能郷白山

1617.3m
山域:両白山地 越美山地 奥美濃
2001.4.22.



先週は山をお休みしたこともあり、今週は爽快な名山に登りたいと思っていました。そこで、以前から行ってみたかった能郷白山などと考えていたんですが、前日までは午後から晴れとの天気予報だったので、朝はゆっくりしてしまいました。しかし、当日になると朝から晴れているではありませんか。というわけで慌てて準備をしてでかけました。

1.登山口まで

自宅を出たのは朝の8時。そこそこの山に行くには、ちょっと遅い時間である。岐阜方面には最速ルートをということで、多度から長良川沿いに県道23号をひたすら北上する。穂積から市街地に入り、さらにそのままどんどん北上すると、道は国道157に変わる。この道は結局根尾村に入っていくので、穂積周辺で少し横にずれるものの、桑名から一直線で根尾村に着くわけである。道も空いており、予想外に早く10時半に登山口に到着した。最後の能郷からの道は、荒れた能郷谷の川原に沿ってつけられており、崩壊なども多そうで、タイミングによっては通れないことがあるかもしれない。
さて、国道157号が根尾村に入ると、根尾川の流れの先に白い山が現れた。目指す能郷白山が青空の下で正面に出現したので嬉しくなった。名前に違わず確かに真っ白な山である。

2.前山へ

登山口には10台以上の車があった。積雪のある季節だけに心強い。登山口からすぐに能郷谷を石を跳んで渡る。雪解けの為か、流れは豊かである。流れを渡ると、道はさっそく急登となる。ほとんど一直線に石を足がかりに登っていくのでしばらく厳しい登りが続くが、路傍のふきのとうやスミレが目を楽しませてくれる。一歩一歩登ると、道は少し向きを変え、傾斜が幾分ゆるんでくる。斜面を詰めて、小尾根に乗ったようだ。道の脇にはイワウチワの花が咲き始めていた。今の季節ならではのこの花は好きである。
ブナの木もある樹林を登って行くと林道のコーナーに出た。砂防作業用の道で、登山口からずっと続いて登って来ているのだが、今の季節は雪に埋まっており、ここまで車でくることは出来ない。あたりは開けて能郷谷が見渡せるが、荒れ斜面に幾重にも砂防堰堤が築かれていた。
林道を横切って再び山道に入る。再度急登が始まり、だんだん足に応えてくる。稜線が少しづつ近寄ってくるのが励みになる。やがて道が雪に覆われると、傾斜が無くなり稜線に出た。今日は行程が長めなので、まず1時間は頑張ろうと決めていたので、そのまま進むこととした。
稜線に出ると、すぐに2合目に出る。このあたりは雪が無く、道端に一面にイワウチワの開花が始まっていた。その先で少し下った後は、緩急を繰り返しながらの登りが続く。6〜7割は眩い雪の上を歩くようになり、トレースを忠実に辿っていく。幾度かの急登の度に少しづつ高度を稼いでいくと、右手に時折見えている稜線上の前山がだんだん近づいてきた。
左手に見えている三角錐の磯倉のピークが近づいてくると、やがて広い前山の山頂部に出た。だだっ広い雪原で、ここから吊尾根がゆったりと北に延びている。その先には真っ白な能郷白山の山頂部が、すぐ近くにあるように見ることができる。ここではちょうど下山してきたパーティーが数人で休憩していた。

3.能郷白山

時間も遅いので先を急ぐ。しばらくは緩やかな雪原の下りである。周囲は開けていて、山頂部がどんどん近づいてくる。一面の雪となるとさすがに風も冷たく、またここから先は時々強風に煽られるようになり、さすがに上着を着た。緩やかな下りが一段落し、少し急になると、尾根は細くなり土の道になる。鞍部に着くと、今度は山頂を見上げる形になり、なかなか雄大である。
鞍部からまず手前の台地に上がる。このあたりは樹林が多く、いままでとあまり変わらない登りである。これを過ぎると樹林が無くなり一面の雪の斜面だ。先ほどから相前後していた女性の単独行の方が、「あの神社を目指してすきな所を行けばいいよ」という。急斜面は2段に分かれた感じになっており、下半分は横に登山道の露出も見えるが、トレースは皆直線的に登っていっていた。
足元を見ながら黙々とトレースを辿ると、いつしか傾斜が緩やかになった。いつのまにか、神社が左下になっており、直接最高点に着いたようである。笹の一部と標識の頭が露出しているが、ほとんどは雪に埋まっており、風のふく雪の平原になっている。春霞の中で、幾重にも重なる白い山が続いていた。白山や乗鞍や御嶽が見えていると思うが、このあたりは初めてで、同定するには至らなかった。
山頂から神社の祠に下って行く。今は一面の雪原でどこが道ということはないのだが、夏はけっこう笹が茂っているのだろう。固く締まった雪を踏んでわずかで神社に着く。神社の回りだけは雪が解けており、ここでも丁度パーティーが出発していく所であった。
山頂は時折強風が吹き荒れるため、寒かった。防水が全く効かなくなった低山用の靴は、中まですっかり水がしみ通ってしまい、靴下も水浸しである。しばらく神社の陰で休憩していたが、あまり余裕のある時間でもなく、ちょっと食事をとって、早々に下山する。
急斜面の雪の下りは最初の数歩だけ腰が引けたが、転んだところで下まで滑落するような斜面でもないので、途中からどんどん重力に任せて駆け降りていった。数分前に出発していったパーティーを一気に抜き去ってしまい、そんままの勢いで、前山への登りにかかる。前山への登りは前半の急登を過ぎれば、あとは稜線のなだらかな登りである。普通に行くと前山の肩を巻いていくので、一番高そうな所まで立ち寄ってみた。ここも雪の平原状で、能郷白山の山頂よりは暖かく、のんびりするには良さそうである。
前山からの下りも雪が着いていれば快適に下っていける。かなり下ってみると、山頂部では冷たくて恨めしかった風が、ここでは心地よく涼しい。2合目を過ぎて、少し先に下降点があるが、このあたりは一面雪に埋まって標識が無く解りづらい。いくつかのトレースが尾根をそのまま先へと進んでいた。私も数歩進んで戻ってきた。
下降点からは以外に早く一くだりで車道に出会い、ここから急な下りとなる。ここを下っている間に一瞬なぜか雪が舞ったが、登山口に降り立つと再び晴れ渡ってきた。そして、久しぶりに雪の大きな山に登っての心地よい疲れを感じた。

下山後は、まずは「うすずみ温泉」に向かいました。1000円でタオル付きですが、さすがに設備の整った温泉で、五右衛門風呂や露天風呂など、いろんな風呂がありました。そして、新緑となった淡墨桜に立ち寄り、その後は、高校の地学の教科書に出てきた根尾谷断層を見学して帰りました。ということで、家に帰り着いたのは8時半になっていました。
能郷白山に登ってみて、とても充実した山旅を感じました。行程を思い出すにつけ、また登ってみたいという気のする山です。
道中出会った人たちは、ピッケルを持っている人も多く、プラ靴の人もいたりしました。私は軽アイゼンのみ持って行きましたが、凍ってないので、出る幕無し。ただただスパッツを忘れたのが失敗で、斜面を駆け下りると靴の中が雪だらけになってしまいました。

??スミレ??スミレイワウチワショウジョウバカマ

本文中の写真

  • 根尾村の入り口から見る能郷白山
  • 前山の稜線を登る
  • 前山付近からの磯倉
  • 能郷白山から北方の展望



  • 記録

    日 程

    2001年4月22日(日)

    天 候

    晴れ時々曇り

    コース

    1040 能郷谷登山口 → 1110 車道 → 1125 稜線 → 1215 前山 → 1245 吊尾根鞍部 → 1315/35 能郷白山 → 1425 前山 →      1500/05下降点 → 1545 登山口

    能郷白山が近づいてくる


    参考図書・地図 その他のコース
    アルペンガイド 鈴鹿・美濃
    アルペンガイド 白山と北陸の山
    昭文社 関西の山歩き100選
    25000図 能郷 能郷白山
    50000図 能郷白山
    国道157号の温見峠から、稜線通しで山頂に立つことができます。
    バス
    樽見駅(樽見鉄道)より根尾村村営バスで能郷(黒津口)下車。
    但し、バス停から登山口まで2時間かかります。
    詳細は根尾村役場(058138)-2511におたずね下さい。

    温泉
    能郷と樽見の間に、「うすずみ温泉」があります。
    いろいろな施設が充実しており、入浴料は1000円です。
    冬は19時・春〜秋は20時まで入ることができます。
    温泉や観光のご案内は、根尾村HPでご確認下さい。