徳本峠

 大滝槍見台 2,364.7m
 山域:北アルプス

記録
 山行日1999年4月24日(土)〜4月26日(月)
 ルート上高地→徳本峠→明神見晴(泊)→大滝槍見台→徳本峠→岩魚留小屋(泊)→二股→島々
 コースタイム 1日目 上高地〜徳本峠〜明神見晴
0700 上高地バスT → 0750/0800 明神 → 1130/1150 徳本峠 → 1440 明神見晴先の鞍部(泊)
2日目 明神見晴〜大滝槍見台〜徳本峠〜岩魚留小屋
0700 幕営地 → 0950/1015 大滝槍見台 → 1340 徳本峠 → 1620 岩魚留小屋(泊)
3日目 岩魚留小屋〜島々
0750 岩魚留小屋 → 0910/0930 二股 → 1100 島々
 天候24日 雨時々曇 25日 曇一時雨 26日 晴時々曇

当初は、岳沢定着で前穂・西穂を計画していたが、天気が悪く徳本峠から蝶の縦走に変更した。しかし、直前に降った雪が深く、結果的には大滝槍見台を往復し島々に下った。いずれは歩きたいと思っていた峠越えであるが、期せずして実現することとなった。

松本〜新島々の電車は、我々と1名で貸切状態だった。昨日から運行の始まった上高地行きのバスも同様で、天気と時期のせいか上高地自体も人が少なく、係員の人数の方がはるかに多い。明神から徳本峠の道に入る。当初広く緩やかな道も少しづつ傾斜を増し、1700付近より雪に埋まって、沢筋の直登となる。途中右から入ってくる沢にはデブリもあった。1800あたりから膝下迄のラッセルとなり、雨が降り出して意気が上がらずペースダウンした。やがて沢筋から左へのトラバースに入り、数回ジグザグに進むと雪に埋もれた徳本峠に到着した。雲の中で展望もなく、穂高方面が見える感動的な光景には残念ながらお目にかかれなかった。
峠からはトレースもなく、時折腰までズボッと落ち込む樹林帯の中のコースとなる。赤ペンキの印便りのルートファインディングで進むが、雪のためコースタイムの約3倍程度かかってしまっている。雨は降り続いており、樹林帯の下では常に木にたまった大粒の雨にたたかれ、かえって木の無い場所の方がいいくらいだった。意気も上がらないまま、1日目は明神見晴から下ったあたりで打ち切ることにした。

翌日は、予報では曇り夕方から所により雨と、昨日と大差なく、昨日のペースでは26日の下山が危ぶまれることから島々に下ることを協議したが、青空が一部拡がっていたので、大滝槍見台まで行って様子を見ることで出発した。しかし、ペースは昨日とあまり変わらず、また途中からほとんど雲に覆われ、水滴も落ちて来始めた。途中若干ルートファインディングに手こずったこともあり、槍見台まで蝶まで行くのに必要な速度の1.5倍程度かかっているので、徳本峠に戻ることを決定した。
槍見台の山頂は遠望が効くように櫓が組んであるが、この様な天気でなにも見えるはずもなく、また今までいくつか越えてきたピークと同様に顕著な山頂というわけでも無い。しばらく、休憩したあと徳本峠に向けて引き返す。昨日のトレースが辿れるので、行きの半分の時間で辿り着いた。峠では数人の方が上がってきていて、小屋掘りに余念がない。また、終始気温が高いので昨日より雪が融けて土が出てきはじめているところもあった。
岩魚留を目指して出発する。峠直下こそやや急だったが、以降は夏道の埋まった谷筋の雪面を駆け下り、あるいは滑って、30分程で1800付近の水流迄下り、以降は夏道が出ており、早春の渓流の道を岩魚留小屋迄下った。裏の空地にテントを張り、我々しかいない空間を最大限に利用して濡れた荷物や衣服を広げて乾かした。

翌日はいよいよ下山である。二股迄は古くからの峠道らしくしっかりとした歩き易い道だ。春を感じながらの道は景色も美しく、渓流美を堪能しながら快適に歩いた。林道に出ると汗ばむような陽気となり、水たまりに沢山の蛙の卵や、交尾中のカエル、そして胚が形が変わってきてもうすぐオタマジャクシに成りそうなものなどを観察しつつ、島々に下った。最後に麗らかな陽気の中で、島々の満開の桜並木のアーチが迎えてくれた。今回は、そもそもが3度目もやはり相性の悪かった穂高であったが、ほとんど樹林帯を行く大滝山への道は趣もあり、是非夏に再挑戦したものである。



参考図書・地図
エアリアマップ 上高地・槍・穂高(1995年版)
25000図 上高地 波田
50000図 上高地 松本

徳本峠
その他のコース
徳本峠を越える道はこのルートのみです。
交通機関
周辺交通機関の時刻・運行状況については、
上高地公式ウェブサイトでご確認下さい。


Nifty FYAMA 投稿文

徳本越えと大滝槍見台

当初は岳沢定着で前穂・西穂でしたが、天気が悪そうなので雨でも比較的歩けそうな、徳本峠から蝶の縦走に変更しました。
しかし、結果的には徳本峠越えということになってしまいました。
今回の山行は、木曾駒の時思い知らされた体力不足を、継続してそのまま実際も気分としても背負い、さらに直前に風邪をひくという、体調管理失敗もあって、非常に気分がマイナスの中での山行でした。その様な先行き不安な気持ちの中なので、後方からとことこ付いて行って、ブレーキになるという申し訳ないの極致のような3日間なのでした。ということで、あんまりレポートをここに書く様な資格も無いのですが、リーダーのメモを元に今のこの付近の状況をということでまとめました。


【日 程】99年4月24日(土)〜26日(月)
【目 的】徳本峠〜蝶ヶ岳
【天 候】24日 雨 25日 曇時々雨 26日 晴れ
【コース】24日
     0700 上高地バスT → 0750/0800 明神 → 1130/1150 徳本峠 →
     1440 明神見晴先の鞍部(泊)
     25日
     0700 幕営地 → 0950/1015 大滝槍見台 → 1340 徳本峠 →
     1520 岩魚留小屋(泊)
     26日
     0750 岩魚留小屋 → 0910/0930 二股 → 1100 島々
【山 名】大滝槍見台 2,364.5m
【メンバー 】会社の同僚3名
【山 域】北アルプス

1日目

松本〜新島々の電車は、我々+1名で貸切状態だった。昨日から運行の始まった上高地行きのバスも同様で、上高地自体も人が少なく、係員の人数の方がはるかに多い。他の登山パーティーの姿もなく全く閑散としていた。4月になってから降雪があったようで、雪の量も比較的多い様だ。
明神から徳本峠の道に入ると、日陰では僅かに道にも雪が出てくる。1700付近より雪道となり、沢筋を詰めて行く。途中右から入ってくる沢には雪崩れた跡があった。1800あたりより上ではトレースは残っているものの足首から膝下迄のラッセルとなり、雨も降り出して意気が上がらずペースダウンする。
やがて沢筋から左へのトラバースに入り、数回ジグザグに進むと、雪に埋もれた徳本峠に到着した。途中で徳本峠小屋の方が1名追い抜いて行った。GWの開業準備で今日から登って来られたようだ。
峠からはトレースもなくなり、時折腰までズボッと落ち込む樹林帯の中のコースとなる。赤ペンキの印が出ているのでルートファインディングは楽だが夏のコースタイムの約3倍程度かかってしまう。雨は普通に降り続いており、樹林帯の下では常に木にたまった大粒の雨にたたかれ、かえって木の無い場所の方がいいくらいだ。この様な天候で意気も上がらず、明神見晴から下ったあたりで行動打ち切りとなった。

2日目

天気予報は昨日と大差なく、昨日のペースでは蝶に向かうと26日の下山が危ぶまれることから、引き返して島々に下ることをテントの中で協議したが、外に出ると青空が一部拡がっていたので、大滝槍見台まで行って様子を見ることで出発する。
雨が降っておらず気分は違うが、ペースはあまり変わらない。それも途中からほとんど雲に覆われ、水滴も落ちて来始めた。途中ルートファインディングに手こずったこともあり、蝶までの行動に必要な速度の1.5倍程度かかっているので、槍見台の山頂を踏んで、徳本峠に戻ることを決定した。
槍見台の山頂は遠望が効くように櫓が組んであるが、この様な天気でなにも見えるはずもなく、また今までいくつか越えてきたピークと同様に顕著な山頂というわけでも無い。
しばらく、休憩したあと徳本峠に向けて引き返す。峠迄は昨日のトレースが辿れることもあり、行きの約半分で辿り着いた。峠では数人の方が上がってきていて、小屋の開業準備に余念がない。また、終始気温が高いので昨日より雪が融けてきて、若干土が出てきはじめているところもあった。
島々までの道を念のため小屋の方に尋ねると、特に悪場はないとのこと。峠直下こそやや急だったが、以降は夏道の埋まった谷筋の雪面を駆け下り、あるいは滑って、30分程で1800付近の水流迄下り、以降はほぼ夏道沿いに一部雪面の歩行を交えながら、岩魚留小屋まで下った。小屋は空いていないので、裏の空地に幕営し、3人しかいないので小屋の廻りのベンチや縁側に濡れた荷物をいっぱいに広げて乾かしながら夕食とした。

3日目

二股迄は普通の夏道で、古くからの峠道らしくしっかりとした歩き易い道だ。GW前半でもあり、一部手入れがされていない(落石等)ところもあるが、全く問題はない。春を感じながらの道は景色も美しく、渓流美を堪能しながら快適に歩き二股に到着した。
汗ばむような陽気となり、水たまりに沢山の蛙の卵や、交尾中のカエル、そして胚が形が変わってきてもうすぐオタマジャクシに成りそうなものなどを観察しつつ、長い林道を歩いて島々に下った。最後に麗らかな陽気の中、島々の満開の桜並木のアーチが迎えてくれた。


しかし、気温が高く腐った雪の中をズボズボ沈みながら雨の中を行くというのは、結構苦行ですね。
この時期の雨はもちろん要注意ですし、それにGWといえば固い締まった雪というつもりでしたがワカンが欲しくなるような状態でした。