分県ガイドの「三重県の山」の出ている山々を順番に歩いてきたのですが、今回の高見山は霧氷で有名な山なので、是非冬に登ってみたいと思っていました。週の後半に若干の降雪があり、週末は快晴の予報で、これはまたとない日だと思って早朝出発しました。
四日市を出発したのは早朝3時30分であった。さすがにいつもより車が少なく、23号線をすいすい走って、久居駅前を通り、国道166号へと向かう。そしてひたすら飯高町を走り抜け、香肌峡への分岐を過ぎると、道が凍結した雪に覆われ始めた。ここからはスピードを落として、バスの終点の上木梶を通過し、高見トンネルへの道を上がっていく。夜だからはっきりとは見えないが、道はきっと真っ白なんだろう。しかし完全に凍っているためなのか、それほど滑らず高見トンネルに着いた。
高見峠には、三重県側からも登っていけるが、どこかで奈良県側の方が楽だという記述を読んだと思ったので、とりあえずトンネルを抜ける。そして高見峠への細い道に入ると、とたんに雪が深くなり車が登らなくなった。いよいよチェーンの出動である。チェーンをつけるのは何年ぶりだろう。久しぶりだなぁと思いながら、オーソドックスな鉄のチェーンをつけた。軽自動車のためか、意外と簡単についた。
高見峠に登って行く途中で空が白み始めた。高いところはガスの中に埋まっており、少しがっかりする。でも回りは晴れているし、いずれ天気予報通り晴れてくることを期待しよう。峠に着くと、すでに車が6〜7台停まっていた。
車の中でお茶を湧かしてから、テルモスに詰めて出発する。登山口には鳥居があり、その先は、切り通しを登る階段になっている。ちょうど太陽が出て、雪が赤く染まったところである。峠からは1時間程度の尾根の登りであり、急ぐことは無いと言い聞かせながら進んでいく。傾斜があると多少滑るので、少し登ったところで、6本歯の軽アイゼンをつけた。回りの木々はすべて落葉樹である。その枝にはすべて一様に雪がついており、これが霧氷だろうか?と思う。
そこそこの急斜面を登っていくと、ベンチのある展望台に出た。幾人かのカメラマンが、それぞれ思い思いの場所にカメラを構えていた。彼らは今のところ、ほとんど登らずに、ここで留まっているようだ。振り返ると台高の山々が一望できる場所であるが、稜線付近は絶えずガスが流れており、爽快な展望とは言えないようだ。高見山側も、中腹から上はガスがかかっている。すでに光の赤みは消えているが、まだ柔らかな光である。
展望台を過ぎて少し登ると、尾根が緩やかに開け、正面に高見山が見えそうなところがあった。しかし今はガスに隠れていた。再び樹林の中に入り、ジグザグに登って行く。真っ白な景色の中の登りは、最初は日が翳った中であったが、時折霧氷の木々の向こうに青空が見え始めた。だんだん晴れて来ているのかもしれない。
やがて、回りの木々が低くなってきた。そして、霧氷の木々の向こうは、すっかり雪の山特有の濃い青空になっていた。久しぶりに見るこれほどの空だ。4月に木曽駒に行った時以来だと思った。濃紺と白の造形の対比に感動し、なかなか足が前に進まない。良い日に来たなと思った。
木が低くなってくると、程なく山頂である。山頂には立派な祠があり、展望は360度だ。南は台高の山々と、その向こうには大峰の山。東には三峰山へと続く稜線。北には室生の特異な山々と、見渡す限りの近畿地方の名山が一望できる。また山頂付近は風もあり、霧氷も少し長めに成長しているようだ。祠の前には屋根が展望台になった避難小屋があり、中に入ると風を防ぐことができ、一息ついた。
帰路は、同じ道を下って行く。こんどは晴れ渡った中で、雄大な展望の中の下山である。ゆっくりと景色を楽しみながら降りていった。高見山の斜面一面に霧氷が付き、それを前景に三峰山や台高の山を眺めることができる。写真家の方々も少しづつ上に上がってきているようだ。そして、展望台まで下ってみると、ハイカーたちもどんどん登ってきた。そして登山口に降りてみると、駐車場は車で埋まっていた。今日はやはり大繁盛だ。
今日は本当にいい天気に恵まれて最高の高見山が楽しめました。下山してみると、峠の側溝に車輪を落とした車が助けを求めていたので、押すのを手伝いましたが、結局通りかかった4WDに引っ張り出してもらっていました。行程も短かったので、自宅に帰ったのはまだ12時半くらいでした。
「三重県の山」の本もあと6。でも高い山がたくさん残ったので、しばらくかかりそうです。
高見山山頂を振り返る
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高見山には四方から道が通じており、本文ルートは、途中まで車で入れるため、一部だけを歩いている。 三重県側 舟戸から高見峠経由高見山(本文ルート含む) 奈良県西側から 高見登山口から小峠経由高見山 下平野から高見山(この2つは途中で合流する) 奈良県北側から 桃俣から北尾根経由高見山 高角神社から高見山(この2つは途中で合流する) その他 三峰山方面や台高主脈との縦走 |