堀坂山・白猪山・局ヶ岳を伊勢三山というとのことで、その中で唯一登っていないのが白猪山であった。12月も半ばになって鈴鹿の方は雪も降り、冬型の支配する季節となったので、いざ低山の季節に転向とばかりにこの白猪山を目指して南下した。この日は車で走っていると暑いくらいの陽気であった。
遅い出発だったこともあり、少しでも近そうな阪内の登山口を目指す。阪内のバス停まで来ると登山口の案内があり、橋を渡って木屋谷沿いの林道を奧へと進む。このあたりの渓流は里の渓流という風情もあり、こぢんまりとしているが雰囲気が良く、紅葉の頃も良さそうである。標識に導かれて左に折れていくと、未舗装の部分も出てくるようになり、さらに進んで白いガードレールのついた橋を渡り、その先で広々とした場所に出る。そして、左に細い舗装路の分岐する地点で、これより立入禁止ということで木の柵がしてあった。
車を停めて林道歩きとなる。しばらく行くと造林小屋のあるヘアピンカーブに着き、標識は無いが踏み跡が上がっているので探ってみたが作業道であった。さらに林道をしばらく登ると、谷の奧に入っていくような感じになり、一番奥に立派な標識のある登山口があった。
登山道は歩きやすいゆったりした道である。少し行くと、右に下って小沢を渡る。植林地に入り、ゆっくり登っていくと看板があり、立派な大杉があった。大杉から先も植林地が続く。少し急なところも無いではないが、ストレスを感じない道である。しかしずっと風景のあまり変わらない淡々とした道で、途中にミヤマシキミの赤い実が2つ。色の乏しい風景の中で印象的であった。
いつのまにか、尾根の緩やかな谷間の、植林に囲まれた一直線の道を歩いている。そうすると程なく山頂まで700mの看板とともに夫婦杉が並んで立っていた。子連れ夫婦杉と下の方の看板に落書きがあったが、なるほど!と思った。とりあえず少し休憩する。
枝打ちがされてすっきりした植林地を行き、稜線までたどり着くと右に折れて、稜線左の巻き道を行く。そして山頂まで歩いて5分の標識で、主稜線に出て左に進む。このあたりは道が広い。少し下ったあと、僅かな急坂を登れば、展望台のある草原に出た。
ここで、林の中から一気に明るい陽の当たる場所に出るので、一瞬まぶしかった。南西方向の展望が開け、局ヶ岳、栗ノ木岳、修験業山、三峰山と高見山地の主稜線の山々が良く見える。山頂は少し先なのでとりあえず往復する。三角点のある山頂は、北と南が切り開かれ、堀坂山が見えた。再び草原に戻り展望台に登ってみた。登っても北の方は植林が繁っているので、特に見える範囲は変わりない。あいにくと厚い雲が西から流れてきて、少し肌寒くなってきた。賑わう山だと思っていたが、誰もいないのは、やはり世間は師走で忙しいということだろうか。しばらく展望台で座って休んでいたが、風も出てきたので元来た道を戻と、あっという間に登山口に降り立った。
山頂の草原に立つ展望台
参考図書・地図 | その他のコース |
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分県ガイド 三重県の山
25000図 大河内 横野 50000図 二本木 丹生 |
南面の松阪市大石から、都・大城・矢下・夏明の4本のルートがあり、どちらかといえば南面の方がよく登られるようである。 |