有間山 日向沢ノ峰 棒ノ折山

 有間山(タタラノ頭) 1213.5m 日向沢ノ峰 1356m
 棒ノ折山 969m
 滝入ノ頭 1070.9m しょうじくぼの頭 1080m
 ヤシンタイノ頭 1100m 橋小屋ノ頭 1163m 仁田山 1211m
 山ナシ山 クロモ山 長尾丸山 958.4m 槙ノ尾山 945m 
 山域:奥武蔵 奥多摩

記録
 山行日2014年5月10日(土)
 ルート名郷→鳥首峠→有間山→日向沢ノ峰→棒ノ折山→河又
 コースタイム0812 名郷バス停 → 0850 JFEミネラル → 0908 白岩 → 0956 鳥首峠 → 1028 滝入ノ頭 → 1101/13 橋小屋ノ頭 → 1139/54 タタラノ頭 → 1224 有間峠 → 1236 仁田山 → 1300/25 鉄塔→ 1343 日向沢ノ峰 → 1408/16 鉄塔 → 1520/37 長尾丸山 → 1622/33 棒ノ折山 → 1643 ゴンジリ峠 → 1658/1707 岩茸石 → 1807 滝ノ平尾根登山口 → 1815 河又名栗湖入口バス停
 天候晴れ

先月の鍋割山に引き続き、1995年「ハイグレードハイキング東京周辺」からのコースです。お題はロングコースですが、時々長いコースを歩いてみたくなることがあります。有間山も含め、今回のコースやピークは殆どが歩いたことの無い場所なので、かなり楽しみにして出発しました。

1.登山口まで

今回はロングコースということで、飯能から始発のバスに乗るために、家からも4:43の始発電車で出て行きます。飯能からは、7:10の湯の沢行きでほぼ満員。さわらびの湯で半数が降りましたが、最近トレイルランニングをする方々が多いようです。
名郷で下車し、若干の準備を整え鳥首峠方面に向け出発しました。途中で妻坂峠への道を分けると、以降は初めて歩く区間になります。白岩入の渓流に沿って幾つかのキャンプ場を過ぎていくと、JFEミネラルの工場がありました。ガイドブックには鋼管鉱業とありますので、時代の流れを感じます。工場の事務所の入口と並ぶようにハイキングコースがスタートしており、ちょっと独特な感じの入口でした。

2.鳥首峠へ

登山道は、若干工場の作業者の通路と交錯しているようですが、工場を回りこんで上に登って行きます。工場内には鉱山鉄道が走っているようで、ちょっと興味が湧きました。今日はロングコースなので、出だしで失敗しないよう、ことさらペースを意識して歩き始めました。鉱山の音が小さくなると廃屋が幾つか現れ、白岩の集落跡に出ました。その先で休憩し、今日は朝食を取り損なっていたので、最初の行動食をとりこれからの登りに備えました。
白岩の集落跡を過ぎると道は斜面に沿って緩やかに登って行き、幾つか小沢を回りこんでいきます。上空ではゴーゴーと風の鳴る音がしていますが、よほど風が強いのかもしれません。少し心配です。やがて道は山腹を折り返して登るようになると、どんどん高度を上げていき、鳥首峠に出ました。やはり風が強く、また日が当たらないのでかなり寒く感じ、休憩しようという気にはなりませんでした。

3.有間山

鳥首峠から南へ小さなピークを越えた後、雑木林の道を登って行きます。とにかく強風が吹きつける中、我慢の登高です。部分的にはかなりの急登もありましたが、登りきると南斜面を大きな範囲で皆伐して新たに植林した場所にでて尾根は左に向きを変えました。
ここからは長沢背稜が見渡せます。日向沢ノ峰から蕎麦粒山、三ツドッケ、酉谷山へと繋がる特徴的な山々が一望の下という爽快な展望です。植林が育つまでの間しばらく楽しめそうです。
小さなピークを幾つか越えて、滝入ノ頭に着きます。ここには三角点がありました。このあたりから有間山の全貌が良く見えるようになりました。なるほど、全体が有間山とガイドブックに良く書かれていますが、意味がわかりました。幾つかのピークを持つ一続きの山稜になっているのですね。その向こうに少し独立したような感じで仁田山があります。これから行く稜線の全貌が良くわかりました。
再び登り返して、しょうじくぼの頭に到着、ヤシンタイノ頭とは繋がった山頂部となっています。ヤシンタイノ頭付近からは樹幹に蕨山が良く見えていました。この稜線も風が強いのですが、日が当たるのでその分暖かく感じました。
さらに下って、ゆっくり登って行くと有間山のエリアに入っていきます。登りついたのが気に囲まれた橋小屋ノ頭で有間山の標識があります。ここで蕨山からの道が合流します。ここで小休止としました。
橋小屋ノ頭から有間山の最高点になるタタラノ頭に向けで稜線を進みます。小さなピークをいくつも越えていくのですが、それほど大きなアップダウンではありません。ところどころに低い笹に覆われた雑木林の中の道があって気持ちのいい道になっています。辿りついたタタラノ頭は三角点がある静かなピークでした。明るい雑木林の中の気持ちのいい場所なので少し休憩しました。
タタラノ頭から下ったあたりは尾根が広くなり独特の雰囲気がありました。さらに登り返して南端にあるピークに登りますが、道は明確に稜線を辿っていず、そのまま通り過ぎて車道に切り開かれた有間峠に出ました。有間峠の両側は道標が無く、特に有間山側は入口がわかりづらいかもしれません。有間峠からは眼下に名栗湖が見えていましたが、まだまだ先は長いようです。

4.日向沢ノ峰から棒ノ折山へ

有間峠から再び山道に入り、仁田山に向いました。まだ、今までの稜線歩きの続きで次のピークという感じではありますが、仁田山は日向沢ノ峰の手前の最後のピークです。登り詰めた仁田山のピークはちょっと殺風景な感じでした。このあたりは背の高いスズタケがあったようですが、すべて枯れてしまっています。枯れたスズタケを踏むとパキパキと音をたてます。仁田山から下ると再び車道が接近してきますが、これに降りることはありません。ただ、車道の切通しの上に立つ部分があり、高度感がありますが、これから歩く都県界の尾根が一望できました。
鞍部から鉄塔巡視路が登ってきました。鉄塔巡視路はとても歩きやすくできており、大好きです。この歩きやすい幅と高さの階段はきっと長年の作業の中でのノウハウだと思います。そのような技術を使わせて貰っている立場でもあります。歩きやすい道なので、そのまま鉄塔まで登って行きました。鉄塔からは展望が広がっていますが、送電線と被って今ひとつかなと、まだ風が強そうだったので、さらに少し進んだ広いところを見つけてしばらく休憩しました。
鉄塔からは今日の最高点に向けての登りとなります。歩きやすく気持ちのいい雑木林の道を、100mほど高度を稼げば主稜線の防火帯に出ました。伸びやかな尾根が広がり爽快です。その道を、ゼッケンをつけた選手が続々こちらに向ってきますが、今日はトレランの大会をやっているようで、日向沢ノ峰がチェックポイントになっているようでした。日向沢ノ峰の山頂に立つと、奥多摩の南の山々や富士山が見られました。南面の展望のいい爽快な山頂でした。
日向沢ノ峰から棒ノ折山への道は一気に急下降から始まります。これからしばらくの間は、トレランの選手とすれ違ったり避けたりが続きますが、さすがにこの部分は走れないようで、息も絶え絶えに登ってくる人が多いようです。急坂を一旦下りきってからも断続的に急な下りが現れますが、逆に登り返すようになると再び鉄塔に出ます。ここも展望のいい場所ですが、有間山が違った角度から見ると、立派な双耳峰に見えるのが面白いと思いました。
ここからはピークに登ったと思うと大きく下り、といった道が繰り返されます。これは結構足に応えます。登ったピークには山ナシ山とか、クロモ山とか表示をしてある山もありました。この断続的に続くアップダウンでは少々消耗してしまいました。それ以前にトレラン大会との離合でちょっとペースが狂ってしまっているのも否めないところです。道は植林地の部分が多いのですが、自然林もあります。特にクロモ山を越えたあたりから両側を自然林に囲まれた道になり、雰囲気のいいところがしばらく続きました。
長尾丸山へはしっかりした登りで急登もありますが、さすがにここまで来たのでかなり疲れを感じました。山頂は木々に囲まれた静かな場所で、先の行程や時間のことを考えつつ休憩しました。
長尾丸山から棒ノ折山までは急な坂は無く、登りも下りもゆったりと歩けました。再び登り返した槙ノ尾山からは落合への道が下っていました。かつての地図には棒ノ折山との鞍部からの道になっていましたが、現在は槙ノ尾山頂からの道になっているようです。棒ノ折山への登りは自然林が美しい道でした。登り詰めると広い山頂はほぼ15年ぶりで、前回から随分時間が経ってしまいました。山頂では奥武蔵の山々の展望を楽しむひと時を過ごしました。

5.河又へ下山

棒ノ折山からの下山の道はかなり荒れています。ゴンジリ峠までは横に道が付け換わって、元々の道は植生回復中ということになっていましたが、ゴンジリ峠から岩茸石までは酷いものでした。造られた木道は土砂が流出して骨組みだけ残り、異様な状態になっていました。歩けるところを歩いて岩茸石で小休止し、最後のくだりの滝ノ平尾根への道に入りました。
しばらくは平坦な道が続いて林道を横切ります。昔の地図では林道はないので、最近伸びてきたもののようです。林道を横切ると白地平までは緩やかな登りが続き、もう登りは終わりと思っていただけに、ちょっとウンザリでした。白地平から再び急下降となりますが、途中2回林道が交差します。2回目はさすがにイラっとしてしまいました。急下降が終わると、尾根は東に向きを変え、しばらく緩やかに下ったあと、再び北向きの急な道になります。このころから、右に人家が見えてくるのですが、さらにどんどん下ります。大変歩きづらい道で、相当荒れた感じになっています。足はもはやガクガクしています。まだかまだかと足を運んでやっと緩やかな道になりお墓の裏から登山口に出ました。
ここまで一気に500m弱を下ったから当たり前といえば当たり前ですが、足は自分の足では無いようで、放心状態でバス停まで歩きました。バスまで20分ほどという程よい待ち時間でしたので、着替えたりして休んでいると、間もなくバスがやって来ました。

行動時間は丁度10時間。こういう長時間の歩きは久しぶりです。縦走中であれば10時間超の行動は時々ありましたが、登って下って10時間超というのは、そんなにありません。それだけに、相当足に応えたという感触があります。このコースは一つ一つの登りの標高差がそれほど大きくないので、救われている面もありますが、さすがに後半は疲れてきました。一方で現状の体力を少し確認できたので、良かったとも思いました。
鳥首峠から有間山、日向沢ノ峰までは静かで大変素晴らしいコースでした。かつては藪の多かったこのコースがここまで普通に歩けるようになっているのは、ロングコースが求められるトレランブームのおかげかも知れません。しかし、コースの荒れた部分も目だって着ていますので、ちょっと思いやる部分もあります。道と周りの植生は大事にしたいと改めて思いました。

本文中の写真

  • 鳥首峠への登山口となるJFEミネラル入口
  • 風が強かった鳥首峠
  • 滝入ノ頭付近から奥多摩の山並み(三ツドッケ付近)
  • ヤシンタイノ頭付近からの有間山
  • ヤシンタイノ頭付近からの蕨山
  • 仁田山付近から見る都県界の稜線
  • 日向沢ノ峰付近の明るい稜線
  • 棒ノ折山への最後の登りの明るい樹林
  • 広々とした棒ノ折山山頂
  • 棒ノ折山山頂から秩父の山と武甲山

  • 参考図書・地図
    ハイグレードハイキング東京周辺(山と渓谷社1995年改訂2刷)
    25000図 原市場 武蔵日原
    50000図 五日市

    明るい静かなタタラノ頭山頂
    その他のコース
    鳥首峠
    ・浦山、川俣より鳥首峠
    橋小屋ノ頭
    ・名郷あるいは河又より蕨山を経由するコース。
    日向沢ノ峰
    ・川乗山あるいは奥茶屋から
    ・蕎麦粒山からの縦走 棒ノ折山
    ・成木あるいは高水三山より黒山経由
    ・落合から槙ノ尾山経由
    岩茸石
    ・白谷沢コース
    ・名栗川橋バス停からトウギリ林道経由
    交通機関
    飯能から名郷・湯ノ沢方面
    時刻表は、国際興業を参照願います。