高原山

 釈迦ヶ岳 1,795m 鶏頂山 1,765m
 西平岳 1,712m 中岳 1,728m


山域:高原山・塩原
2001.12.02



鶏頂山といえばかつてスキーによく通ったものです。いまや、近くにエーデルワイスとかメープルヒルとかハンターマウンテンとかができて廃れ気味ですが、そのどれもがこの高原山の斜面を滑るものです。ちょうど山はオフシーズンという感じではありますが、たまたま鬼怒川で会社の旅行があったので、その翌日同僚と山に向かいました。

旅館から前日手配ておいたタクシーに乗って、登山口へと向かった。車は新藤原の先から林道に入り、沢沿いの道を登って行く。しばらく進むとあたりが開け、高原に出た。このあたりは一帯が牧場や農場になっているようで、のどかな風景が広がる。途中から道を折れ、農場の間の細い道に入っていく。山腹の高原につけられた道は、農場の建物の横を通って行き、やがて林の中へと入っていく。道は未舗装となり、時折タクシーの床が地面をこする。なんとなく申し訳ない雰囲気の中、上り下りしつつかなりの距離を走ったと感じる頃、道標のある西平岳の登山口に着いた。
今日は澄み渡った青空で、穏やかな高原はなんともいい雰囲気である。すっかり葉の落ちた木々の中の、笹原の茂る道をゆっくりと登りだす。傾斜が緩やかな山腹の道だが、直線的につけられた道は、かなりきつく感じる。木々の向こうには、釈迦ヶ岳山頂から延びる尾根が見え、先が長いなと感じさせる。しばらくは幅の広い道をゆったりと登っていくが、かなり汗をかいた。
だんだんと高度を上げていくと、道も狭くなり山道らしくなった分なぜか歩きやすく感じた。西平岳への尾根から木々の間に見え隠れする釈迦ヶ岳を見て位置をはかりながら淡々と登っていく。随分と登りそろそろ山頂も近いと思う頃、小さな平地に出た。ちょうど西の方に日光の連山がよく見えており、小休止とした。ここからは最後の登りを頑張るとやがて西平岳の標識のあるところに登り着く。ここは西平岳の南の肩にあたり、南の方に展望が開けている。南の平原を流れるいくつかの川から靄の立ち上るのが見え、不思議な光景であった。しばらく平らな尾根上を行くとやがて西平岳の最高点に着く。ここは展望が無いが、その少し先が土の露出した坂道になっており、鶏頂山の方が開けていた。しかしここは風の通り道になっており、冷たい風に耐えかねて一気に鞍部まで駆け下りた。
 再び樹林の中の尾根道を行く。小さなコブを越えると中岳への登りになる。烏帽子の様に尾根上に飛び出た中岳は手足を総動員するような急峻な登りであった。若干北向きにもなるのか、少し雪がついていた。
中岳山頂は木々に囲まれた、岩のゴロゴロした狭い山頂だが、せっかく登り着いた山頂でもあり、少し腰を落ち着けてみた。山頂からの下りも登りと同じくらい一気に下る。正面のどんどん高くなる釈迦ヶ岳を見ながら滑らないよう慎重に行  くと、明るい鞍部に出る。ここからは釈迦ヶ岳の山頂に向けて、笹の切り開き道が一直線に登っていた。最近新たに刈り払われたばかりのようで、道に切られた笹がたくさん落ちていた。陽光を浴びて笹の中を一直線に登り切ると、釈迦ヶ岳に直接登る尾根道を分け、広い山頂に到着した。
山頂は広く広大な展望で、尾瀬から日光や男鹿の山々がよく見える。そして遠くは筑波山が浮かんでいた。大きな一等三角点が山頂にあり、少し離れて、立派な釈迦の石像が鎮座していた。ちょっと暖かさを感じる山頂で、ゆっくり昼食とした。
山頂から北に下り、鶏頂山に向かう。季節はずれのこの山ではいままでほとんど人に出会わなかったが、こちらに下ると少しだけすれ違うようになった。さすがに北面だけあって、道にはうっすらと雪が着いている。すぐに大間々台への道を分けると、暗い樹林の中を鞍部に向けてどんどん下る。一旦下りきると、僅かに登り返して、御嶽と呼ばれる小さなピークを越える。このあたりは樹林の中の穏やかな道である。再び下っていくと、正面に鶏頂山の北面に霧氷がついているのが見える。もう正午となろうとしている時にまだ残っているとは、よほど気温が低いのだろう。足元の雪と思っていたものも、よく見てみると落ちた霧氷がたくさん混じっているのに気が付いた。
御嶽から下ると、弁天沼や明神岳に向かう道を分け、ガレ落ちた斜面の縁を行くこのあたりから釈迦ヶ岳が雄大に見える。弁天沼から直接鶏頂山に登ってくる道と合流すると、最後の急登となる。一部ステップなどが整備され歩きやすくなっている。霧氷を探しながら頑張ると、立派な鶏頂山神社のある山頂である。南は開かれてベンチもたくさん置いてあり、また日光方面の展望も素晴らしいところであった。
下山は、分岐まで一気に下り、直接弁天沼に下る道をとる。北面のまだらに雪のついた谷間の道は、本格的な冬の訪れがそこまで来ていることを知らせている。坂道を下り終えると、小さな祠が点在する広場に出る。すっかり水は干上がってはいるが、弁天沼である。鶏頂山と釈迦ヶ岳の分岐にもなっており、立派な石の標識もある。
弁天沼から緩やかにアップダウンしながら樹林の中を下っていく。大沼分岐は通り越してしまったが、後で考えてみるとちょっと残念だ。やがてスキー場に入り、しばらく下ると枯木沼の分岐である。枯木沼は冬枯れの湿原の様相で、思わずこんなところだったのかと声を上げる。ここはスキーの時に何度も通っているのだがそのときはもちろん一面の雪原であったのだ。枯木沼の風景を楽しんだあとは一気にゲレンデを下る。そして鶏頂山スキー場のレストハウスまでたどり着いたが、昔の華やかさはなく、今でもやっているのだろうか?と首を傾げるような感じだった。
舗装道路を少し下ると、鶏頂山の立派な大鳥居をくぐる。そのすぐ下が、鶏頂山荘入口のバス停だが、12月1日からは冬季ダイヤでバスはここまで来ない。金曜日に営業所に電話をして教えてもらった通り、エーデルワイススキーリゾートまで日塩もみじラインを歩く。エーデルワイスもまだ開業しておらず、あたりは閑散としており、ほんとにバスが来るんかいなと思いながら待っていると、案の定時間を過ぎても来ない。営業所に電話をしてみると、スキー場開業までは、さらに下のハンターマウンテンまでしか運行しないとのこと。バス停にも、エーデルワイスまで来るように書かれており、電話までしたのにと散々文句を言ったが仕方がなく、さらにハンターマウンテンまで、頭の中でブツブツ言いながら、もみじラインを歩いたのだった。ハンターマウンテンは明神岳から滑り降りるスキー場だが、ここはすでに開業しており、スキー場のレストランでビールを飲みながら、次のバスを待った。結局乗客は我々だけであった。

高原山はバスの便がままならず、なかなか行けませんでしたが、今回は丁度いい機会だったので、楽しみに出かけました。独立峰的な雰囲気もある、なかなか展望の雄大な山で、スキー場からのオーソドックスな登りだけでなく、いろんなコースも開かれています。ただ、今回はバスがハンターマウンテンまで来ていないのであれば、明神岳までさらに縦走してから下れば良かったと思いました。

本文中の写真

  • 西平岳への登りから釈迦ヶ岳を見る
  • 釈迦ヶ岳への稜線
  • 釈迦ヶ岳山頂風景
  • 鶏頂山へ向かう
  • 枯木沼の風景

  • 記録

    日 程

    2001年12月02日(日)

    天 候

    晴れ時々曇り

    コース

    0700 登山口 → 0855/0900 西平岳 → 0920/30 中岳 → 1000/35 釈迦ヶ岳 → 1120 弁天沼分岐 → 1135/55 鶏頂山 → 1225 弁天沼 → 1250 枯木沼 → 1300/05 鶏頂山スキー場 → 1310 鶏頂山荘入口バス停 → 1325 エーデルワイスバス停

    釈迦ヶ岳への道


    参考図書・地図 その他のコース
    アルペンガイド 筑波・那須・阿武隈
    25000図 高原山(登山口周辺:川治・五十里湖・塩原)
    50000図 塩原
    本文のコース以外としては、
    大間々台から釈迦ヶ岳
    ハンターマウンテンスキー場経由鶏頂山・釈迦ヶ岳
    西平岳登山口からさらに進み、釈迦ヶ岳南東の尾根から釈迦ヶ岳
    などが代表的です。
    また、枯木沼へは複数の登路があります。
    バス
    塩原〜鬼怒川を結ぶJRバスを利用する。
    鶏頂山荘入口下車 で枯木沼経由鶏頂山・釈迦ヶ岳
    ハンターマウンテン下車 ゴンドラを乗り継ぎ明神岳