日光白根山

 奥白根山 2578m 前白根山 2373m 五色山 2379m
山域:日光
2001.7.22.



梅雨明けも早く、すでに夏山シーズンまっただ中という感じですが、先週の低山が大変暑かったこともあって、久しぶりに高い名山に向かいました。最近どうも休日の朝をだらだらと過ごすことが多く、そのまま日が高くなってしまうということになりがちですが、今回は前日にしっかりと友人と約束したので大丈夫です。

1.丸沼へ

ここのところ毎日のように暑い日が続いている。例年より早い梅雨明けで、ニフティでもインターネットでもMLでもめっきり夏山の報告が多くなってきた。先週は遠くにいけないこともあって、低山に登ったら非常に暑かった。
さて最近は百名山もめっきりご無沙汰しており、そろそろここらでと考えていたが、だめちゃんがどうも予定が無さそうなので、白根山か武尊山なんてどう?と呼びかけると即成立。翌日ご近所のよしみで迎えに来てもらい、一路日光を目指すこととなる。
白根山の登山口は、オーソドックスな湯元温泉、マイカー登山でポピュラーな、菅沼コースがあるが、今回はさらにそれより標高差が少なくお手軽な、丸沼高原のゴンドラ利用コースとする。ゴンドラができて再整備された新しいコースなのだが、歴史は古くかつての上州側からの信仰登山のコースとのことらしい。それをショートカットしての標高2000mからのスタートである。
さて、夜明けの東北道を北上する。なんとなくガスがかかったような晴れの天気だが、栃木をすぎるとすっかり雲に覆われてしまった。予報は晴れなのでなんとかなるだろうと期待をかけつつ日光方面に向かっていくと、一気に青空が広がってきてほっとする。男体山や女峰山の久しぶりに間近に見る高い山々の眺めが素晴らしく、山への想いが募っていく。
戦場ヶ原を横切り、金精山の崩壊した斜面を見ながらどんどん高度をあげてトンネルを抜ける。菅沼にはたくさんの登山者が出発準備をしているところであった。道を下っていくと樹林の間からスキー場のコースが見えてくる。やがて右に丸沼を見てゴンドラの駅に到着。けっこう車も停まっていて、団体さんも出発していくところであった。
往復1800円の乗車券を買い、8人乗りのゴンドラに乗り込む。ロープウェイと違って、待たずに乗れるところが良い。グングン高度を上げて行く窓からは、近くに四郎岳や燕巣山、そして正面に武尊山が見えていた。しかし、なんとなく霞んでいるような模様であった。

2.奥白根山

ゴンドラ駅の終点で降りるとひんやりとした空気に包まれる。外には標高2000米の大きな標柱があり、その向こうに白根山が聳えている。逆光のシルエット状の姿は、三本指のゲンコツのような面白い形である。この形は、一度見たら忘れないだろう。駅には丁寧な地図のついたパンフレットがあり、これは見やすくて道中大変役に立った。是非一部持参されたし。
園地のような駅周辺から柵を抜けて森の中に入る。シラビソなどの原生林の中は木の香りが強く登山口を出てすぐに高い山の森の中の雰囲気が味わえる。地面にはカニコウモリが多い。六地蔵の分岐、血の池地獄分岐と、遊歩道の整備された森の中を進んでいく。しばらくはなかなか傾斜は急にならなず、前を30人くらいの団体が歩いていることもあってスピードも上がらない。
血の池地獄分岐を過ぎると、少し傾斜が出てくる。路傍に大日如来があり、かつて信仰の道であったことを思わせる。団体さんを追い越し、快適に樹林の中を進む。七色平の分岐を過ぎ森の中を斜面を横切るようにいくと、やがて直進する道と、左上に上がる道の分岐となった。今日は左の登る道をとる。ここはどちらを選んでも上部で合流する。
少し登るとガレた谷間を横切る道となり、その奥にゴツゴツした山頂部が見えてくる。このあたりは地獄薙と呼ばれるらしい。再び林の中に入る。今度はダケカンバなどの林の中をぐんぐんと高度を上げていく。このあたりからかなりの急登になってくる。この林を抜けると一気に展望が広がる斜面に出た。
南の方の展望は、錫ヶ岳や皇海山が連なっている。そして上州武尊山から右に、大きな三角錐の山は燧ヶ岳だろうか。なかなか大きな爽快な展望である。山頂までは岩のガラガラした道をぐいぐいと高度を上げる。まるでアルプスの山を縦走しているような道だ。それもそのはずで、高度は2500m、緯度も白馬岳程度はあるのだ。
迂回路からの道をあわせ高度を上げていく。このあたりで周囲がガスに包まれてしまい、展望は残念ながら閉ざされてしまった。やがて山頂部に到着し、小さな谷間を登ると白根権現のあるピークである。白根権現から小さな窪地に降りて、岩を掴みながら登り返すと白根山の山頂である。何度も考えて来られなかった山だっただけにやっとこれたなという感じであった。
山頂部にはたくさんの岩が転がっているがそれに腰掛けてビールを飲む。しかし陽が当たっていないので、風が吹くと肌寒いくらいである。町の35度を超える猛暑を考えると別世界だ。しばらく地図を見て時折姿を見える足尾の山々を同定したりしながら休憩した。
山頂から小さなお鉢巡りをして白根権現の方に戻る。途中はハクサンフウロが咲いてきれいだった。白根権現から小さな窪地の縁を横切って白根平の方に下る。眼下に五色沼や避難小屋の見える急斜面の下りである。しばらくは高い木が無く草原の中をぐんぐん下る。道の回りには大味ではあるが、マルバタケブキの群落になっており、ちょうど咲き始めであたりが黄色く染まっている。その中には、ハクサンフウロやシラネニンジンが咲く花の斜面であった。やがて樹林の中に入り、斜面を下りきると、奥白根平の草原にでる。広々とした谷間では爽快で気持ちのいい所だった。そこから少し下ったところに避難小屋があった。

3.前白根から五色山

避難小屋の後ろから前白根への登りに入る。暗い森の中を高度を上げると稜線に登り着く。再び明るい道となり、小高いピークに登り着くと、眼下に五色沼がよく見える。少し下ったあと、ざれた稜線を登り返すと、前白根山の一角に出た。山頂部は広い平地で、正面には奥白根山の勇姿とその山麓の五色沼の姿があった。この山の代表的な景観に違いないと思った。
前白根山で展望を楽しみながら休憩したあと、五色山へと向かう。シラネニンジンがよく目に付いた。小さな鞍部から登り返すと五色山の山頂で、ここは樹林にかこまれてはいるが広々としていた。奥白根山の方で大きな音がした。どうやら斜面に崩壊があったようだ。
五色山から稜線にそって下っていき、途中から五色沼へと下る道と別れ、弥陀ヶ池へと登っていく。その手前に草原の広い平地があり、その縁の方まであるいていくと、眼下に五色沼の美しい光景が広がった。思わず目を奪われるような眺めであった。
平地から少し下ると弥陀ヶ池に出る。今は陽が射さず静かな水をたたえている。ちょうど中学生のグループが奥白根の方から降りてくるところだった。林間学校のようなものだろうか。菅沼からの往復らしい。
弥陀ヶ池からは座禅山に登ってから火口を横断する道も最近開かれたようだが、今日のところはそのまま下っていく。すぐに樹林帯へと入り、ぐんぐん高度を落とす道である。もうかなり下ったと思ったあたりで、座禅山から下る道をあわせ、さらに下って七色平の分岐に着いた。
七色平まで往復してみる。湿原ということであるが、乾いていた。最近雨が降らないためだろうか。一面に黄色い花が咲いていた。六地蔵まで、行きには通らなかった道を下る。概ね平坦ではあるが、最後は多少傾斜もあった。林床にはギンリョウソウも咲いていた。
六地蔵は綺麗に祠の中に納まっており、訪れる人も多いような感じであった。六地蔵から登山口までは、一つ尾根を越える格好になる。最後に思いがけない登りをこなさなければならなくなってしまった。尾根まで登り着けばあとは僅かで行きの道に出て、そのすぐ先が登山口であった。レストランで少し休憩しつつ、白根山頂部にかかる雲がとれるのを待っていたが、雲は晴れなかった。ゴンドラで下り、車に乗る頃ついに雨がパラパラと降り出した。曇り空の中、中禅寺湖から日光へと下っていくと、市街に入ったあたりで強烈な驟雨に見舞われた。いよいよ盛夏という季節になったようである。

日光白根山は関東以北で一番高いと言われる山ですが、さすがに2500mの山はれっきとした高山の雰囲気でした。ここまで登ると真夏でも涼しい山歩きが楽しめました。奥白根山は、そこだけが大きく突き出たドームになっているのですが、五色沼や弥陀ヶ池など周囲に見所も多く、たいへん楽しい山歩きができました。

ハクサンフウロマルバタケブキシラネニンジン?シャクナゲ

本文中の写真

  • 登山道横の大日如来の石像
  • 山頂の白根権現
  • 奥白根平の平原
  • 弥陀ヶ池の静かな湖面



  • 記録

    日 程

    2001年7月22日(日)

    天 候

    晴れ時々曇り

    コース

    0735 ゴンドラ駅 → 0800 大日如来 → 0920/1000 奥白根山 → 1045/52 避難小屋 → 1125/50 前白根山 → 1212 五色山 → 1250 五色沼分岐 → 1300/10 展望の草原 → 1317/22 弥陀ヶ池 → 1350 七色平分岐 → 1355/1405 七色平 → 六地蔵 → 1450 ゴンドラ駅

    前白根から奥白根山と五色沼


    参考図書・地図 その他のコース
    アルペンガイド 奥日光・足尾・西上州
    昭文社 エアリアマップ 日光
    25000図 男体山・丸沼
    50000図 男体山
    ・湯元温泉から中曽根または前白根山経由で奥白根山
    ・菅沼から弥陀ヶ池、奥白根山
    ・金精峠から金精山経由で五色山
    などが代表的なコースです。ほかにも細かな分岐はいろいろあり、楽しめます
    バス
    ・丸沼
    沼田駅から鎌田乗り換え丸沼高原(関越交通
    ただし、朝のバスは鎌田に泊まらないと乗れないようです。
    ・湯元温泉
    日光駅から湯元温泉(東武バス日光周辺時刻表