不動山

 不動山 549.2m
 山域:奥武蔵 秩父

記録
 山行日2012年3月17日(土)
 ルート樋口駅→林道入口→間瀬峠→不動山→苔不動→洞昌院 →野上駅
 コースタイム0935樋口駅 → 0950 林道入口 → 1015 林道分岐 → 1040/1100 稜線(間瀬峠下降点) → 1110 間瀬峠 → 1145/1200 不動山 → 1206 不動峠 → 1212 苔不動 → 1240 苔不動への分岐 → 1254 車道(苔不動登山口) → 1320 洞昌院 → 1342 野上駅
 天候曇り

もともとあった所要がキャンセルになったのですが、雨の予報。雨の里山歩きもいいかなと、あまりストレスのかから無さそうな山をと探して、不動山を見つけました。不動山は、父不見山から城峰山を経て東に伸びる稜線上にある三角点の山ですが、山頂直下に林道があり、下から登る人は少ないようです。

秩父鉄道の電車は熊谷を出ると、やがて荒川に沿って上流を目指しますが、寄居までは関東平野の中をまっすぐ走って行きます。そして、関東平野の尽きる寄居から、荒川は山間を蛇行し始め、秩父鉄道もそれに沿って山裾を縫うようになります。今日の不動山は、樋口駅とその次の野上駅の間の左岸に聳える山で、樋口駅の先で主稜線からの尾根が伸びてきているので、ホーム上に駅舎のある、小さな樋口駅から降りて歩くこととしました。
国道を上流に向って歩くと、尾根の末端が張り出してきていますが、その尾根の先の民家のあるあたりが登り口と検討をつけていました。このあたりは、エアリアマップの範囲外ですし、25000図も持ち合わせていないので、ガイドの「埼玉県の山」のデフォルメされた地図だけが頼りです。丁度居合わせた民家のおばさんに聞くと、「その先の家のところから入るといいよ。時々降りてくる人もいるから」とのこと。民家の横の小さな車道を入ると、すぐに未舗装の林道へと変わりました。
少し登ると荒川を挟んで対岸に、大霧山から続く比企の山の北端が良く見えました。途中道標の類は全く無いので半信半疑ではありますが、この道と信じて歩を進めます。林道はだんだん荒れてきますが、歩くには全く問題ありません。大きな岩のあるところで岩の袂に小さな祠が奉られています。信仰の道でもあるようです。祠から道はさらに荒れますが、程なく林道の交差点に出ました。
この林道の交差するあたりは道が入り組んでおり、デフォルメされた地図だと大変わかりにくいのですが、こちらと解釈して右に進んでしまいました。本当は左に進んだ方が良かったようです。やがて林道の両側に高いところが無くなったので、尾根に出たようすですが、道はまだまだ登って行くので、主稜線では無さそうです。少し方向がずれたかなとも思いましたが、主稜線に出れば稜線を辿って戻れば大丈夫だろうという算段で登って行きました。天気はまだまだ大丈夫のようで、暗く曇ってはいますが、雨は落ちてきません。
緩やかな尾根を登ったり、巻いたりしながら、概ね尾根に忠実に登っていくと、やがて左右に高いいところが無くなり、道も平坦になったので、稜線に登りついたようです。そして、下る斜面に踏み跡と、行き先の無い古いハイキングイベントの順路の矢印を見つけました。
デフォルメされた地図を見ると、どうやら間瀬峠の少し陣見山側の稜線に出ている様でした。従って不動山側に進めは間瀬峠に出られるはずですが、見つけた踏み跡を辿ると、相当下ってしまいそうです。下っていいものかどうか確かめようと考え、さすがにこのあたりは電波が良く入るので、i-phoneにプレインストールされている地図と磁石を使用してみました。スマートフォンは現在地がわかり、磁石がついているので大変便利です。もちろん電波が入らなければどうしようもありませんが。
雑木林の中の下りに入ると下から峠を走る車とバイクの音がしたので、正しいことを確信しました。そして一下りで立派な舗装路が見えてきました。降り立つと間瀬峠の表示と、今しがた下ってきた方向に向けて陣見山を示す道標がありました。すぐ横に庚申塚と正しい細い林道が上ってきており、不動山への登り口は峠の北側に取り付きがありました。
不動山へは普通の山道の登りになります。今までは土の道とはいえ林道だったので、今日始めての普通の登山道です。左側が伐採されており、展望のある明るい道でした。まだ雨は落ちず、どうもいい方に外れてくれたようです。明るい道を登って行くと、最後に暗い植林の急登となり、これが最後の登りで三角点のある山頂です。まったくの植林の中で展望はありませんが、小さな静かな山頂でした。少し休憩して山頂を発つころ、麓から12時の時報が鳴り渡りました。
山頂から山道を少し下ると再び車道に出ます。ここは不動峠と書かれています。車道を少し進んだところが苔不動への下降点で、山道に入ると相当の急な下りとなり、僅かで苔不動に出ました。ここは新しい不動像もあり、最近もお参りする人が絶えない様子でした。 苔不動からの下りは、しばらく石の積まれた急斜面になりますが、大変急な上に不安定で、一度は石が抜けてしまい、慎重に下りました。そしてさらに大きな岩の下に出るとしめ縄が張られています。山中の岩が悉く信仰の対象になっているようです。
道は植林の間の急な一直線の下りになり慎重に行きます。やがて、皆伐されたところの裾を通るようになりますが、道の上に伐採された木の残骸が積み重なっており、大変歩きにくいところでした。途中にやはり大きな岩のしたに小さな石仏が奉ってありましたが、岩の上に伐採された木が倒れこんでいて、神様も重そうでした。伐採地と別れ基本的に小沢に沿って下りますが、このあたりは踏み跡が乱れており、あって無い様な感じになりました。歩きやすいところを歩いていくと、立入禁止の金網があり、その横を少し幅の広い道の通る所に出ました。逆コースだと、入る地点の踏み跡が明確で無い為、相当わかり難いと思いました。赤テープが幾つかあり、それが目印です。古い小さな「不動山」と書かれた板もありましたが、目に付くかどうか。ガイドブックにあるように、金網に沿って登ってきて、金網が左に大きくUターンする地点です。
金網に沿って下っていくと、大黒天が奉ってあります。別のところにあったものを、射撃場を作るときに移設したとのこと。そういえば射撃の音が近くで聞こえています。また、この大黒天の前に、「向テ左不動峠ヲ経テ河内方面ニ至ル」と書かれた古い石柱がありました。かつては、信仰の道であり、また生活道路であったことでしょうが、山頂付近に林道ができた今では、苔不動へのお参りも、道の様子だと、林道を使って車でということになっているのかもしれません。
さらに金網に沿って下ると、八重子3号橋の袂に出て山道は終わりです。ここには苔不動への道標がありました。あとは広い車道歩きです。すぐに長瀞総合射撃場の立派な看板があり、さらに下って振り返ると不動山の山頂が良く見えました。雰囲気のいい山里を楽しみながら洞昌院の前を通り国道に出て野上駅へと向かい、最後は駆け足になり、電車の時間の2分前に駅に滑り込みました。

雨の予報でしたが、帰りも寄居あたりまでは電車の中は陽が射す暖かさでした。そして久しぶりに東上線に乗って池袋に向いましたが、都心に着く頃にはすっかり雨になりました。時間的なものか、地域的なものか良くわかりませんが、雨の予報の中で快適な山歩きが楽しめた一日でした。城峰山から東への尾根上には、まだいくつか登っていない山もあり、何も計画が無い時など、秩父の山里の歴史などを感じつつまた訪ねてみたいところです。

本文中の写真

  • 登り口上部から比企の山の展望
  • 静かな不動山山頂
  • 苔不動
  • 登山道中の石仏

  • 参考図書・地図
    分県登山ガイド 埼玉県の山(2003年改訂第2版)
    25000図 鬼石
    50000図 寄居

    山麓から見る不動山
    その他のコース
    山頂稜線の両側を車道の峠道が通っており、山頂へはこのコース以外無いようです。
    間瀬峠から陣見山へは縦走ができます。