自己流ハイキング講座

Let's Go Hiking!!


おことわり

やっと、Let Go Hiking!!というこのホームページのタイトルらしいページを作っています。諸先輩方をさしおいておこがましいのですが、こんな大それた記事を書けるのもホームページならではです。
私は基本的に単独行が中心でした。従ってこの自己流ハイキング講座はあくまでもまわりに同好の方がいない場合に独自に山へ向かうことを前提に書いていこうかと思います。したがって私の乏しい経験にしか基づいていないので、超自己流です。
また、登山行為は原則自己責任で行うものですので、万が一事故等を起こされた場合、過去にこのページを読まれたことがあった場合でも、当方は責任を追いかねますのでご了承ください。
さて固い話はこのへんにして....

どこへ行こうか?

ハイキングの楽しみの半分以上はこの「どこへ行こうか?」だと言っても言いすぎではないと思います。どこかに行きたいと思うこと自体が山へ行く原動力になっているのですから。
たとえば、「私はいつも友達にまめな人がいて、連れていってもらっているのです。何から何まで世話をしてくれて、いい人です。」
確かにいい友達をお持ちですね。でもその友達は楽しみの半分以上を奪っているのです。せめて2〜3回行ったら、ここへ行きたいと主張しましょう。そして、あとはそのマメな友達にすべてやってもらえばいいのです。
「私は主人がいつも決めてくれるんです。私あまり山を知らないでしょう。だから....」
その場合はご主人さんが山の楽しみを教えないで独り占めしているのですね。夫婦対等に主張するのも円満の秘訣でしょう。
「でも、どこでもいいから綺麗な景色があって綺麗なお花はあればいいのです」
そうですね。でも、自分で目標をたててそこに行くとより大きい達成感と満足感が得られます。そして、このページは、おことわりにも書きました様に「独自に山へ向かうこと」を前提に書いていきます。
それでは、どこに行きましょうか。もっとも大部分の方はハイキングに行きたいと思った時に、だいたい行きたいところは決まっているでしょう。それでもあえて書いていけば、山の名前を全く知らないということはないと思いますので、まずは知っている名前から選んでみましょう。
「富士山」
そうですね。道中危険なところはあまり無く人も多いので夏のシーズンであればたいがい無事に帰ってこれることでしょう。ただ、思い立ってすぐに行くという訳にはいけません。季節がかぎられるのと、行程も長いので周到な準備を行うにこしたことはないからです。ちなみに、私自身みんな登っているから登れるだろうと思って、まだ山に独力で登ったことが無い頃、いきなりテニスシューズとショルダーバッグという出で立ちで弁当も持たず挑戦したのですが確かに登れました。ちゃんと道がありますし、要所要所の小屋で食糧が手に入るからです。でも今思えばあまり楽しい思い出ではありません。滑って転んで手をすりむいたりとか、やたらと頭痛に悩まされ頂上ではほとんど食欲も無く最高峰を極めるためのお鉢巡りもしないままに早々に退散するはめになったのです。やはり、3000メートルを越える様な山になるとそれなりの準備が必要なのと、標高差も大きく充分な基礎体力が要求されるのです。
「槍ヶ岳とか穂高岳とか聞いたことがあるぞ!」
まず無理です。と言い切ってしまうと問題があるかもしれませんが、独力で全く初めてでこれらの山を歩くのは無謀なことだと考えています。いろいろな中級山岳を経験し総合力が身についてからじっくり登りましょう。その方がきっと登頂したときの感動も多いことと思います。なぜなら、その頃になるとより山に対する感じ方が経験によって豊かになっていると思われるからです。でもどうしてもすぐに登りたいという方は、山岳会に参加してトレーニングを受けたうえで山行に参加するか、ガイド付きの登山教室に参加するかですが、後者の場合は臨時の混成団体である故にフォローが手薄になることもあるかもしれませんので、それなりの経験を積んでおくことが必要と思います。山では最終的に自分の身は自分でしか守れないことがあるからです。
「それじゃあどこへ行ったらいいんだ?」
月並みですが、地元のハイキングコースのある山に勝る者は無いということでしょう。日本中どこに行っても風景に山があります。まさに生活の風景です。無いのは関東平野くらいのものではないでしょうか。そして、地元の山とはいえ山々はそれぞれにつながりを持ちつつ広がっていくのです。そして慣れ親しんだ山はいずれあなたを日本アルプスに送り出し、そしてまた迎えてくれることでしょう。
さてそれでは、具体的にどこに行くか考えてみましょう。お約束通り私の経験を基に書いてみますのでそれぞれ、皆さんが住んでいる地域にあてはめて見て下さい。

地図とガイドブック

住んでいる場所は三重県の四日市市としましょう。まず今思い立ったばかりですので、部屋の中には何も山に関する資料は無いものとします。部屋の窓からは西に鈴鹿山地が連なっています。ハイキングに行きたいと思ってこのかた、いままで空気の様に眺めていた山々が妙に気になってしかたありません。
「あの山の方に行ってみようかなあ。自然の中で歩き回るときっと楽しいだろうなあ。そういえば小学校のころはよく昆虫採集とかして野山で遊んだものだ。うん、行って見よう。」
でもどうやってどこに行けばいいかが解りません。ここでいくつか方法があります。がとにかく地図を見るということがまず山に向かう第一歩です。
「そういえば車の中に道路地図があったぞ!」さっそく車庫に行って車の中を探って地図をとりだしてきました。確かに道路地図には主要な山が載っています。それにごく一部ではありますが、登山道も載っています。この地図は山を歩くにあたっては決して満足な情報を提供しているとは言えません。ただし広域の地図になっていますので、全体感をつかむにはいいかもしれません。道路地図を見ていると鈴鹿スカイラインの途中の武平峠から御在所岳に道があることがわかりました。最初はこのコースにトライしてみることにしました。
実際このコース自体は道のハッキリしたコースですのでこの情報だけでもなんとか歩くことができますが、やはり原則的には充分な情報と計画が必須ですので、それらを揃えることにします。まず、地図ですが、主要なハイキングコースには 必ず登山地図とガイドがあります。登山地図の主なものには「昭文社」「日地出版」「山と渓谷社」のものがあります。特に昭文社と日地出版のものはカバーする範囲も広く、また雨でも破れない材質でできていますので、便利です。各々表記方法に特徴がありますが、慣れと好みの問題と思います。また、地図は毎年少しづつですが変わっていっていますので、数年経てば最新版に買い換えることをお奨めします。かつてあった道が廃道になったり、工事や採掘で地形が大きく変わったりすることもありますので注意が必要です。これらの地図は書店の山岳コーナーや地図コーナーあるいは旅行書コーナーに置いてあります。
ガイドブックとしては「山と渓谷社」のアルペンガイドシリーズが範囲も広く一般的に使われている様です。この鈴鹿のエリアについても「鈴鹿・美濃」という区分でガイドブックが出ていてカバーされています。他には先の登山地図にも小さなガイドブックが付属しています。また、アルペンガイドは主要な山域について出版されていますので、それ以外の山のガイドを見つけるためには、これも「山と渓谷社」の「分県登山ガイドシリーズ」が各県別に50コース程度の紹介があり、カイドブックの比較的少ない山域に便利です。また、これら以外にも目的別のガイドブックや、地元色あふれたローカル出版のガイドブックもたくさんありますので、本屋さんの登山コーナー以外にも郷土出版コーナーを探してみると面白いでしょう。
もうひとつ地図としては、国土地理院の地形図があります。これが本当の地図で、先の登山地図は地図とガイドブックのいわばあいのこの様なものです。登山地図は便利ですが、総ての地域を網羅している訳ではありません。また、道が不明瞭なルートや、冬季に雪に覆われたルートを歩く様な場合、登山地図の縮尺では地形の詳細が明確に解らず不十分です。従って山に入る場合は登山地図やガイドブックの他に、国土地理院の地図を携行する癖をつけることをお奨めします。(もっとも私もいつも持っている訳ではありません。)国土地理院の地図の中でも25000分の1の縮尺のものや50000分の1の地図を携行します。地図でルートを探しつつ歩く場合は25000図、アルプスの縦走の様に道ははっきりしているが、広範囲の全体感をつかみたい場合は50000図が有効でしょう。 他に200000分の1の地図がありますが、これは自宅に置いて地域の位置関係を眺めつつ、まだ見ぬ山頂に思いを馳せるための地図です。これも是非1部常備してみることをお奨めします。

計画をたてる

さて、会社帰りに駅前の本屋によって地図とガイドブックを買ってきました。本屋にはたくさんの登山に関する本がありました。ただ登山コーナーは初めて見たのでそれらの本がどういう本なのかは今一つピンときません。でも中には「日本百名山」なんてテレビで見たような本もあって、ほお〜と思いました。
今、机の上には登山地図があります。その「御在所鎌ヶ岳」という登山地図を広げて見ると鈴鹿南部の主稜線が中心になって書かれています。そして地図を辿り予め道路地図で目をつけておいた武平峠から御在所岳への道をみつけることができました。
「それにしても御在所岳まではたくさんの道があるなぁ。」と思いました。これなら行きに通った道を降りなくても周回していろんなところに行けそうです。いろいろなコースを見ているうちになんだか楽しくなってきました。そうです。この計画をたてるということが、登山の一つの大きな楽しみなのです。
一般に一つの山に向かう場合、登山口から単純に往復するケースと山頂から別の方向に降りるケースとあります。その山に一本しか道が無い場合は往復せざるを得ませんが、うまくルートをとってなるべく下りは違う道を行くと、行きも帰りも新鮮な気持ちで歩けるものです。マイカー登山の場合は登山口に戻ってこないといけませんので、往復登山になりがちですが、うまくコースをとれば周回登山が出来ます。また車が2台あれば車を下山口に回送しておいて行きとは異なるところに降りることも可能です。電車等公共の交通機関を使えば制約は無くなりますが、一方で近年のモータリゼーションや過疎化でバス路線の廃止や減便が進み車道歩きが長くなるか、または車なくして辿りつくことが不可能な登山口が増えていることは残念な事実です。一つの山を目標とするのとは別に稜線の繋がった複数の山を稜線に沿って歩いて行く縦走というスタイルがあります。下山することなく、いくつかの山を次々と訪れる事が出来るのでダイナミックな登山が楽しめますが、一つの山への思いが少し薄くなりがちなきらいはあります。
地図を見ていると車を利用すれば簡単に御在所岳を往復することが出来そうです。また、車を利用せずに下りを別のコースにとれば、湯ノ山温泉を中心に周回コースがとれてそれもまた面白そうです。今回は初めてなので無理せず行程も楽そうな武平峠からの往復コースをとることにしました。

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