丸山

 丸山 960.3m 正丸山 780m 川越山 766.3m
 カバ岳 890m
 山域:奥武蔵

記録
 山行日2012年3月3日(土)
 ルート正丸駅→正丸峠→虚空蔵峠→大野峠→丸山→芦ヶ久保駅
 コースタイム0925正丸駅 → 0947 馬頭尊 → 0957 旧正丸峠分岐 → 1017 正丸峠 → 1036 正丸山 → 1045 川越山 → 1056 旧正丸峠 → 1123/30 サッキョ峠 → 1157/1209 虚空蔵峠 → 1235 牛立久保 → 1309 カバ岳 → 1327/41 大野峠 → 1411/19 丸山 → 1453 日向山分岐 → 1513 集落最上部(車道) → 1533 国道 → 1540 芦ヶ久保駅
 天候晴れ時々曇り

奥武蔵の山も結構登ったつもりですが、いくつか有名な山でも未登の山があります。丸山もその一つで、ひとえに山頂直下に車道が通じているというのが原因と思われます。今回は、まだ立ったことのない正丸峠と併せて比較的長いコースで計画しました。丸山の展望と、正丸峠あたりの峠道や森の雰囲気と、二度おいしいコース設定です。

先週の疲れか、今日はそれほど意気が上がらなかったこともあって、若干出遅れてのスタートとなりました。西武のボックスシートの快速急行に乗って正丸駅へ向かいますが、シーズンだと満員になるこの電車も、今の季節はかなり空いています。正丸駅からはかつて伊豆ヶ岳に向けて歩いたことのある舗装道路を、大蔵山の集落を抜けて登って行きます。渓流沿いの雰囲気の良い景色です。
馬頭尊のところで伊豆ヶ岳への道と別れ、正丸峠への方に進むとすぐに舗装道路は終わり山道となりました。ずっと渓流に沿った気持ちのいい道が続きます。旧正丸峠への分岐には、双方それぞれ登った所にある、奥村茶屋と正丸峠ガーデンハウスの二軒が競うように看板を出していますが、競争の為か、いかにもこちらが近いという風な感じで書かれていました。
分岐からしばらく進み、小さな橋を渡ったところから、道はV字の沢の中を通って行くようになります。これを登りつめれば上の方に奥村茶屋が見えてきて最後に急坂を階段で上がることになりますが、階段に積った雪が凍っており、手すりにつかまりながら滑らないように上がっていきました。奥村茶屋の裏から回り込むと車道の横切る正丸峠に出ました。正面に見えているのは武川岳とその東に延びる尾根だと思われますが、晴れており気持ちのいい眺めでした。
正丸峠から尾根に上がると、しばらくは雑木林の歩きやすい道が続きます。広い展望台を経て高度を上げていきますが、最後は急坂を階段で登るようになりました。この階段は段差が大きく相当歩きづらいので、皆その脇の斜面を歩いているようです。このあたりは改善して欲しいものです。登りついたところが正丸山で、ここまでは雪がそれほど無かったのですが、山頂部は一面白く積っていました。
正丸山からは緩やかな尾根が続きますが、北面は雪に覆われるようになりました。2つトレイルがあり、一つは先に行き、もう一つはこちらに向かっているもののようです。再びピークを登りつめると川越山の標識があり、三角点があります。ここで尾根は右に方向を変え、急坂を下りますが、雪の中途半端についた急斜面は滑りやすく、木につかまりながらゆっくり降ります。すぐに先行者が激しく滑ったあとがあり、以降トレイルは無くなったので、彼はここで引き返してしまったようです。やがて、階段の道になり、急斜面で滑る心配は無くなったので安心しました。降り立った旧正丸峠は、いかにも峠らしい鞍部でした。
旧正丸峠を発ち、虚空蔵峠を目指します。車道が絡む今日のルートにあっては、このあたりが一番車道から離れる部分です。再び階段の急坂を登り、一つ一つピークを越えていきます。雪はあったり無かったりで、雑木林の稜線や痩せ尾根もあり、楽しい行程でした。冬枯れの樹間から見えていたのは二子山でしょうか。はっきりとしたピークとして見えていました。サッキョ峠への下りは急坂の階段ですが、一箇所階段が切れている場所があり、危なそうだなとこわごわ足を置いたら案の定ズルッと手をついて滑っていってしまいました。雪の上なら何のことは無いのですが、ここは泥の斜面です。尻餅をつくと悲惨なところでしたが、なんとかそれだけは回避しました。降り立ったサッキョ峠は両側の道型がはっきりしていませんでした。
サッキョ峠からさらに小さなピークを越えていきます。ちょっとした急登をこなして登りついたピークで尾根は右に向きをかえ、さらにもう一度左に向きを変えますが、このあたりは積雪も多く、誰も踏んでない雪の上をサクサクと歩いていける気持ちのいい部分です。そしてこれが終わると再び下って、立派な車道のある虚空蔵峠に出て、これ以降は車道が絡みながらの道となります。虚空蔵峠の東屋でしばし休憩としました。
虚空蔵峠からは少し車道を歩いたあと、左手の山道に再び入ります。最初のピークはそのまま登って行きますが、次は左を巻き、これを越えるとさらに右に巻いていきます。植林地の中を大きく右に巻いて出たところは、広い雪の平原でした。さて、踏み跡は?少しあたりを見回しましたが、一つのトレイルがついていて安心しました。しかし、ここで、こんな素晴らしい雪原に出会えるとは思ってもいませんでした。規模こそ小さいですが、ちょっと高い山にいるような感じです。素晴らしい天気と雪の演出に感謝です。
雪原の中をゆったり登っていくと牛立久保にでました。ここはT字路になっていますが、トレイルは狩場坂峠の方からきたものでしたので、目指す方向はトレイルのない道が再び続きます。新しい雪の上をゆったりと登って、再び下っていくと一瞬車道に触れ合います。ここには七曲峠との標識がありました。
再び山道に入りますが、このあたりからはほぼ万遍なく雪がついています。幾つかのピークを再び忠実に越えていくことになり、やがて、尾根は痩せ、岩稜も現れました。滑ると大変ですが、足を置くところが明確なので、普段と変わらず、返って、ただの斜面より歩きやすい感じです。小さなピークを幾つか越え、最後に一番高いところがカバ岳でした。名前からピークハントを楽しみにしていたところです。カバ岳を越えて下ると、やがて植林の中で平行する車道と並んで同じ高さのところを歩くようになってしまったので、道もはっきりしないことから、大野峠の僅か手前で車道に出てしまいました。大野峠に着く頃、丸山の方から5〜6人の団体が多少難渋しつつ降りてきました。
丸山の登り口で簡単に昼食にし、最後の登りに向かいました。気分的にはここまで十分堪能したので、最後に宿題をこなすような雰囲気になっていましたが..。大野峠から少し登ると展望台に出ます。ここからは、笠山や堂平山の比企の山と、今まで歩いてきた尾根が見渡せます。展望台からは緩やかな起伏を進んでいきます。さすがにこのあたりは多くの人に踏まれているため、雪は踏まれて水が溜まっているところや泥が露出しているところもあり、慎重に足を運んでいきました。最後にひと登りして電波塔のある分岐に出て、左に少し行くと写真で見た立派な丸山頂上の展望台がありました。芸術的な建築なのですが、山上にあっては少し違和感がありました。
展望台に登ってみると360度の展望となりますが、山のある方向は、南や西にあたるので、かなり霞んでしまっています。奥多摩の山並みは冬山の風情で、また西の両神山が相変わらず激しく自己主張をしています。しばらく登っていないので、また近いうちに登ってみようという気になりました。
丸山からは、まっすぐ芦ヶ久保に下ることにします。以前この計画を立てた時は下りを金昌寺と考えていましたが、今日は出遅れたということもあり、長い尾根の末端を割愛してしまいました。下りはしっかり雪のついた斜面を駆け下りて行き、まず2つほどピークを登ります。もう登りは終わりと思っていただけに予想外です。分岐からは歩きやすい道を下り2度ほど車道を横切って山頂部と別れます。ここからは広くなった道を勢いに任せて駆け下りますが、さすがに急斜面になると、脇に寄って樹林に絡みながら慎重に下りました。日向山への道を分けると道は細くなり普通の山道になります。だんだん雪も消え、小さな分岐も多くなってくるうちに、やがて正面に二子山が見えてくるようになると、民家も見えてきました。そして最上の民家のところで舗装路に降り立ちました。
しかし、芦ヶ久保の駅はまだ遥か下に見えてきます。確かにこの南面の斜面でここまで高いところに家があるのは、駅周辺と比べて遥かに日当たりがいいからでしょう。長い下りの車道歩きは足に応えますが、もくもくと下り国道に降り立ちました。国道を渡り、道の駅の手前を入るとそのまま駅への登り口で、僅か2分で快速急行が入ってくるという絶好のタイミングで駅に到着しました。

正丸峠から丸山までは、奥武蔵の中でも比較的歩く人が少ないのではないかと思います。この日もかなりの部分で唯一のハイカーだったようです。残念ながらよく車道に絡まれる道ではありますが、一歩中に入ってしまえば、山の雰囲気はとてもよく、またこの時期は車もめったに通らないので、静かな山が味わえました。心地よい疲れの残った楽しい一日でした。

本文中の写真

  • 正丸峠から武川岳方面の展望
  • 正丸峠からの明るい尾根
  • 旧正丸峠から秩父方面への峠道
  • 牛立久保周辺の明るい雪原
  • カバ岳への岩稜
  • カバ岳

  • 参考図書・地図
    昭文社エアリアマップ 奥武蔵・秩父(1996年版)
    25000図 正丸峠
    50000図 秩父

    大野峠上部からの比企の山の展望
    その他のコース
    金昌寺から丸山
    芦ヶ久保から日向山経由丸山
    芦ヶ久保から大野峠
    白石峠から高篠峠経由丸山
    その他派生するコースがいろいろあるようです。