巻機山

 巻機山 1967m 牛ヶ岳 1962m 前巻機 1861m
山域:越後
2001.9.29.



かねてから計画していた、九州からのお客さんを迎えての山は、2年前の東北の山以来ですが、今回は越後の山にしました。ただし、キツイ山が多いので、今回は2つです。初日の巻機山は、コースタイム4時間以上の登りに恐れをなしていましたが、好天に恵まれて意外と楽に登ることができました。

1.桜坂の登山口

前夜自宅を出発し、途中で同行のNさんを乗せて、待ち合わせ場所の赤城高原SAに向かった。道中極めて順調で、先着していた2人に合流。九州からのMさんとは2年ぶりの再会である。少し休憩したあと、その日のうちにもう少し進んでおこうということで、再び石打塩沢SAへと出発。丑三つ時に到着し、僅かばかりの仮眠とした。
うとうとしながら時計を見ると、AM4時になっていた。少しの仮眠だったが、それでもそこそこすっきりしている。冷たい朝の空気にふれ、今日のロングコースへの気力が充実してきた。そのまま石打塩沢の出口から降りて、一旦六日町のコンビニに寄ったあと、登山口へと向かう。桜坂は清水の集落の上で、ここから水上へと越える国道291号は車の通れない区間に入るが、旧ルートもいまでは崩壊しているようである。
清水の集落から少し登っていくと、料金収受の小屋があり、その先に広い駐車場がある。すでに何台も車がとまっており、皆さん出発準備の最中であった。駐車場の片隅には丁寧なルート図があり、ヌクビ沢や黒ツブネ尾根のコースは初心者不可、下山に使うと危険との案内があった。

2.巻機山へ

登山道に入るとすぐにヌクビ沢コースとの分岐になる。今日は無理をしないという山行なので、迷わず計画通り井戸尾根への道に入り、涼しい樹林の中の道を緩やかに登っていく。先頭をMさんに歩いてもらっているが、ちょうどいいペースなので、楽しく歩くことができる。途中四合目の標識を過ぎると傾斜が急になるが、負担を感じるような急登ではない。あたりはすっかり涼しくなっているが、まだ少し紅葉には早いようだ。急登の途中で左側が一瞬開け、割引沢の方が見える。深く切れ込んだような感じの沢である。そしてまもなく、小さな肩のような五合目の展望台に登り着いた。
展望台からは、米子沢にかかる急流と、その奥の前巻機(ニセ巻機)を見ることができた。五合目を過ぎると少し傾斜が緩くなり、相変わらずの樹林の中の登りが続く。六合目では再び左側が開け、ここからは正面に天狗岩。そしてその尾根を辿って割引岳の山頂が良く見えていた。
だんだん高度を上げるにつれ、葉が色づき初めてくる。上の方ではすでに紅葉が始まっているようだ。傾斜が少し緩やかになりあたりが開けてくると七合目である。岩のゴロゴロした台地状になっており、視界も一気に広がった。割引岳や朝日岳へと続く稜線が見えている。あたりの木々は赤や黄色に色づいていた。
 七合目から高い木が無くなり、笹の中の道となる。道は少し笹が被さるくらいの感じで、そこそこの急登である。しかし、あたりの開放的な風景が楽しく苦にならない。小さな肩のような八合目を過ぎると、階段の整備された道となる。このあたりで、周囲にガスがわき始め、朝日岳の方への稜線が見えなくなってきた。しかし、目指す山頂の方向は大丈夫のようだ。
階段を登り詰めると前巻機(ニセ巻機)の山頂に立つ。ここから米子沢の源頭を隔てて、巻機山の山頂部が見えてくる。緩やかな地形の草付きの源流帯は、すっかり草紅葉となり、黄金の絨毯の様な素晴らしい景色が広がっていた。そして、その穏やかな山頂部は、歩いてみるといかにも楽しそうな稜線であった。
前巻機から少し下って、避難小屋の前を通り、山頂の稜線へと登っていく。ここも階段がよく整備されているのは、山頂部の踏み荒らしによる自然破壊を復元すべく、長い年月をかけた地道なボランティア活動によるということのようだ。おかげで、このように美しく保たれているわけで、大変ありがたく、携わっておらo れる方々には頭が下がる。
途中で、竜王の池と呼ばれる池塘の横を通って稜線にたどり着くと、御機屋と呼ばれる山頂の一角に着く。ここにはベンチがあり、役行者の碑もある。ここから稜線の漫歩が始まる。緩やかな木道を辿って巻機山最高点を通り、牛ヶ岳を目指す。穏やかな草原には池塘も点在し、爽快な散歩が楽しめる。木道は最高点の少し下を通過していき、やがて朝日岳への分岐を分けると、緩やかに下って牛ヶ岳への登りとなった。そしてこれを登り切れば三角点に到着。ここも平らな山頂で五十沢へと続く道を、山頂部を横切って反対側へと辿れば、開けた場所にでて小休止とした。
ここからは、正面に越後三山を大きく眺めることができる。そして、顕著な三角錐を見せているのは燧ヶ岳。その手前には平ヶ岳。そして至仏山や上州武尊山など、越後から尾瀬にかけての山々が一望のもとである。また巻機山の最高点の方を見れば、北斜面もやはり綺麗な草付きになっており、穏やかな情景が楽しめた。

3.青空が濃く

牛ヶ岳にいる間は、それほど陽が射さず、遠くに雲が時々出たりという感じで、少しどんよりとした肌寒い雰囲気であった。その後、往路を引き返して御機屋に戻って少し休んでいると、だんだんあたりが明るくなり青空が広がり始めた。
今回は割引岳は割愛とのことで、次回の課題はヌクビ沢から割引岳に登ってみようと考えつつ下山する。再び前巻機を越え、急な斜面を下っていくと、本当に秋らしい青空になってきた。朝のうちはガスの中に隠れていた谷川連峰も、雲一つ無い空の中で、すっきりとした姿を現してきた。七合目の広場まで降りて、名残惜しくこの大展望を味わった。朝日岳への稜線を辿ると、その先に谷川岳、万太郎、仙ノ倉、平標と続く稜線があり、苗場山とその左に岩菅山、右には妙高山と繋がっている。青空の中でさらに紅葉は映え、つくづくいい天気になったものだと思った。
ここからは樹林の中に入ってしまい、時折現れる展望台から、割引岳や米子沢などの景色を楽しみながら下っていった。駐車場まで降りると、かなり暑くなっており、山上の肌寒さが嘘のようであった。

下山後、折立温泉に入り、宿泊地である銀山平に向かいました。途中、八海山などの山を見ながらの旅は、次はどこに行こうか?という新たな挑戦への意欲をかき立てます。明日は天気が危ぶまれていましたが、ここまで晴れてしまうということは、なんとかもちそうかなという気がしてきました。越後駒ヶ岳なので、雨に降られるとちょっとつらいものですから。
巻機山は、思っていたよりもきつくはなく、また思った以上に美しい山でした。山上の草地の平原は伸びやかで美しく、草紅葉の季節でそれも一際輝いていて、いい時期に登ることができました。

本文中の写真

  • 巻機山最高点付近の草紅葉
  • 笹の覆う牛ヶ岳
  • 牛ヶ岳方面から見る割引岳
  • 朝日岳へと繋がる稜線
  • 米子沢の急流



  • 記録

    日 程

    2001年9月29日(土)

    天 候

    晴れ

    コース

    0550 桜坂 → 0625 四合目 → 0652/0700 五合目 → 0735/40 六合目 → 0815/28 七合目 → 0858/0900 八合目 → 0916/23 九合目(前巻機) → 0950 御機屋 → 1005 巻機山 → 1025/1100 牛ヶ岳 → 1125/53 御機屋 → 1217/30 前巻機 → 1500 桜坂

    七合目付近からニセ巻機を振り返る


    参考図書・地図 その他のコース
    アルペンガイド(旧)上信越の山
    昭文社 エアリアマップ 越後三山
    25000図 巻機山
    50000図 越後湯沢
    一般道としては、他に、
    ・ヌクビ沢コース
    ・割引沢から黒ツブネ尾根
    ・五十沢渓谷から牛ヶ岳
    のコースがあります。ただし、いずれも経験者向けで、初心者のみの入山は控えたほうが良さそうです。
    尚、前者の2コースは、上りのみの利用が適しているコースで、危険のため下りの利用は控えるよう呼びかけられています。
    また、有名な沢登りコースとして米子沢があります。もちろん本格的な沢登りなので、ザイル・ハーネス等が必要であり、ハイキングスタイルでの入山はできません。
    バス
    六日町から清水までバスがあります。1日3便です。 越後交通(南越後観光バス)を参照下さい。

    温泉
    東京方面に向かうと、越後湯沢周辺は湯沢温泉です。
    また、少し北に向えば、小出から只見方面に入り、折立温泉や大湯温泉、秘湯・栃尾又温泉などの温泉街が並びます

    関連ホームページ
    巻機山修復のボランティアのホームページです。巻機山とその周辺のことについて詳しくふれられています。
    また、最新情報もタイムリーに伝えられています。
    よみがえれ巻機山の自然