヶ岳の頂上で、晴れた日は広々とした笹原なので、展望も良く素晴らしいところだろうと思う。笹の中の道を神山の方に緩やかに下って行く。やがて樹林帯に入り、右に折れて浸食でかなり掘れてしまった登山道を急下降するようになる。急下降のあと、山腹を巻くように左に折れ、さらに神山の方に向けて右に折れて、広々とした明るい鞍部に出た。そして少し樹林の中に入ったところが坊ヶ沢分岐の四辻であった。
ここからやっと登りとなる。温暖な気候の樹林の中で、雰囲気は奥多摩などとは異なり、低く根元から分かれる木が多い。視界の無い雨の樹林の中をもくもくと登ると、気温はそう高くないにもかかわらず、汗ばんでくる。やがて廻りに高い所が無くなってきたなと思うと、頂上であった。樹林に囲まれた小さな平地で一等三角点が片隅にある。ここは、別に今日のような天候でなくても展望は無い。神山から少し下ると、冠ヶ岳の分岐となり、冠ヶ岳山頂に向かう。入り口に鳥居、途中に立派な祠がある。山頂は木の高さはそう高くないので、普通は展望があるらしい。途中の登りはやせ尾根状で、山頂の説明板によると、烏帽子状のピークなので冠ヶ岳の名があるとのこと。なんとなく納得した。
冠ヶ岳からは大涌谷に下るのみ。だんだん風にのって硫黄のにおいが強くなってくる。早雲山への分岐を見送りしばらく下ると、右側が開けてきてさらに硫黄の臭いが濃くなってくる。晴れた日は大涌谷の荒涼とした風景が広がっているのであろう。道の右側の木々は、火山ガスの影響で黒く枯れてしまっている。遊歩道の近くまで下ったころ、道を横切る流れが泥水のわりには白っぽく、上の方に源泉の看板があったので、もしやと思っておそるおそる手を入れてみたら、ちょうどいい湯加減で、手だけ長々と温泉の浸かってしまったのであった。そして程なく遊歩道に出て、観光客で賑わう大涌谷の売店で、名物黒玉子を買って小田原行きのバスを待った。

わずか、1時間40分の散策コースであり、神山自体には観光客はあまり入らないので、晴れの日でも静かな山が楽しめると思う。箱根は1400mを越す、裾野の広い大きな山なのだが、ちょうど東海道上にあるため、古くから人々の挑戦を受け続け、国道1号線も標高850mくらいのところを通っているというようなことになっており、あまりにアクセスの良すぎる山となってしまっている。このコースだととても歩き足りないという時は、早雲山駅から登るともう少し本格的な登りが楽しめるかもしれない。


参考図書・地図
ブルーガイド 東京付近の山(1998年第1刷)
25000図 箱根
50000図 小田原

静かな神山山頂
その他のコース
・早雲山駅〜大涌谷分岐〜神山
・早雲山駅〜坊ヶ沢鞍部〜神山・駒ヶ岳
・坊ヶ沢〜鞍部〜神山・駒ヶ岳
交通機関
小田原・箱根湯本駅より箱根園行き終点下車・駒ヶ岳ロープウェイ乗換
大涌谷へは、小田原・箱根湯本駅より湖尻経由箱根園行き、大涌谷下車
詳細は、伊豆箱根鉄道グループにてご確認下さい。

本文中にあります、ケーブルカーは2005年に廃止となり、現在ではロープウェイのみが交通手段となります。


Nifty FYAMA 投稿文

箱根・駒ヶ岳〜神山〜大涌谷

雨などにより、2週続けて週末は出かけられなかったのですが、天気予報もそれほど悪そうではなかったので、久しぶりに、気軽に行ける所ということで箱根に行きました。何を隠そう私は箱根の中央火口周辺は行ったことが無く、関東にいて、それもまずいなぁと思っていたところです。しかし意に反してよく降りました。

【日 程】99年7月11日(日)
【目 的】日本三百名山であり、関東百山でもあり、全国に名をとどろかせる、
     天下の嶮を歩く
【天 候】雨
【コース】1025 駒ヶ岳山頂駅 → 1045 坊ヶ沢鞍部 → 1115 神山 →
     1125 冠ヶ岳 → 1205 大涌谷
【山 名】神山 1,438m 冠ヶ岳 駒ヶ岳 1,357m
【メンバー 】単独
【山 域】箱根
【参考書】東京付近の山(実業之日本社)
朝、小雨の中を駅に向かい、天気回復、しかも静岡の方は晴れ間も?という天気予報を信じて電車に乗る。しかし、横浜あたりでは結構な降りようで、やっと小田原近くなって明かりが見えてきたと思ったら、湯本でまた小雨になった。湯本駅で、しきりにバスの切符はここで買えと言っているので、駒ヶ岳と言ったら、それは他社なのでありませんとのこと。湯本駅は箱根登山鉄道のものしか売っていない。したがって、駒ヶ岳とか大涌谷とかの西武系の伊豆箱根鉄道の運行しているバスは、小田急の箱根の切符では乗ることができない。
バスは1号線を進み、やがて山をどんどん登って行って駒ヶ岳のケーブルカーの駅に向かう。終始雨は降っていて、標高が上がるごとにだんだん強くなって行くようだ。
ケーブルカーの駅は駅員2名だけで、あとは誰もいない。すぐに発車するとのことで、ケーブルカーに乗り込んだが、ホームのわずかな距離を歩く時に強風と強い雨にやられてしまい、淡い期待も完全に捨て去り、一人しかいない車内で早々と雨具を着込んで万全の体制を作ってしまった。
山頂駅はわずか5分で着く。そこは、観光客がたくさんいて、広大な笹原の緑が青空と作るコントラストが美しく、また、土産物屋のかけ声が観光客相手の商売のたくましさを物語っている..という光景のはずだが、硝子戸に打ち付ける雨の音があるばかり、駅員もなにも、人っ子一人いない。すでに雨具を着込んでいるので、ガラガラと硝子戸を空けて思い切って風雨が激しく、真っ白な外に出た。
駅から遊歩道を歩くと駒ヶ岳山頂直下に建つ箱根神社に出る。神社はアルミサッシの戸が締まっていて、本日は終了しましたと張り紙がしてあるが、中で神主さんが、何かやっている。神社の横が駒ヶ岳の頂上で、広いスペースに切り出した石をいろいろ置いてある。晴れた日は広々として素晴らしいところだろうと思う。笹の中の道を神山の方に向けて下って行く。やがて右に折れて樹林の中を急下降するようになる。登山道が浸食でかなり掘れてしまっていた。ひとしきり下ったあとは、駒ヶ岳の山腹を巻くように左に折れ、さらに神山の方に向けて右に折れていくと広々とした明るい鞍部に出た。そして少し樹林の中に入ったところが坊ヶ沢への分岐になる四つ辻であった。
ここからやっと初めての登りである。温暖な気候の樹林の中で、雰囲気は天城山に似ているが、あちらの方がもっと本格的ではある。たまに大きな蛙が飛ぶので、少々驚く。特に視界もなく、雨の樹林の中をもくもくと登ると、気温は低いにもかかわらず、湿っぽいので汗が流れてきた。なんとなく、廻りに高い場所が無くなったなと思うと、頂上でだった。樹林に囲まれた小さな平地で一等三角点が片隅にあった。ここは、今日で無くても展望は無い。
神山から少し下ると、冠ヶ岳の分岐となり、約5分ということで、冠ヶ岳山頂に向かう。入り口に鳥居、途中に立派な祠がある。山頂は木の高さはそう高くないので、展望はある..らしい..途中の登りはやせ尾根状で、山頂の説明板によると、烏帽子状のピークなので冠ヶ岳の名があるとのこと。なんとなく納得した。
冠ヶ岳からは大涌谷に下るのみ。だんだん風にのって硫黄のにおいが強くなってくる。水たまりなんかもあるが、今日は布の靴で、沢歩きの感覚でどんどん水の中もピチャピチャとすすむ。暖かい雨の日は皮の靴はだめである。水と戦ってはいけないのだ....右側が開けてきて、さらに硫黄の臭いが濃くなってくる。といっても真っ白で、荒涼とした風景はなにも見えない。道の右側の木々は、火山ガスの影響で黒く枯れている。すぐそこからは観光客の声や、施設の放送など聞こえてきたが、実物は霧で見えてこない。途中、道を横切って小沢が流れていたが、泥水のわりには白っぽく、上の方に源泉の看板があったので、もしやと思っておそるおそる手を入れてみたら、ちょうどいい湯加減で手だけ長々と温泉の浸かってしまったのであった。そして程なく遊歩道に出て、観光客で賑わう大涌谷の売店で、黒玉子を買って小田原行きのバスを待った。



わずか、1時間40分の散策コースです。しかし観光地となっているのは両端だけで、神山は静かな山でした。途中駒ヶ岳山頂のあたりで、2人の傘をさした人に出会っただけでした。標高は1400Mを越える山ですが、山の位置がちょうど東海道上にあるので、国道1号線さえも、標高850mくらいのところを通っており、山上をたくさんの道路が張り巡らしているということになっています。神山には早雲山駅から登るともう少し本格的な登りが楽しめるかもしれません。