医王山

 白兀山 896m 奥医王山 939.1m
山域:白山山地
2002.9.14.



今週もたまたま金曜日に出張でしたので、その翌日旅の山にでかけました。今回は、ホテルの予約からバスの時間の調査から、すべてが用意周到な、私にしては珍しいハイキングです。山の方はというと、さすがに確実に秋に向かっているようでした。

今回は金曜日に福井の方に出張があったので、敦賀の方にしようか、白山周辺にしようかといろいろ迷いましたが、交通の便が良く手頃なコースということで医王山を選びました。早々に金沢に宿を確保し、前日のどうなることか?と思うような暴風雨と、その後の懇親会という関門をなんとかクリアして、金沢行きの雷鳥の中でハイキングスタイルに早変わりしたのでした。
金沢に着くと、山に必要なもの以外はコインロッカーに押し込みます。朝は駅に立ち寄らないので、コインロッカーが2日分かかるのも、今回はあえて目をつぶりましょう。金沢に泊まるのは高校1年の時の修学旅行以来となり、また、1日の自由時間を過ごしたという思い出の町でもあるのでした。
医王山登山口へのバスは、朝の1本だけは駅からではなく、兼六園下が始発になっています。これに乗るべくホテルを早朝出発し、まだ人通りの少ない町並みを歩いていきます。市内はなんとなく時代が少し戻ったような雰囲気で、懐かしい感じに景観が保たれているような気がします。兼六園下からのバスは私1名を乗せて出発しました。このバスには結局途中で1名乗ってきただけでした。

終点のスポーツセンターから少し歩くと見上峠の登山口に出ます。どちらかというと遊歩道的な道を想像していたのですが、暗い樹林の中の山道になりました。道は昨日の雨のために、かなり湿っぽくなっています。また、まだ青くはありますが、どんぐりが良く落ちているのも、もう秋近しというところでしょうか。
掘れて溝状になったところの多い道をしばらく進むと医王の里キャンプ場へと出ます。オートキャンプ場の中の舗装された道をまっすぐ突っ切っていくと、やがて木のチップを敷き詰めた遊歩道となり、池を見下ろしつつ回り込むと林道を横切りました。その先から再び階段を上って山道へと入ります。ずっと道は湿っぽいままですが、それに輪をかけて不快なのは、おびただしいジョロウグモの巣です。何度か引っかかったので、大きな枝を見つけて行く手をワイパーのように払いながら進まなければいけませんでした。
途中、工事中の箇所があって一旦迂回がありますが、それほど急坂になるわけでも無く、淡々と樹林の中を行くと西尾平に出ます。ここにも駐車場があり、大池平への道が分岐していきます。再び樹林の中の草がかぶり気味な道を、ゆるやかにアップダウンしながら行くと、しがらくびです。ここにも駐車場があり、医王山にマイカーで来た場合はここがスタートとなります。
しがらくびからは、坂も急になってやっと本格的に登り始めます。歩く人も多くなるのか道も少し広くなりますが、なんと言っても助かったのは、蜘蛛の巣から解放されたことです。ちょっと標高が上がったからでしょう。
だんだんと高度を上げていくと、溝にガラガラと小石が詰まったような感じで歩きづらくなりますが、そのうちに岩が露出するようになると、木が低くなって、金沢市街から日本海の展望が広がります。ここは小兀の直下にあたり、すぐ先から大池平からの道が合流します。そして、分岐からひと登りで、白兀山山頂に到着しました。
白兀山が一般的に医王山山頂とされるようですが、そこには立派な祠と展望台、ベンチがあります。とりあえず展望台に上ってみました。曇り空ではありますが、対面の奥医王山や周囲の山々、そして金沢市街がよく見えます。しかし、立山や白山などは残念ながら雲の中に入って見ることはできませんでした。青空の下で有ればそれは闊達な展望が広がることだろうと思いました。

さて、バスの時間が気になるので、先へと進みます。少し下って登り返すと大ザラと言われる展望のいい明るい斜面を通過し、ダオ山へと進みます。このあたりの樹林はなかなかきれいで、ブナの群落などもありました。そして、階段の道を一気に下ると、林道に降り立ちました。このあたりはスキー場の上部にあたり、さらに林道を少し下ったところが、奥医王山への登り口にあたる夕霧峠でした。
夕霧峠からは階段の一気の急登になります。そして一息つくところが見返りの大杉で、医王山が背後に大きく見えます。杉自体は折れてしまったのか、かなり低くなっているようです。さらに階段を登りきって、少し下ったところに龍神池の看板がありました。小道にそれてみると、なるほどそれらしい小さな池があり、妖しい感じを醸し出していました。稜線に戻ってそれほど急でも無くなった道を上り下りしていくと、一等三角点のある、奥医王山の山頂です。ここにも展望台とベンチがありました。そして山頂の南側にトタン屋根で覆われた白山医王大権現の祠がありました。さらに行けば小さな池などもあるとのことですが、残念ながら割愛してしまいました。展望台に登ると、先ほどより少し雲が上がって、北アルプスの方向にギザギザの稜線が見えました、きっと剣の稜線でしょう。なんとなく懐かしい感じがしました。

下山は栃原へと下ります。緩やかな尾根を少し下ったところで、菱池へと下る尾根を分け、急な階段を下ります。道はやがてワ谷源頭の流れの中を行くようになり、時々右岸に上がりつつも、もっぱら歩きにくい苔むした谷底歩きです。道は一度左岸に上がり、一本左の小沢に降り立ったあと、再び先の流れに合流します。しばらく谷を下ると、やっと右岸の林の中に入り、樹林帯をしばらく下ります。そして、この期に及んでなんでこんな登りが..。と思う僅かですが急な坂を登り、少し進んだところが展望台で、白山方面の山々を見ることができます。もちろん晴れていればです。
展望台から先、オージャラと言われる緩やかな場所を行くと、再び谷のような溝の底に入ります。少し下った標識のあるところで、道は三叉路状になって右に折れていきますが、ガイドブックには直進して遭難することが多いとあります。たしかに、ついつい直進しやすい感じで、道標もちょっと解りづらいものでした。
ここから先は里山歩きという風情で、雑木林の中の歩きやすい道が続きますが、俄然蜘蛛の巣が多くなりました。普通は下山中は誰かしら登ってくる人がいるはずなので、蜘蛛に悩まされることはそうないのですが、今日は誰も登っていないようです。今まで途中あった人と言えば、夕霧峠の先ですれ違った1人だけなのです。登りよりも遥かに多いジョロウグモの巣を、木の枝で払いながら進みます。蜘蛛は暗いところと明るいところの境目い巣を掛けるので、木々の切れ目は要注意です。蜘蛛の姿を見て蜘蛛の巣がわかるという感じなので、明暗の境の糸はなかなか目に入らないのでした。
蜘蛛の巣を払いつつ下っていくと、途中にとてつもなく大きなホウの木がありました。3抱えくらいありそうな木の幹は何年そこにたっているのでしょう。やがて植林も多くなってくると、未舗装の車道に降り立ちます。これを下ればすぐ栃原ですが、廃村には廃墟が並んでいるものと思っていると、そういった面影は無く、いくつかの建物を建設中でした。ここでは工事の人が連れているのか、犬が吠えて追いかけてくるのには閉口しました。
芝原への道は舗装工事中で、途中からコンクリートの道に変わりました。蝉の鳴く道を下っていくうちに、あたりは随分明るくなり、青空も見えてくると、ちょっと肌寒かった山頂が嘘のように暑くなってきました。そして、浅野川に沿った広い道に降り立ったあたりに温泉があり、バスの時価まで多少時間があったので、思わず立ち寄ってしまいました。そしてあとは汗をかかないようにと、ゆっくり芝原のバス停に向かったのでした。

本文中の写真

  • 白兀山山頂
  • 白兀山から見る奥医王山
  • 見返りの大杉付近からの白兀山
  • 奥医王山の白山医王大権現
  • 栃原登山道のホウの木の巨木




  • 記録

    日 程

    2002年9月14日(土)

    天 候

    曇り のち 晴れ

    コース

    0710 医王山スポーツセンター → 0715/20 見上峠 → 0740 医王の里 → 0810 西尾平 → 0828/30 しがらくび → 0850 小兀下 → 0855/0905 白兀山 → 0930 夕霧峠 → 0940 龍神池 → 0950/1005 奥医王山 → 1033/36 展望台 → 1120 登山口 → 1125 栃尾 → 1200/35 湯楽 → 1250 芝原バス停

    静寂の中の龍神池


    参考図書・地図 その他のコース
    アルペンガイド 白山と北陸の山
    25000図 福光 湯涌
    50000図 城端 下梨
    白兀山
    ・大池平より、ナカオ新道経由白兀山
    ・大池平より、覗乗越経由白兀山
    奥医王山
    ・横谷峠より奥医王山
    ・菱池より小原尾根・奥医王山
    「夕霧峠」や「しがらくび」を車道が通っているため、マイカー利用の場合、かなり行程が短縮されます。
    バス
    金沢駅より、医王山スポーツセンター行き
     土・休日の時刻です
     金沢発  6:35(兼六園下始発) 7:50 13:40(香林坊始発) 15:50(香林坊始発)
     医王山発 7:21 8:52 14:32(香林坊行き) 16:46
    金沢駅より、湯涌温泉行き(芝原経由)
     土・休日の時刻です
     金沢発  7:20 8:10 9:10 10:00 11:00 12:00 以下 ほぼ1時間毎)
     湯涌発  ....10:00 11:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00....
       (湯涌〜芝原 約3分)  北鉄テレホンサービスセンター 076-237-5115
    時刻表詳細は、北陸鉄道ホームページを参照下さい。

    温泉
     栃尾より下ったところに、浅の川温泉「湯楽」があります。
     料金 350円
     露天・ジャグジー・サウナ有り
     ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉
     弱アルカリ性低調性高温泉
     石鹸・シャンプーの備え付けはないので、別途必要