朝熊ヶ岳から下山したあと、近くて行程の短い龍仙山に向かった。のんびりした山里の風情と美しい展望に恵まれ、2時間コースではあるが、かなりご機嫌のハイキングが楽しめた。
龍仙山の登山口はサニーロードを南下し、龍仙トンネルを通過した少し先にある。小さな看板に導かれて左折するとすぐ薬草の里の入り口だ。これを過ぎると道は二手の別れるが、道なりに左にまわる。ここには「南勢テクテク会」の丁寧な標識があった。あまり車で登っていくと歩くところがなくなってしまうので、その先で路傍に車を置いて歩き始めることにした。
すぐに龍仙トンネルの上を通過しながら、なんとなく植生に新鮮さを感じた。最近歩いていた山とは微妙に違うような気がした。のんびり里の道を行くと、やがてミカン畑が出てくる。そして左手には五ヶ所湾の展望が広がってくる。
そうだ、この風景は私が育った高知県東部の田園風景に似ている。この植生の感じもそう。この冬の季節の空気の感じもそう。違うのは海岸が入り組んでいるか一直線かだ。丘の上から海を見下ろす高台に私の田舎はあった。ここにもシュロの木がある。うちではやはり畑にミカンをたくさん植えていた。歩いていると、畑の中から親父がふらっと姿を現しそうな気がした。
道中は南勢テクテク会の丁寧な看板があり助かる。途中東コースの分岐があった。帰りはできればこれを辿ってみよう。
やがて龍仙山登山口という看板があり、右の少し狭い道に入る。そして第1の貯水槽があり、道は未舗装に変わって植林の中を歩いていくようになる。しばらくして第2の貯水槽から、狭い雑木林の中の山道となった。最後にジグザグに高度を上げる。入り口に六曲りと書いてあり、通過するカーブにはそれぞれ6-1,2,3,....と小さく書いてあった。
最後のカーブを過ぎると鳥居のある場所に着く。ここは海に向かって開けた場所で、石組みの2つの祠の中に、不動明王と行者尊が祀られていた。正面は五ヶ所湾で、良い眺めだ。
ここから折り返して緩やかに山頂部の稜線を辿っていくと、最後にちょっとした急坂を登りきって、展望の広がる頂上に着く。ここにも祠がある。こちらは大日如来ということらしい。この山頂は日ノ出を拝む山として親しまれてきたということである。眼下に五ヶ所湾が美しい。背後を見れば山々が折り重なるように連なっている。遠く海に着きだしている岬は尾鷲のあたりだろうか。北西の方から次々と雲が流れてくるが、時折途切れその時は山頂や海に陽が当たり明るくなる。しばらくはゆっくりと海を眺めていた。
帰路は来た道とは反対に下ってみた。踏み跡程度ではあるが、丁寧に標識がつけてあり、またテープおある。ただ残念なことに地名が解らないので、どちらに進んだものか少し迷う。常緑樹の密集した森の中の薄い踏み跡は、少々急斜面でもあり、木に掴まりながら下る。一旦少しなだらかになると再び急な下りとなった。この道は登りと違って、自然の色濃く楽しい道であった。しばらく下ると峠状になった交差点のような所に出た。尾根の直進も出来るがここは素直に南に下ると、すぐに車道である。多少勘にに任せて車道を下っていくと、行きに通った東コース入り口の看板のある所であった。再び山里の舗装路をゆっくり歩きながら、いい山を訪ねられてよかったなと思いつつ、車まで戻っていった。
サニーロード付近から見る山頂部
参考図書・地図 | その他のコース |
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分県ガイド 三重県の山 三重の自然を歩こう 伊勢文化舎 25000図 五ヶ所浦 50000図 伊勢 |
国道260号から歩く場合は、この登山口(サニーロードから入った駐車地)の他に、龍仙山登山口の標識のある場所で合流する、船越からのルートもあります。 また、道中の道標を見ると他にもいろいろルートがとれそうですが、詳細は不明です。 |