掃部ヶ岳(榛名)

 掃部ヶ岳 1449m
 山域:榛名山(上州)

記録
 山行日2001年9月1日(土)
 ルート吾妻荘→硯岩→掃部ヶ岳→西峰→杖ノ神峠→吾妻荘
 コースタイム1105 吾妻荘 → 1125/30 硯岩 → 1200/30 掃部ヶ岳 → 1250 西峰 → 1310 耳岩 → 1335 林道 → 1350/1400 杖ノ神峠 → 1440 湖畔 → 1445 吾妻荘
 天候晴れ時々曇り

前日は群馬県の方は天気がよさそうだし、ちょっと遠くにと思っていたのですが、結局起きたのは7時頃でした。さてどうするかねぇと考えていて思いついたのが掃部ヶ岳です。時間的にも体力的にも楽ですし、榛名の最高峰にはまだ登っていないというのも時々気になっていたからでした。

1.榛名湖へ

関越自動車道を北に向かうと、高崎あたりで正面に山頂部のギザギザした榛名山が見えてくる。ゆったりとした裾野を広げた山容は、いかにも火山という雰囲気である。
前橋インターを降りて、すぐに北に向かう。箕郷町に入り県道を北上すると、まだ町中ではあるが、榛名山の裾野を緩やかな傾斜で登り始める。県道28号線を進むと、途中で土砂崩れのため通行止めとのこと、県道126号線に回り、やがて樹林の中となった道をグングン登っていく。外輪山を登り詰め、かつて歩いたことのある関東ふれいあいの道を横切ると、そのまま榛名湖へと下っていった。
ここに来るのは3度目ではないかと思う。一度は天神峠から縦走して、二ツ岳から伊香保に下った時。そしてもう一度は温泉旅行ということで、伊香保温泉から榛名湖温泉をハシゴし、ついでに榛名富士に登った時だ。2度とも最高峰の掃部ヶ岳を素通りしてしまっていたので、なんとなく心残りだったのだ。赤城山には最初から最高峰の黒檜山に登ってしまった為か、それ以降訪ねてないことからすると、最初から最高峰に登るのも考えものかもしれないなと思ったりした。

2.掃部ヶ岳

掃部ヶ岳への登りはまず硯岩を目指す。頭上に硯岩の見える、吾妻荘の下の駐車場に車を置いて、吾妻荘のすぐ前から始まる登山道に入る。最初は少し草が被った感じで、アザミが痛い。少し進むと暗い樹林の中となる。道は水流の為か掘れてしまっており、多少荒れた雰囲気である。それに、最近雨が降ったためか、湿っぽい雰囲気だ。
歩きやすいところを選んで緩やかな道を行くと、やがて尾根への斜面にとりつくこのあたりは踏み跡が多少乱れている。斜面を登ると僅かで尾根上に立ち、とりあえず右の硯岩へと向かった。
急坂を登るとすぐに硯岩に立つ。榛名湖に向いて立つ岩の上なので、展望はすばらしい。正面に全く整った榛名富士と榛名湖は、いかにもという感じの風景である。左手には尖った感じの烏帽子岳。右手には天目山から続く尾根がつながっていた。ちょっと曇りがちで、すっきりした青空でないのが残念だが、少しの間榛名らしい風景を楽しんだ。
分岐まで戻って山頂を目指す。鞍部の先から、右手になぜか別荘地が並ぶ。最近造成されたのであろうか。笹の茂った緩やかな道が淡々と続く。やがて道は傾斜を増し、急登の連続となった。すぐに着くだろうと思っていただけに、なかなか厳しく、汗が噴き出してくる。さすが最高峰だけあって、そう簡単には山頂に立たせてくれないようだ。
じっくりと急登をこなすと、左手から尾根道が合流する。湖畔の宿記念公園からまっすぐ登ってくる道である。稜線上は、だんだん木々の丈が低くなってきたので、もう山頂も近いぞと思ったが、まだここから一登りあった。掃部ヶ岳の山頂はあまり広くない上に10人以上の団体さんが休憩中であった。とりあえず空いた一角に腰を下ろし、弁当を開く。いつもはパンとかコンビニおにぎりですますのだが、弁当というのも旅の雰囲気に近かろうと、今日は上里SAで買って来たのである。まぁ、それなりに気分が出たということであった。
団体さんが下山すると、一気に静かな山頂になった。展望は南側が開けており、幡矢ヶ岳とか鐘原岳とかの特徴的な山容が見えていた。面白い地形であると思った。

3.杖ノ神峠へ

しばらく静かな稜線を進んでいくと、耳岩の下に出る。耳岩の基部あたりに登って見ると、なかなかの高度感と、爽快な展望がある。耳岩の北側を巻いていく道は、岩が緑に苔むして、いい雰囲気を出していた。
掃部ヶ岳からの道は会う人も無く静かな道だが、実に緑豊かな道で、湖畔側から単純に往復するだけではかなりもったいない気がする。ブナやナラの木が茂り、深い緑の中から時折見える展望には、外輪山周辺の特異な山容がある。こららの山々は、形からして岩が出たり、土が露出していたりしても不思議ではないのだが、どれも深く緑に覆われているのは、やはり標高が低い為だろうか。耳岩を過ぎて、ピークの北側を巻く道を進んでいくと、道端にレンゲショウマが一株咲いていた。なかなか可憐な花だ。
やがて北の方の国境の山が見える鉄塔を過ぎ、鉄塔巡視路を下る。つづら折りの下りやすい道である。しかしどこでどう間違えたのか、巡視路は目指す杖ノ神峠より微妙に右にずれて下っており、途中でおかしいなと思い始める。どうも、林道には出るには出そうだが、峠の反対側にある程度下ったところに降りそうだ。しかたなくそのまま行くと、その分下りも長くかかり、やがて林道に出た。そして林道を登り返すこと15分で、掃部ヶ岳と杏ヶ岳の登山口の標識のある杖ノ神峠に立った。どうも鉄塔の先まで行ったのが行き過ぎなのだろうか。正しい道は鉄塔の手前のピークからまっすぐ峠に下っているかもしれない。
杖ノ神峠から榛名湖畔までは荒れた林道である。平成になって開設された林道だが、途中の未舗装区間は、路面が水流に大きく削られており、まったく車が走れる状態ではない。一部道路上が沼の様に足が沈む所もあり、なんの為にこの道を作ったんだい?と言いたくなる。よくオフロードのバイクとすれ違う。彼らの間では有名な道なのだろうか?
やがて最近新しく舗装したらしい区間に出るが、その上に無惨にも土砂崩れがあり、大きな岩が鎮座していた。少しづつ舗装を延ばして改修しているようではあるが、先が思いやられる。その先に通行止めのゲートがあり、少し先で林道から分かれ、湖畔に向けて下る細い車道に進む。道は古い別荘地の中を通って、湖畔の宿記念公園に出た。湖畔の車道を進むと僅かで吾妻荘であった。そのあと、吾妻荘の5階の展望風呂に入り、再び榛名湖と榛名富士を楽しみつつ汗を流した。

やっと榛名山の最高峰に立つことができました。ちょっと下山で道を間違えてしまいましたが、掃部ヶ岳から杖ノ神峠に下る道は、静かで緑多く素晴らしい所でした。おまけに、レンゲショウマも見ることができました。
榛名湖畔の吾妻荘の風呂に入りつつ、このまま泊まって明日は烏帽子岳、杏ヶ岳などとゆっくり歩いてみたいなと思ったことでした。そんなに気負って歩くところでもないので、温泉旅行がてらに軽く歩くのも良さそうです。

本文中の写真

  • 硯岩から見る榛名湖と烏帽子岳
  • 耳岩を見上げる
  • 林の中に咲くレンゲショウマ

  • 参考図書・地図
    昭文社エアリアマップ 赤城・皇海・筑波(1999年版)
    アルペンガイド奥日光・足尾・那須(1993年7月改訂第2刷)
    アルペンガイド筑波・那須・阿武隈(2001年4月第1刷)
    ブルーガイド 東京付近の山(1998年第1刷)
    25000図 榛名湖
    50000図 榛名山

    榛名湖畔から見る榛名富士
    その他のコース
    湖畔の宿記念公園付近から、直接尾根通しに、掃部ヶ岳山頂を目指す道があります。途中で、本文のコースと合流します。
    交通機関
    高崎駅より群馬バス 榛名湖行き
    詳細時刻は、群馬バスをご参照ください。
    温泉
    ・国民宿舎吾妻荘の展望風呂(榛名温泉)500円 透明のお風呂です
    ・榛名湖温泉 榛名富士の北麓の湖畔にあります。茶色いお風呂です
    ・伊香保温泉 有名な温泉街なので、説明の必要はないと思います。源泉は鉄分の多い、
     茶色のお風呂ですが、場所によっては透明になるようです。