大仁田山

 大仁田山 505.5m
 山域:奥武蔵

記録
 山行日2003年10月1日(水)
 ルート上赤沢バス停→大仁田山→四十八峠→唐竹橋バス停
 コースタイム1402 上赤沢バス停 → 1410/23 徒渉 → 1508/30 大仁田山 → 1545 細田 → 1550/1600 四十八峠 → 1635 車道 → 1645 唐竹橋バス停
 天候晴れのち曇り

会社の創立記念日の休日は、特に何もすることもなくのんびりしていたのですが、外はとてもいい天気だったので、軽い山歩きでもしてみようと出かけました。以前車で行って駐車場が無くて登らなかった大仁田山です。登山口付近に駐車場が無いわけでもないのですが、川遊びの客目当ての有料駐車場ばかりで、ちょっと高いのです。

飯能からおなじみの名郷行きのバスに乗って、いつもより随分手前の上赤沢で降りました。バスの車内もさすがに平日の午後とあって、いつもとは雰囲気は違います。登山口は、分県ガイドによると、「人家が途切れるあたりで左下へ下る道に入る。車道から板橋が見える」とありました。しかし見えたのは、橋の小さな土台と、流されない様にワイヤを結ばれた板が、河原に横たえられてあるだけでした。本をよく見ると、「橋は大雨のため流失していることがある」と書いてあります。板を向こう半分に渡せば、なんとかなりそうですが、一人で重い板を持って飛び石の上を運んでいくのは難儀そうなので、徒渉することにしました。
徒渉はずいぶん久しぶりです。ズボンも脱いでザックにしまい、靴を持って歩いて行きましたが、1〜2歩ほどは太股くらいまでの深さがありました。
さて、対岸に着いて準備を整え、今度は道探しです。橋の土台のところからかすかな踏み跡がありました。本には「橋を渡ってまもなく二又があるが右をとる」とあります。草が茂ってわかりにくいのですが、小さな踏み跡があって右に進むと一段登って台地の上にでました。茨と茅の台地の縁を歩きやすいところを選んで林の方に向かえばはっきりとした道が登ってきていました。少しだけショートカットして道に復帰したようです。正しい道の方を、一度戻って二又とやらを確かめに行きましたが、草が茂って、道型もはっきりしないような感じでした。
本来の道に入るとあとははっきりした植林地の中の道が続きます。植林地にしては林床に意外に緑が多く、瑞々しい感じがしました。植林地の中をゆったり登って行くとやがて尾根に出ます。いままでの山道はさらに尾根を越えて向こうに向かっていますが、山頂へは尾根道を登っていきます。少し登ると、明るい若い植林地を通りますが、このあたりはスズタケやブッシュが道に被さり、さらに蜘蛛の巣と戦いながらの登りが少し続きました。
再び道が緩やかになると暗い植林地に入り、ずいぶんと歩きやすくなりました。そして緩やかな道も僅かで、今度は尾根の直線的な登りになります。急な尾根ではないのですが、真っ直ぐ登るのはやはり足に応えます。少し緩んだのちもう一度急になると、大きな岩のゴロゴロしている間を通り、上の方に見える主尾根と左にトラバースしながら合流しました。合流点では下山方向を示す標識が出ていましたが、今日初めて見る道標類ものでした。この尾根に合流すれば、すぐに右に巻道を分けて山頂につきました。山頂は、植林に囲まれた三角点があるだけの、何の特徴もないところでしたが、少しの間休憩することとしました。
下山は唐竹橋の方に向かいました。稜線を進む道は、小さなピークを巻ながら進みますが、やがて稜線から離れ、右に逸れていきます。そして鉄塔のあるところで分岐があり、鉄塔の方に進んでいけば細田の集落の中に出ていくようですが、今日はそのまま山腹をたどる道を直進しました。道はやがて細田の集落の上の方に出て、畑の中を集落の方へと降りていきます。このあたりは山上に、ヒガンバナが咲き、集落の背後には小さな墓地があり、本当にこぢんまりした雰囲気のいい貴重な風情でした。集落まで降りず、次の鉄塔に向かい再び森の中に入ります。しばらく行くと墓地や石地蔵のある四十八峠に出て、細田から登ってくる道に合流しました。
やがて再び主稜線に復帰したあと、黒指方面への道を分けます。そして2度目の黒指への分岐のあと、左に大きく曲がり、その先で二又になりました。ここには標識もありませんし、ガイドにも記述がありません。直進の方は、より広くていい道で、次の鉄塔への道標があります。左に下る道は細く草が被さっていますが、道型は良く踏まれたしっかりした道でした。両方にテープがありますが、左下の道の方へのテープがハイカーのものらしい雰囲気があることや、道が古くから歩かれた雰囲気があること、またそろそろ下り初めてもいいと思ったので、左下に降りていく道を選択しました。
細くて時々ヤブが被るので、再び蜘蛛の巣に悩まされますが、しっかりした道をどんどん下っていくと、鹿の警戒の声が山中に響き渡りました。すぐ先を3匹の鹿が散っていきました。夕暮れ時になって、ちょうど動物たちのよく活動する時間になっているようでした。
どんどん山深くなって行くような雰囲気もあり不安になりますが、登り返すにしてはかなり下ってしまいましたし、夕暮れもせまっています。ここはこの良く踏まれた道を頼ってどんどん下っていくほかありません。やがて植林地の中のつづら折りとなりました。この感じはガイドブック通りなので、道が正しかったことを確信し、あとはどんどん下って行きます。そして水流のある沢に出て、沢沿いに下れば民家まで僅かでした。夕暮れ時の子供達の遊ぶ里を抜けて唐竹橋を渡ると、バスは3分後で、下山のタイミングもまさに最高でした。

大仁田山は簡単なハイキングコースと思って出かけたのですが、ハイキングコースとしては整備されていない様で、結果として思わずいろいろと楽しめました。上赤沢の方は入り口に道標もありませんでしたが、唐竹橋の方には道標があり、こちらの方がメインルートなのでしょうか。山道はいろいろと通っているので、他の道でもいろいろと楽しめるのかもしれないと思いました。

本文中の写真

  • 橋の無い名栗川の流れ
  • 山上の細田集落
  • 細田集落の中のヒガンバナ

  • 参考図書・地図
    分県登山ガイド 埼玉県の山(2003年改訂第2版)
    昭文社エアリアマップ 奥武蔵・秩父(1996年版)
    25000図 原市場
    50000図 秩父

    四十八峠の石地蔵
    その他のコース
    小沢峠から県境尾根を経由して山頂に登ってくることができるようです。
    交通機関
    飯能から名郷または湯ノ沢行き
    時刻表は、国際興業を参照願います。