修験業山・栗ノ木岳

 修験業山1094m 栗ノ木岳1066m

山域:高見山地
2000.11.19


ぐずついた天気が続く中での晴れた日だった。秋も深まると鈴鹿の山々はどうも天気が気むずかしくなり、久しぶりに南下して、高見山地の山に向かう。修験業山は標高のわりに登りがいがありそうで、気軽にはどうかと今まで躊躇していたのだが、こんないい天気の日にじっくり登るにはいい山だろうと選んだ次第である。

久しぶりに素晴らしい晴天のドライブである。白山町に入り西に進んでいくと、正面に青山高原の平坦な尾根が良く見える。いつかゆっくりハイキングを楽しみたいと思っているところだが、ここは冬になって車が上がってこなくなる頃を狙っている。名松線に沿って興津を通りさらに川上の集落へと進む。ずいぶん紅葉が降りてきており、雲出川沿いの道は運転していても楽しく、先を急ぐでもなく走っていった。
修験業山への登山口は川上山若宮八幡神社である。広い駐車場があり正面に山頂を見て参道へと入っていく。旗が並び紅葉の美しい道を進むと社務所があり、その横から白山谷に沿った林道を登る。ここから見る山肌も紅葉に彩られて青空と溶けあい、明るく美しかった。やがて左に小さな標識があり、沢を渡って山道へと入っていった。
しばらくは山腹のゆったりした道を進んでいく。天気のせいか、のどかな景色の中を走ってきたせいか、慌てる旅でも無かろうと、気分良く一歩一歩踏みしめて歩いていった。しばらくすると沢を右岸に渡り、少し登って再び左岸に渡る。そして山肌を少し登って堰堤を越えると、また沢を渡って斜面に取り付いた。このあたりまでは紅葉も美しい道であった。
斜面に取り付くと、植林地の急斜面をジグザグに登るようになる。登ったぶんだけ高度が稼げるような道であり、ここはもくもくと足を動かす。時々振り返るとかなり登ってきたことがわかる。やがて頭上が明るくなってくると小尾根に出る。
ここからは雑木林も混じり再び明るい道となった。最初は比較的ゆったりした登りで、時々樹幹から左に栗ノ木岳が見える。三角形のすっきりしたピークである。やがて急登が現れ、これを越えると木の根の階段を上がる様な、壁のような急登になる。ここを過ぎると稜線も近いと思ったが、さにあらず、再び急登が現れた。このあたりはなかなか厳しい登りである。そして左右の稜線に高さがだんだん近づいてくると、薄暗い森の中を通り、稜線の縦走路に登り着いた。

まずは縦走路を右に修験業山を目指す。すぐに冬枯れの広い尾根に変わり、明るい道になる。このあたりは苔むした露岩が点在しているのも面白い風景である。やがてピークへの短い登りをこなすと、展望も開ける高宮に着く。ここには立派な鳥居があり、これは登山口からも見えるということである。展望は南北とも広大で、正面には全山植林で覆われ、山頂だけが草原になっている学能堂山、その向こうには大洞山と尼ヶ岳、そして倶留尊山をはじめとする室生火山群の奇異な山容が見渡せた。
さらに修験業山への進む。小さなピークを越えていくと、東側が切り払われたピークに出た。ここで振り返ると、栗ノ木岳が良く眺められた。そしてさらに広くなった冬枯れのプロムナードの様な道を落ち葉を踏んで進めば、木々に囲まれた修験業山の山頂であった。木の葉がある時期は暗く狭い感じがするのかもしれないが、今の季節は日差しも良く入り、片隅でなんとなくホカホカとして、しばらく座っていた。
来た道を分岐まで辿って、今度は栗ノ木岳に進む。覚悟はしていたが、しばらくグイグイと下ったあと、一つ手前のピークへと登っていく。しかしここは歩きやすい登りで、気分良く登っていけた。次の下りはそれほど無く、栗ノ木岳への登りも比較的ゆったりしていた。山頂は北の展望が良く、それ以外は石楠花に囲まれており、その分暗く狭く感じる。ここは花の時期にくれば素晴らしいかもしれない。
栗ノ木岳から若宮峠まではかなりの急下降である。前半は痩せ尾根を順調に下っていく。途中正面の展望が開け、局ヶ岳が端正な姿を見せていた。そして後半は木に掴まりながらの急下降が始まる。なんとか我慢して降りていったが、やはり途中で転んでしまい、けっこう滑り落ちてしまった。
傾斜が緩んでほっとすると若宮峠が見えてくる。ここには局ヶ岳から縦走してきたご夫婦が休んでいた。つかのま楽しく言葉をかわさせていただき、記念にということで、「つぼねクラブ」のプレートをいただいた。局ヶ岳には南から登ったことがあるというと、是非北側からも登ってみて下さいとのこと。奨められたからにはいつか登ってみたい。

下山は大宮谷に沿った道を下る。しばらくは山腹の巻き道を進み、やがて尾根を一つ回り込むと大宮谷の領域である。岩がゴロゴロした道だが、踏み跡はしっかりしており、テープを追えば問題ない。大宮谷に下る斜面は緩やかな雑木林の美しい森で、ちょうど紅葉の最中であった。やがて沢沿いの道になると、時々かかる小滝や滑滝を眺めながら、紅葉を満喫しつつ下っていった。いい時期の、いい天気の日に、いい山に来ると、これほど楽しいものだということが、良くわかるような道だ。最後は手入れされた植林の中の苔むした道に入り、さらに細かく沢を渡り返しながら下り、白山谷と合流したところが朝に車を停めた駐車場の下であった。駐車場から山を仰ぐと、右に修験業山、左に栗ノ木岳と、西に傾きはじめた陽にてらされて明るく聳え立つ姿を見ることが出来た。

本文中の写真(順に)

  • 若宮八幡神社境内
  • 修験業山山頂付近の雑木林
  • 栗ノ木岳東面からの局ヶ岳
  • 大宮谷の紅葉


  • 記録

    日 程

    2000年11月19日(日)

    天 候

    晴れ

    コース

    1020 駐車場 → 1037 山道入り口 → 1147 稜線 → 1155/1200 高宮 → 1215/35 修験業山 → 1245/50 高宮 → 1325/35 栗ノ木岳 → 1355/1405 若宮峠 → 1510 駐車場

    修験業山付近から見る栗ノ木岳


    参考図書・地図 その他のコース
    分県ガイド 三重県の山
    25000図 宮前
    50000図 丹生
    飯高町側から若宮峠に出ることができるらしいが詳細は不明
    局ヶ岳や三峰山からの縦走は健脚コース
    バス
    名松線伊勢興津駅より、川上行 9:39(日祝日運休)
    (バスの場合は、若宮峠から飯高町側に降りる方が帰りの便が良さそうではありますが....)