戸倉三山

臼杵山 842.1m 市道山 795.1m 刈寄山 687m 今熊山 505m

山域:奥多摩
2000.4.15


奥多摩のハイキングコースとして著名な低山の中で、戸倉三山はついに最後まで残してしまった。行程が長く、低山のわりに気軽に出かけられないのが理由であると思う。この日は友人と二軒小屋尾根歩きを約束していたが、雨の予報の為、道がハッキリした山で、なぜか2人とも歩いていないこの山々を訪ねることにした。

荷田子で乗客のいなくなったバスが本宿の方へ走り去るのを見届けると、あたりはどんよりとしていつ雨が落ちてきてもおかしくない空模様であった。登山口から獣害避けネットをくぐり、植林地の中の道に入る。最初は一本調子の殺風景な道で、足早に高度を稼いでいった。小尾根に取り付くと自然林も出ていくらか雰囲気がよくなり、ひと登りで荷田子峠につく。さて、いよいよ三山縦走のスタートである。
稜線を進むと左手には採掘場と伐採地が、右手には街道が、それぞれ植林と雑木の合間より見え隠れする。時折あらわれるミツバツツジが、一株に紫の花をたくさん咲かせており、印象的である。今年は花の多い年かもしれない。植林地や伐採地や雑木林が入り乱れる中を、いつ雨が降るかと気にしながら高度を稼ぐ。植林の斜面の中に石祠が現れ、茱萸御前とあった。「御前」とは山の神(女神)とのこと。ここはグミ尾根の女神を祀ってあるということらしい。
道が明るい伐採地の上に出たとき、ついにポツリと落ちてきた。ここからは、植林で埋まった臼杵山が黒い姿を現し、高萱尾根も間近に望まれるが、峰見通りは雲に隠れているのか、ここからは見られなかった。小ピークを過ぎて檜林の急登のあと臼杵神社に出る。養蚕の神がまつられるとのことで、左右に一対の猫碑に守られている。折り返して、臼杵山の山頂に向かい、雨宿りできそうな木の下で足を休めた。
山頂からの下りの道は、雨で濡れて滑りそうで木につかまり慎重に行く。このあたりは高低差が意外に大きく、市道山までの道のりが長く感じられた。鬱蒼とした植林の中の登りをこなすと、笹平からのヨメトリ坂を併せ、立派な標識のある市道山に達した。この名前は「五日市への道」から由来するものらしい。山頂では雨に打たれながら小憩とした。
市道山から僅かで醍醐丸への道を分け、峰見通りに入る。ここは起伏が激しいと覚悟していたが、一つ一つはそれほど大きな高低差はなく、市道山までの道よりは、はるかに穏やかな歩きやすい道であった。途中栗の木沢ノ頭という標識のある724mのピークを過ぎると、だんだん道にも水が浮くようになり、体へも靴へも水がしみ込んできて煩わしくなってきた。ここはひたすら歩を進めるのみ。鳥切場らしい場所を通過し、鉄塔の立つピークを巻いて進むと、道が崩壊している場所があった。落ちたら悲惨なことになりそうなので慎重に通過した。
林道の通る入山峠から刈寄山に向かうころ、さらに雨足が激しくなってきた。このあたりは展望のいい場所らしいが、あたりはどんどん白くなる。もくもくと長時間雨の中を歩いており、心身ともに応えてくるところである。刈寄山山頂は雨に煙り、カメラを出す気も起こらず、正直やっとこれで下れるという気分であった。
今熊神社への道は巻き道が多く、登り返しがあまりなく快適であった。山桜やミツバツツジの美しさに励まされつつ下っていく。今熊神社の入口から折り返し、最後のピークということで神社へと登った。下山は今熊に下るのが一般的だが、金剛の滝の道標があったので、滝まで行けば沢戸橋に出られると思い、神社の裏手からよく踏まれた道に入った。途中執拗に現れる今熊バス停の標識に混乱したが、直接滝に下る道の通行止めの標識のあるところから、しばらくトラバース道を行ったのち小尾根を急降下すれば、金剛の滝の下の堰堤にでる。滝見物はパスし、逆川に沿ってしばらく進むと、左岸の荒れた車道に出た。エアリアは滝の下からすぐに車道になっているが、ほとんど廃道化しているようである。やがて採掘場からの道と合流し、ダンプに驚かされながら歩くと、程なく沢戸橋に出た。バスは10分後にやってきた。



記録

日 程

2000年4月15日(土)

天 候


コース

0720 荷田子 → 0740/45 荷田子峠 → 0910/30 臼杵山 → 1035/1105 市道山 → 1220 トッキリ場 → 1250 入山峠 → 1305/20 刈寄山 → 1410/25 今熊山 → 1530 沢戸橋バス停

市道山山頂


参考図書・地図
エアリアマップ 奥多摩
25000図 五日市
50000図 五日市