伊豆ヶ岳

 伊豆ヶ岳 850.9m 五輪山 770m 古御岳 820m
 高畑山 695m
 山域:奥武蔵

記録
 山行日1997年3月9日(日)
 ルート正丸駅→伊豆ヶ岳→天目指峠→子の権現→吾野駅
 コースタイム0840 正丸駅→0940/0945 五輪山→1005/1025 伊豆ヶ岳→1040古御岳→1105/1115高畑山→1145/1155 天目指峠→1245/1250子の権現→1400吾野駅
 天候快晴

奥武蔵の山々を少々見くびっていたかもしれない。低山で簡単に登ることができ、のんびりハイキングに最適というイメージだ。電車でゆっくり行って楽に回ってこようといった程度の魂胆で伊豆ヶ岳を選んだ。イメージとしては頂上直下に鎖場のある山、でも800mそこそこの人気の手頃な山といったものだっただろうか。

池袋7:15発の快速急行三峰口・長瀞・寄居行きは2ドアのボックスで長距離急行に似つかわしい車両である。中高年ハイカーの団体専用列車という雰囲気で奥武蔵へと向かって行くが、乗客も飯能で降り高麗で降りで意外と正丸まで行く人は少ない。駅を降りると右手の階段を下り、大蔵山の集落を経て登山口を目指す。梅がどの家も庭先や畦に満開に咲き誇っており、中でも紅梅が一際鮮やかに目を引いていた。
登山口から植林の中のゆるやかな渓流に沿った道が続くが、名栗少年自然の家の分岐あたりから石がゴロゴロ出てきて山道らしくなり、そして植林の斜面を急登する様になる。たくさんの人が思い思いのところを歩くのか下草は無く滑りやすい土の露出した急登である。木にロープを張り巡らせて掴まるようにしているが地面が湿ると滑ることだろうと思う。斜面を登り切ると尾根歩きになる。冬枯れでもあり展望のいい尾根道で北の方の山々がよく見える。最初の五輪山の頂上は丸い広場でベンチがあり、そこから少し降りると鎖場の基部にでる。正面に聳える岩は予想以上に険しかった。鎖があるので悩むことはないがもし不十分であればちょっとためらう様な崖である。登り切って今度は大きな岩を乗り越し、狭い稜線をしばらく行くと目の前が開け三等三角点のある広い頂上部に出た。
快晴の展望の頂上で見るべきは武川岳である。正面に穏やかな姿でどっしりと横たわっている。武川岳から大持山への稜線も素晴らしい。是非あそこを歩いてみたいと思った。武川岳の後ろに武甲山が顔を出している横顔なので悲しいかな半分しかない。しかしいずれも魅力的な山々が並んでおり、それらを一望する快晴の山頂は最高である。
伊豆ヶ岳からは大きく下り古御岳に登り返す。武川岳の裾が採石で大きく崩されているのが見え、痛々しい。第二の武甲山にならないよう祈る。古御岳からは伊豆ヶ岳の頂上が人で賑わっているのがよく見える。古御岳からは何度か急下降を繰り返しながらコブを越え高畑山に到着した。大分標高が下がったので古御岳が立派に眺められる。それにしても道は登り下りを執拗に繰り返ししかも結構急な坂が多い。高畑山からは緩やかに下って天目指峠に降り立った。
さてここから再び4つのピークを乗り越して行くかなければならない。最初のピークへの登りは斜面の片側を皆伐してあり暖かく明るい。次々と執拗に現れるピークを越していくにつれ、だんだん子の権現のものらしい鐘の音が近づいてくる。最後の登りを終えると子の権現の屋根が下に見えた。高畑山から峠に200m下って子の権現まで200m登り返したということになるが、結構疲れた
子の権現は足腰の守り神なので賽銭を入れてよくお参りした。子の権現からは車道を横切りジグザグに切った植林地の中の道を下降していく。やがて舗装道路になり里の道をどんどん下る。国道の手前で山道経由の近道に逃れるが再び里の梅の花を楽しみながら子の権現から約1時間で吾野駅到着。充実した一日を終えた。

少なくとも奥武蔵の印象が一変してしまったことは間違いない。考えてみれば長沢背稜が奥多摩と奥武蔵の境界だとすれば背稜をはさんで北と南は同じくらいの山々が連なって然るべきであった。南に川苔山があれば北に有間山があるのだ。遅まきながら認識を新たにしたと同時に魅力的な山々をたくさん見つけることができた。また中高年の方も単独でよく縦走しているが、みんな元気いっぱいで楽しそうだ。伊豆ヶ岳は、山好きな人が飾らずみんなで集う山といったところだろうか。


参考図書・地図
アルペンガイド 東京周辺ワンデイハイク(1993年第2刷)
昭文社エアリアマップ 奥武蔵・秩父(1996年版)
25000図 正丸峠 原市場
50000図 秩父

山頂より武川岳
その他のコース
山伏峠から伊豆ヶ岳
上久通から伊豆ヶ岳
その他派生するコースがいろいろあるようです。


Nifty FYAMA 投稿文

伊豆ヶ岳【奥武蔵】

3月になって今年初の山にでかけました。昨年とは違って格段のスロースタートです3ヶ月ぶりの山ということもあって、手頃で比較的楽に楽しめそうな奥武蔵の山から伊豆ヶ岳を選びました。

【日 程】97年3月9日(日)
【目 的】伊豆ヶ岳
【天 候】快晴
【コース】0840 正丸駅→0940/0945 五輪山→1005/1025 伊豆ヶ岳→1040古御岳
     1105/1115高畑山→ 1145/1155 天目指峠→1245/1250子の権現→
     1400吾野駅
【山 名】五輪山 伊豆ヶ岳 851m 古御岳 830m 高畑山 695m 子の権現 653m
【メンバー 】単独
【山 域】奥武蔵
【参考書】ヤマケイ・アルペンガイド 東京周辺ワンデイハイク
1.前口上

奥武蔵の山々を少々見くびっていたかもしれない。イメージは低山で簡単に登ることができ、のんびりハイキングに最適というものだった。比較的中高年の方が多く体力はそれほど必要でもない等々....3ヶ月ぶりで車を運転していくまでの気力がまだできあがっていない段階なので電車でのんびり行けて楽に回ってこようといった程度の魂胆で伊豆ヶ岳を選んだのだ。伊豆ヶ岳のイメージは頂上直下に鎖場のある山。でも大したことは無いし、800mそこそこの山で1時間程度で登れて、ただ奥武蔵でも人気の手頃な山といったものだっただろうか。どちらかというと500m程度の低山の延長くらいに考えていたかもしれない。
西武池袋7:15発の快速急行三峰口・長瀞・寄居行きは2ドアで席はボックスである。通常飯能〜秩父で運用されている車両だと思うが長距離急行に似つかわしい車両だ。すでにどのドア口にもたくさんの人がならんでいるが見渡すかぎり中高年ハイカーばかり。席についても団体専用列車に一人ポツンと座っている雰囲気だ。なんとなくほんとにここに来るべきだったか真剣に悩みつつ雰囲気を奥武蔵のイメージとだぶらせていたが、同じボックスのおばさんがオレンジを4つに切って私にも分けてくれた。中高年の団体の中に1人で何かやだなと思っていた自分を恥ずかしく思った。まず思いこみと現実の違いに遭遇する第一歩であった。
満員だった乗客も飯能で降り、高麗で降り(日和田山か?)して意外と正丸まで行く人は少ない。駅を降りると団体で歩く方が動き出す前にと改札口を出てから止まらずそのまま山行に移る。

2.伊豆ヶ岳

正丸駅から登山口までは大蔵山の集落を通っていく。梅が満開でどの家のにも庭先や畑の畦に咲き誇っており素晴らしい。中に紅梅が一際鮮やかに目を引いていた。道々気になるのは「立入禁止」とか「駐車禁止」とか看板がやたら多いことだ。なかには「草木を折ると窃盗罪になります」なんてのもある。ハイカーがいきがけの駄賃にと山に入って山菜をとって行くなんてことが横行していたのだろうか。慎むべきことである。
登山口からはしばらく植林の中のゆるやかな渓流に沿った道が続くが、名栗少年自然の家の分岐からしばらく行くと石がゴロゴロ出てきて山道らしくなり、そして植林の斜面を急登する様になる。たくさんの人が思い思いのところを歩くのが下草はすっかり無く滑りやすい土の露出した急登である。木にロープを張り巡らせて掴まるようにしているが地面が湿ったりするとずるずる滑ることだろうと思う。落葉樹の斜面に変わるがますますひどくなり何かに掴まらないと登れないような斜面である。斜面を登り切ると尾根歩きになる。冬枯れでもあり展望のいい尾根道になって北の方の山々がよく見える。途中50台くらいの男性にはっきりと体力差がわかる様なスピードで抜き去られた。恐るべし。
五輪山の頂上は丸い広場でベンチがある。少し降りると鎖場の基部にでる。正面に聳える岩は予想以上に険しかった。鎖があるので悩むことはないがもし不十分であればちょっと登れない様な崖である。通行禁止の看板がでていて、巻き道の女坂を回りなさいとのこと。でもせっかくの伊豆ヶ岳のシンボルなので鎖場を登っていった。結構高度感はあった。登りきると今度は大きな岩を乗り越す。鎖は無いが手がかりが多いので問題はない。狭い稜線をしばらく行くと目の前が開け三等三角点のある広い頂上部に出た。
快晴の展望の頂上で、ここで見るべきは武川岳である。正面に穏やかな姿でどっしりと横たわっている。武川岳から大持山への稜線も素晴らしい。是非あそこを歩いてみたいと思った。武川岳の後ろに武甲山が顔を出している横顔なので半分しかない。もとあったと思われるところに空の上に線を引いてみるとずっしりした山のようだ。
少なくとも奥武蔵の印象が一変してしまったことは間違いない。考えて見れば長沢背稜が奥多摩と奥武蔵の境界だとすれば背稜をはさんで北と南には同じくらいの山々であって然るべきであった。南に川苔山があれば北に有間山があるのだ。遅まきながら認識を新たにしたと同時に魅力的な山々をたくさん見つけることができた。

3.子の権現まで

伊豆ヶ岳からは大きく下り古御岳に登り返す。急下降急登と続き結構疲れる。途中、武川岳の裾が採石で大きく崩されているのが痛々しい。第二の武甲山にならずにいて欲しいものだと思う。古御岳からは伊豆ヶ岳の頂上が人で賑わっているのがよく見えた。
古御岳からは何度か急下降を繰り返し、コブをいくつか乗り越えて高畑山に到着した。ここは大分標高が下がったので古御岳がすごく立派に眺められる。それにしてもこの道は登り下りを執拗に繰り返ししかも結構急な坂が多い。
高畑山からはもう下る一方だと思って安心して歩いていったがこれはあとでとんでもない間違いだと気づく。とにかく天目指峠に当初急下降しだんだん傾斜が緩んで到着。車道が横切っている。
ベンチで子の権現までの部分のガイドブックを読んだら、急登で4つのピークを乗り越して行くと書いてある。高畑山からは下るばかりだと思ってガイドブックをあらかじめよく読んでこなかったので、天目指峠にでて安心しきっている私には結構ショックであった。一粒で二度おいしい山なのであった。天目指峠は車道が西吾野駅や名栗に通じている両方とも1時間〜2時間の下りである。気を取り直して登りにかかる。
最初のピークへの登りは斜面の片側を皆伐してあり暖かく明るい。次々とピークを越していくが次のがこれでもかという様に迫ってくる。一度終わったつもりになってからの急登は少しであってもきついのである。だんだん子の権現のものらしい鐘の音が近づいてくる。4つ以上登りがあったような気がするが最後の登りを終えると子の権現の屋根が下に見えた。高畑山から峠に200m下って子の権現まで200m登り返したということである。たかだか200mではあるが結構疲れたのであった。
子の権現は足腰の守り神らしいので賽銭を入れてよくお参りした。子の権現からは西吾野から上がってくる車道を横切りジグザグに切った植林地の中の道を下降していく。やがて舗装道路になり里の道をどんどんくだる。国道の手前で山道経由の近道に逃れるが再び里の梅の花を楽しみながら子の権現から約1時間で吾野駅到着。なんとすぐに電車が来てラッキーであった。

思っていた以上に素晴らしいかった奥武蔵の山と、また意外にハードだったコースと存分に堪能できました。また奥武蔵に出かけてみたいと思います。縦走路では60を過ぎていると思う白髪の単独行の優しそうなおばさんと抜きつ抜かれつでした。みんな元気いっぱいです。
それとこの山行にかかったお金は運賃が1510円、昼食行動食飲料含めて800円程度。トータル2300円の格安山行でした。電車は駅から駅へのコースがとれれば車より遥かに経済的ですね。