伊勢山上

380m

山域:高見山地
2000.5.13


伊勢山上は、山の名前というよりは、役ノ小角によって開かれた行場の名前ということらしい。砂岩の奇岩が点在するところで、麓の飯福田寺によって管理されている。堀坂山から下山したあとの時間を利用して、いずれは行ってみたいと思っていた、伊勢山上に立ち寄り、奇岩を巡ってスリルを楽しんだ。

仁王門をくぐった少し先に、伊勢山上の入り口と飯福田寺がある。鳥居をくぐって行場に入ると、まずはジグザグの登りで、曲がり角には石像や仏像があり、谷底から聞こえる不規則なカエルの鳴き声が響いて、独特の雰囲気を醸し出している。最初が「油こぼし」の1枚岩の行場で、鎖がありスタンスも豊富で楽に登っていける。行場自体は直登するようであるが、鎖はトラバースして森の中に入っていってしまう。そのまま踏み跡やテープを追っていくと、途中でどうやら誤った踏み跡を歩いたらしく、小さな石像のある、岩の頂上に出てしまった。先に進むと森の中の普通の道となり、小天上の標識が現れ、肝心の「岩屋本堂」を巻いてしまったようだ。とりあえず若干登り降りを繰り返して、植林や常緑樹の茂った暗い道を緩やかに登っていく。やがて「大天上」の標識と石像のある最高点に着いた。ここは特に特徴のない、植林の中の高みであった。
さて、期待の後半戦である。しばらく森の中を行くとやがて自然林主体となり、まず「亀岩」を通過。これはなんということは無いが、前方に恐竜の背の様な岩場が見える。それが「鞍掛岩」「蟻の戸渡り」と続きフリクションが良く効いて歩きやすいが、高度感がある。なかなか爽快で、スリルもあるところだ。再び森の中を行くと、少し道から外れたところに、「小尻返り」の岩場があり、ここに立つと行き損なった「岩屋本堂」が眼下に見えた。ちょうど尾根を周回したことになるようだ。次は「飛石」でここは大きな岩を、フリクション効かせて登っていく。ここが一番高度感があった。一番上は立つ人も少なく苔が多少着いていたが、狭い突起に立つとかなりゾクゾクし、自分は高所恐怖症なのかな?と感覚を疑ってしまった。「飛石」の下りは切り立った壁を鎖を頼りに降りる。ここを過ぎればあとは最後の「平等岩」はなんということは無く、樹林の中を下って、長く急な階段の上にたつ。転べば下まで一気に落ちそうにも思える階段を下ると、入り口から小沢を挟んだ対岸に降り立った。

さて「岩屋本堂」を見残したのが心残りなので、もう一度入り口から登る。「油こぼし」から鎖に沿って横の森に入り、右に折り返して「油こぼし」の上に出ると、手すりで保護されたテラスを通って本堂に出た。ここは大きな岩室になっており、ここを抜けていくのが行場最大の難所らしい。ガイドには「岩登りの経験が無いと通り抜けは難しい」ということで戻るようになっているが、ここは試しに行ってみる。地面からでは取り付けないので、本堂の祠の横に登ってからホールドとスタンスを探して、右上の穴を抜ける。脆そうな信用がおけないようなのもあるので注意。抜けた所は狭いテラスになっていて、鎖が下がっている。この鎖に体重をかけるとちょっと振られたので焦った。あとは、鎖を信用して登れば最初に登った時に出た岩の頂上であった。やはりこの部分は相当な高度感があり安易に取り付くのは危険で、少し戻れば岩をそのまま登って行けるので、通常はそちらを採るべきである。また、この行場一帯は「油こぼし」を鎖に沿わず直登した方が、スムーズに繋がるようである。

確認できたので入り口に戻り、次は裏行場に向かう。仁王門を出て、しばらく戻ったところで、川を渡った対岸に、鳥居のある入り口があり、また「油こぼし」からスタートする。ここは鎖を頼りに一気に登り、稜線を少し行くと、「獅子ヶ鼻」という大きな岩があった。ここも爽快な岩で眺めが良い。しかし反対に下ろうとすると何にもないので、スタンスを探しながら慎重に降りた。丁度足元に鹿が来ていたようで、鳴き声を上げながら走り去っていった。岩から下ってしまうと、さらに先に進むようでもなく、下っていくテープがあるので、落ち葉の積み重なった山腹の道を、獅子ヶ鼻の右下を通って降りていく。しばらく行くと堰堤があり、その先は来るときに渡った橋であった。



記録

日 程

2000年5月13日(土)

天 候

曇り

コース

1130 仁王門 → 1205/10 大天上 → 1300 仁王門
1330 裏行場入り口 → 周回 1350

樹幹にこれから挑む鞍掛岩を見る


参考図書・地図 その他のコース
分県ガイド 三重県の山
25000図 
50000図 
バス時刻(松阪駅)
柚原 行き 8:30 10:30 12:30(土日)13:00(平日)
柚原より、徒歩3km
時刻表は三重交通HP参照のこと

仁王門には車10台程度の駐車場あり、車利用が便利
行場入場料として100円が必要