蕎麦粒山

 蕎麦粒山 1296.7m
 山域:美濃

記録
 山行日2001年5月12日(土)
 ルート大谷林道駐車地点→蕎麦粒山(往復)
 コースタイム0950 駐車場所 → (道迷い) → 1040 駐車場所 → 1135 林道終点 → 1150/1200 尾根取付 → 1325/50 稜線 → 1450/1505 蕎麦粒山 → 1550/1605 下降点 → 1710/20 尾根取付 → 1820 駐車場所
 天候晴れ

3週間ぶりの山はどこか奧美濃の方に出かけようかと思っていたのですが、木曜日の夜に友人から連絡が入り、蕎麦粒山がシャクナゲがすばらしいとのことで、これに決まりです。標高も1300m弱で、林道終点からは、それほど距離も無さそうなので、ちょっと安易に考えていましたが、実際はなかなか厳しい道のりでした。

1.登山口まで

美濃の蕎麦粒山は「そむぎやま」である。蕎麦粒山という名前の山は、時折地図で見かけるが、蕎麦の実の三角錐の形からきているということのようだ。この蕎麦粒山も、尖った山頂部が特徴的で目立つ山である。
いつもの様に長良川に沿った県道23号を穂積へと北上し、そのまま北方に入る。ここから国道303号に入れば道なりで坂内村の広瀬に着く。ここを右折すれば、蕎麦粒山への入り口になる、遊ランドの小さなスキー場である。ここで、同行の方々と合流した。今日は3名でのハイキングである。
今日は遊ランド前の僅かな区間で舗装工事をやっており、ここより奧に入ってしまうと、17時まで出られないとのこと。あわよくば五蛇池山に足を延ばすことも考えれば、いずれにしても遅くなるだろうと、車で入ることにした。車で走れる区間は歩くと20分程度ということらしい。やがて広くなった駐車地に到着。準備を整えて出発する。

2.林道を進む

駐車地のすぐ先で、堰堤に向かう道との二俣となり、その先は崩壊により寸断されている。一旦崩壊の底まで下って登り返さなければいけないので、とりあえず堰堤への道を進み、河原近くまで下ってから急な斜面を登っていく。ここで勘違いしてしまい、林道まで登りきらずに再び堰堤への道に入ってしまい、やがて行き詰まってしまった。結局堰堤付近から先は、微かな釣り人の踏み跡あるのみで道は無く、再び崩壊の地点まで戻ってみると、さらに上に登るロープを発見。正解はもう一段斜面を登ることであった。これを辿ると、林道の続きの立派な道に出て、一件落着だが、1時間弱のロスである。
さて、気を取り直して先に進む。林道はつづら折りに登っていくが、ちょうどその部分を崩壊が串刺しにしているので、あと2回渡らなければならない。最後は崩壊の最上部にあたり、ロープに掴まってのへつりになる。これを過ぎれば新緑の荒れた林道をゆったりと進んでいく。再び沢が近づいてくると眼下には清流や滝が見られるようになった。林道沿いに見られた花は、キケマン・ミヤマカタバミ・ワサビ・ネコノメソウなど。終点付近には残雪が見られ、その脇からやっと出てきたという風情のフキノトウがあった。しかし、これは帰りには無くなっていた。
林道終点からは、植林の中の細い道に入り、沢にそって進む。ほとんど平坦な道をしばらく行くと、道は石を飛んで対岸へと渡り、尾根の取り付きである。ここまで駐車地から1時間以上。もっと楽に来られると思っていただけに、いささか長い行程でかなりの疲労を感じたのであった。

3.蕎麦粒山

樹林の中の道はすぐにロープの掛かった斜面に取り付く。これを登りきると尾根に乗って、以後木の根を掴みながら登るような急登が連続する。尾根の下部はシャクナゲの花も落ち、イワウチワの花も終わってしまっているが、登るにしたがって、盛りを過ぎた花が付いているようになる。急登を喘ぎながら行くと、だんだんシャクナゲの花が多くなり、新しいピンク色の花も見られるようになった。そして中腹を過ぎれば、以降は花に囲まれた登りとなり、満開のシャクナゲと青空に白く映えるタムシバが次々と現れるようになる。そして足元になイワウチワの花に、イワナシの花が咲き始めた。
道は時折ヤセ尾根を通過し、回りの山々も広く見渡せるような展望も出てくる。そして、新緑のブナが現れると、蕎麦粒山の尖った山頂が見え始めた。しばらくするとやっと傾斜が緩み、厳しい登りの末に、展望のいい露岩のある稜線の分岐点に到着する。ここもシャクナゲの美しい木があり、花に囲まれた展望台で休憩した。
稜線の分岐点から蕎麦粒山へは、まずは鞍部までの下りである。ここから先は道をヤブが覆うことが多く、木々をかき分けながらの道になった。鞍部付近は最近まで雪の下にあったと思われる笹が曲がったまま道を覆って強く抵抗していた。鞍部からは笹に覆われた尾根を登っていく。ほとんどトンネルの中を行くような感じでかき分けていくが、この尾根沿いは、カタクリも多く、ちょうど花が開いており、群落も見られた。
尾根を登り詰めると北の肩に上がり、あとは尖った山頂部への急登である。再びシャクナゲの多い道を登っていく。このあたりは花がまだ新しくより美しい。足元にはショウジョウバカマも見られ、高度を上げるに従って花の分布が変わっていくのが面白い。
山頂は360度の展望で、どちらを見ても美濃の山々が波濤のように折り重なっている。遠くには白山や御嶽。近くには能郷白山や冠山がよく目立つ。また、伊吹山から金糞岳へと、山々の連なりも一望のもとであった。
下山は往路をそのまま引き返すが、登りとは視点も違い、花は見る角度も違って、また面白い。分岐点まで再び登り返したあと、シャクナゲの尾根をどんどん下る。行きに見落としたイワカガミを途中で発見。また、尾根の取り付きまで下ったあと、林道に出る途中でザゼンソウを2つ見つけた。林道に出れば、あとは夕暮れの道を下っていくのみである。実働7時間以上の、思いのほか厳しい山行だったが、花や展望に恵まれた充実した1日であった。

花の多い山に、花の多い時期に登ることができました。天候にも恵まれ、花も展望も素晴らしいものでした。かなり暑さも感じたので、いよいよ夏に向かい始めたなという気がしました。気が向けば2日続けてと思っていたのですが、けっこう疲れたのと、冠山への道が通行止めのようだったので、今週はひとつだけにしました。日曜日もいい天気なので、心残りではあるのですが。

この山行は、niftyのFYAMAの 宮指路 さんと たんたん さんにお世話になりました。

本文中の写真

  • 尾根の登りから蕎麦粒山をのぞむ
  • 青空に白いタムシバが映える
  • まだ新しい山頂付近のシャクナゲ

  • 山のスナップ:シャクナゲと蕎麦粒山

    ミヤマカタバミザゼンソウシャクナゲタムシバ
    イワウチワイワナシカタクリショウジョウバカマ

    参考図書・地図
    アルペンガイド 鈴鹿・美濃(1992年10月第1刷)
    25000図 美濃広瀬
    50000図 横山

    稜線の分岐付近からの蕎麦粒山
    その他のコース
    本コース以外には一般コースはありません。また、稜線から藪を漕いで五蛇池山に向かうことができます。
    交通機関
    揖斐駅(養老鉄道)より揖斐川町コミュニティバス「広瀬」行きに乗り、終点下車。
    バス停から登山口(駐車場まで1時間程度)。
    詳細時刻は、名阪近鉄バスでご確認下さい。