夏休み以降、気分的に全く山から遠のいていて、休日もなんとなく過ぎていっていたのですが、そんなある日、四日市時代に時々ご一緒いただいていた方から、たまには?と、メールがありました。そうです。彼は千葉の方に転勤してきているのです。これは、ちょうどいいタイミングだと思って早速約束を取り付けて山に向かいました。
朝4時に待ち合わせとして、交替で運転しながら登山口に着いたのは7時半頃でした。リフトの始発は8時半とのこと。東俣駐車場まで回り込めば即出発できるのですが、駐車場からの登り20分をラクしたいが為に待つことにしました。
8時15分頃切符売り場に行くと、もう乗れますよとのこと。早速スキー場のリフトに向かいました。リフトは2本乗り継いでいきますが、武尊牧場の草原の中を行くあたりは青空の下で大変気持ちの良いものでした。ただ、残念ながら、リフト終点まで30分程度かかっており、駐車場から歩いた場合は、少し山頂よりの所に出て、所要20分なので、そちらの方が時間的に有利です。おまけにリフトは4時半までに帰ってこないと止まってしまうので、結果として帰りはあわただしいものになってしまうのでした。
さて、出発です。しばらくは舗装の道を緩やかに歩いて行きます。シラカバの木が多く、またナナカマドの実がきれいでした。やがて駐車場からの道が登ってきて、森の中の道に入ります。最初は、周囲をブナの大木に囲まれた、木道の整備された道が続きます。なかなか雰囲気のいい森を、のんびりと歩いて行きました。やがて小さな池と映画の撮影地という看板のある広場に出ますが、ここからは至仏山がちょうど正面に見えました。尾瀬の山を見るのは随分久しぶりです。武尊田代への分岐を過ぎ、傾斜がでてくると、回りの木がダケカンバに変わります。茶色い幹の密生する、明るく瑞々しい森でした。再び道は緩やかになりますが、今度は針葉樹主体の黒木の森に変わりました。暗くて湿っぽく、道には水が浮いて真っ直ぐ歩いて行けません。足が潜らないところを注意して選んでいきます。やがて武尊避難小屋が見えてきますが、ここまでゆっくり歩いてきた為か、最後の方が歩きづらかった為か、思ったより時間がかかってしまいました。
避難小屋からセビオス岳を目指して出発します。しばらくは泥んこの暗い道が緩やかにアップダウンしながら続いていきます。それでも少しづつは登っていっているようです。やがて針葉樹の森から出て、明るい道になると、若干の登りで小さなテーブルがあるセビオス岳です。このあたりは振り返ると至仏山・燧ヶ岳が良く見えています。燧ヶ岳の山頂には少し雲がかかっているようです。セビオス岳の一角にロープが張ってあり、その向こうには小さな湿原がありました。そして正面にはこれから向かう山頂がまだ遠く見えていました。
セビオス岳から少し下って中ノ岳に登りにかかります。朝のうちは少し雲が多かったのですが、ここに来てすっかり晴れ渡りました。この登りは木の無い明るい所だけに振り返れば至仏山と燧ヶ岳、それに雲海の上に出た日光白根山がいつも見えています。このあたりがこの日一番の展望でした。鎖のある急な岩場を3つ過ぎると、中ノ岳の直下に出ます。道は山頂には登らず、南側をトラバースして前武尊からの縦走路に出ました。家ノ串にかけての草原状のところにシラカバが林立したりと、感じの良い所でした。
縦走路に合流すると、菩薩界の水と書かれた水場があります。冷たくでおいしい水です。中ノ岳の西側をトラバースしながら、沖武尊との鞍部へと降りて行きます。鞍部は溝状になって、3つの湿原が連なっており、山頂直下の面白い地形でした。さて、もう沖武尊はすぐそこに見えています。長い行程なのでかなり疲れ気味なのですが、頑張って急坂を登り、日本武尊の銅像の下に出ます。そしてあと一息で賑わう山頂でした。時間的に遅いのか道中はあまり人と会わなかったのですが、いろんなコースが収斂されて登り着く山頂なのでさすがにここは人も多いのでした。
山頂では、水場でくんできた冷たい水でまずはウイスキーの水割りです。冷たい水のコッヘルで飲むウィスキーは一気に体にしみこんでいく様で、瞬く間に行き渡ったような感じで最高の一瞬でした。
山頂に着くと、周囲に少しづつガスがかかり始めました。しかし、登りで素晴らしい展望を楽しんだあとなので、それ程惜しくはありませんでした。ゆっくりしたい所ですが、どうも帰りのリフトの時間が気になり、もっと休みたいという思いを断ち切っての下山開始としました。
前武尊との分岐までは登りも多く、疲れが残っている上にウイスキーも良く残っていたので、結構ヘロヘロになっていましたが、分岐までくると酒も抜けた様で、往きはゆっくり登ってきた道を、帰りは時間との競争の様にどんどん下って行きました。途中まではそこそこ明るかったのですが、武尊避難小屋を過ぎ、森の中を歩いていつうちに、いつの間にかあたりはすっかり雲に覆われていました。最後の木道を過ぎ、リフトへと向かう三合平を歩いている頃はかなり肌寒く、そのままじっとリフトに乗って30分はちょっと厳しいものがあります。使わないかな?と思いつつずっと持ち歩いていたフリースをついに取り出し、ポケットに手を突っ込んで、リフトに向かったのでした。いつの間にかすっかり秋も深まったようでした。
下山後は麓の花咲温泉に立ち寄りました。立派な温泉施設があって、500円。それに、使用済みリフト券を持って行くと100円引きとお得です。長い行程のあとの温泉は最高でした。帰りも交替で運転して行ったのですが、さすがに遅くなりました。日帰りギリギリといったところでしょうか。
上州武尊山は、今回のコース以外にもいろいろなコースがあるので、次回は新しいピークを踏む意味でも、違うコースで行ってみたいと思います。
沖武尊山頂と三ツ池
参考図書・地図 | その他のコース |
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昭文社 エアリアマップ 谷川岳 アルペンガイド(旧) 奥日光・足尾・那須 アルペンガイド(新) 奥日光・足尾・西上州 東京付近の山(実業之日本社) 25000図 鎌田 50000図 追貝 |
四方に張り出す尾根から山頂に向かうことができます。 本文のコースが優しいいようですが、他のコースは少しだけそれぞれハードになるようです。 ・川場尾根から前武尊・沖武尊 前武尊までは、スノーパル・オグナほたか、川場谷、旭小屋 の3ルートです。 ・武尊高原から剣ヶ峰山を経て沖武尊 ・武尊神社から、武尊沢、または、手小屋沢避難小屋を経て沖武尊 ・上ノ原高原から手小屋沢避難小屋を経て沖武尊 |