アプローチの長い遠い山のイメージがあって、奥多摩では最後まで足を踏み入れなかった長沢背稜の山々であるが、今回はFYAMAの方の誘いで酉谷山に登ることとなった。登ってみれば意外と親しみのもてる山であった。
小川谷林道は普通は歩くものと紹介されている。しかし今回は車で登山道入り口まで入ることができた。ゲートが閉まっていることもあるらしいが、運良く車で奧まで入れた場合は、2時間の林道歩きの短縮となり、ここからは標高差700m強と一気に近い山となってしまう。
登山口からは三又まで緩やかなトラバースの下りである。青空のもと、冬枯れの道は明るく晴々とした気分で進んでいく。20分ほどで沢に橋のかかる三又に着き、対岸に渡る。ここから右岸を緩やかに登っていき、しばらく進むと尾根の張り出しを乗り越すように、急に高度をあげるて高巻いていく。登り着いたあたりから、上方に酉谷山避難小屋を見ることができた。再び流れ沿って進んでいくと、老朽化しているが、雨風はしのげそうな旧酉谷小屋に着く。そしてしばらく高度を上げていくうちに、流れも涸れ、苔むして岩のゴロゴロした沢を登るようになる。沢から別れると、僅かな斜面の登りで、真新しい酉谷山避難小屋に到着した。
小屋の前で、タワ尾根などを眺めながら一休みしたあと、山頂を目指す。途中で秩父側から登ってきた仲間と合流し、一緒に登って行った。縦走路を横断して尾根に出ると、北風で急に冷たくなる。道にはかすかに雪が積もっており、眼下に秩父の町並みが光っているのが見える。いつも奥多摩の地図に見慣れていると、このあたりは上の端にあって、最も山深いというイメージがあるが、実は秩父側からは近い山であることを認識できた。
さて、今回の目的は酉谷山頂のゴミ掃除である。たくさんの缶が落ちていると言うことで、ゴミ袋の用意をして登ってきた訳だが、それは山頂の南斜面を新たに刈り払ったために、かつて埋めたゴミが露出してしまったものらしい。それらは30年くらい経っていると思われる空き缶の山であった。総勢5人で掘り起こした結果、各々大きなゴミ袋を背負って分担することとなった。
作業も一区切りつけば、あとは酒を飲みつつ、久しぶりや初対面の顔合わせに話が弾む。1時間あまりの楽しい時を過ごし、1人は再び秩父へ、他の4人はゴンバ尾根を目指した。
縦走路に出て、矢岳への分岐を確認したついでに、ピークに登ってみると、坊主山の平らな山頂に出た。再び縦走路に出て、最後に七跳山を目指す。結構な急登で、また荷物が増えてしまっており、喘ぎながら登り着いた山頂は、ごく狭い笹の切り開きであった。下山はゴンバ尾根を下るが、この道は尾根上をジグザグにどんどん下る良い道で、あっという間に高度を下げ、一気に林道に降り立った。車まで戻ると、鹿の鳴き声がしたので斜面を見上げれば、2頭前後して登っていった。
冬枯れの明るい酉谷の流れ