摩周岳(カムイヌプリ)

 摩周岳 857m
 山域:道東

記録
 山行日2014年8月8日(金)
 ルート第一展望台登山口→西別岳分岐→摩周岳(往復)
 コースタイム1103 第一展望台登山口 → 1155 P683.2 → 1241 西別岳分岐 → 1320/32 摩周岳 → 1407/17 西別岳分岐 → 1549 登山口
 天候

マイレージが溜まったので、今年の夏は北海道の山なのです。北海道の山には登ったことがありません。敢えて言えば小樽の天狗山にロープウェイで登ったくらい。そもそも北海道に来ること自体がかなり久しぶりである訳ですから。今回は早朝の飛行機で女満別空港に到着し、まずは小手調べということで摩周岳を目指しました。

女満別空港で借りたレンタカーを走らせて、摩周湖へと向います。久しぶりの北海道の道は広々として、車もほとんど走っていない様子で、でも意外とアップダウンがあります。途中、藻琴山の登山口を2つ見つけました。ノーマークだったのでどんな山なのか気になります。
藻琴山を越えていくあたりは、眼下に屈斜路湖が見えてきて、景色の大変美しいところであるはずなのですが、今日は雲に閉じ込められた感じで、時々雨もパラパラと落ちてくる状況なのです。この週末は西日本を大型の台風が通過する見込み、その余波もあるのか、北海道も天気予報はずっと悪くなっています。ちょっと残念です。
硫黄山が噴煙をあげる川湯温泉のあたりから摩周湖への道に入りました。山腹の高度を上げるごとにガスが深くなってしまい。湖岸の道路に出た時にはすっかり白いだけの風景となってしまいました。霧の摩周湖といいますが、これでは雨雲の中の摩周湖です。青空だと美しい風景と思うと残念。摩周湖の南西岸に位置する第一展望台に登山者用の駐車場もあり、小雨の中ではありますが、出発準備を整えました。
雨とはいえ、初めての北海道の山なので期待は自然と高まります。山頂までの道は摩周湖の縁を三分の一周ほど周回する形になり、カルデラの外縁を歩くわけですから、登りばかりとは限りません。まずは緩やかな下りで始まります。湖岸を歩くのですが、湖の上はガスが取れていてある程度見渡せます。周りは白やピンクの花が咲き、本州では見ない風景になにもかも目新しく、楽しくなります。特に印象に残ったのは、あちこちに咲く白いアジサイと、やたら大きくなるアキタブキでしょうか。
ガスの向こうに見え隠れする山頂の方を見やりながら下っていき、標識のある最低鞍部から緩やかなダケカンバの林の中の登りになります。道の脇に笹が茂る、緩やかですがしっかりとした登りをひと時楽しみます。これを登りきると683.2mの地点で、展望台から3.1kmの標識がありました。
ここから、西別岳分岐までは緩やかな草原のアップダウンが続いて、大変気持のいい道でした。小雨が降り続いていますが、視界はある程度あり、摩周湖や摩周岳、西別岳なども眺められて、大変開放的な雰囲気が続きました。アップダウンも50mの範囲内で、気になるほどではありませんでした。花はいろいろとありましたが、中でもトウゲブキの花は大味なイメージがありますが、笹原の中に咲き乱れている風景は広大な草原によくマッチして、目を楽しませてくれました。
西別岳の端整な三角錐が近づいてくると、やがて西別岳との分岐となり、ここを摩周岳方面に進みます。しばらく緩やかな樹下の道を進み、やがて傾斜がどんどん急になってきます。傾斜が立ち上がるあたりは、火口壁の縁を通りますが、程なく右の斜面に回りこみ、つづら折の急登で樹林の中を登って行くようになります。最後に樹林帯から出ると、風が通るのでぐっと涼しくなり、山頂に登りつきました。
山頂からは眼下に摩周湖が見下ろせます。湖面を半分くらいガスが覆ったり流れたりという状態でした。反対側は遥か500m下に火口跡があります。覗けるのですが、500mという高度感が今ひとつピンと来ませんでした。岩のゴロゴロしている狭い山頂で、イワギキョウやイワブクロが咲いていました。岩に腰掛けてガスの流れる摩周湖を見下ろしていましたが、天候のためか妙に内省的な風景です。やがて雨がはっきりと音を立てて雨具に当たり始め、風も強く寒くなってきたので、短い時間の滞在でしたが、下山することとしました。最後に岩陰に小さなクワガタムシが休んでいるのを見つけました。
帰路は往路を忠実に辿ることになりますが、ひとまず急坂を下って、西別岳分岐で休憩としました。しかし、雨は本格的になってきました。一息入れたあと緩やかな草原歩きとなりますが、視界はもはや閉ざされ、路傍のトウゲブキやモイワシャジンが唯一の楽しみです。雨の草原も終わって、樹林帯の下降に入り、鞍部から第一展望台までの登りとなります。ここまで来るともうほとんど下山している気分になっているのですが、最後のだらだらした登りは1.8kmもあり、実はなかなか到着しません。地面は雨で泥んこになり始めており、ついに靴の中も水がすっかり染みとおってしまったので、グジャグジャな気分で長い長い緩やかな登りをこなし、下山となりました。

駐車場に戻りレストハウスで一休みし、摩周湖の生成に関するビデオなど見たあと、明日の山の近くということで、阿寒湖温泉に向いました。キャンプ場でテントを張ろうかということも計画にはあったのですが、雨の中ではどうもその気にならず、阿寒湖温泉の旅館街を走っていると空室ありの看板があり、湖畔の「ホテル御前水」に宿泊しました。朝食付き6500円は立派な旅館の部屋で寝ることができただけに満足です。
夜は、温泉街の食堂で名産のヒメマスの刺身を楽しみ、その後アイヌコタンの土産物屋街や展示場など、観光も楽しめました。この夜の一泊は大変満足でした。

本文中の写真

  • 第一展望台付近からの摩周湖
  • アキタブキと笹原とシラカバの道
  • トウゲブキが咲く平原
  • 緩やかな稜線と西別岳
  • 山頂から摩周湖を見下ろす

  • 参考図書・地図
    アルペンガイド 北海道の山(2000年4月 初版1刷)
    25000図 摩周湖南部
    50000図 摩周湖

    摩周岳の狭い山頂
    その他のコース
    ・西別小屋〜西別岳〜摩周岳
    交通機関
    摩周駅より、第一展望台までバスを利用できます。
    (季節運行)
    時刻は、阿寒バスを参照下さい。