太郎山

 太郎山 2,367.7m
 山域:日光

記録
 山行日2014年7月13日(日)
 ルート新薙コース登山口→太郎山(往復)
 コースタイム0515 新薙コース登山口 → 0710 新薙 → 0718/34 お花畑 → 0748/57 太郎山 → 0809/39 お花畑 → 0950登山口
 天候曇り

山行の間隔が1ヶ月空いたので、調子はどうかという不安もありました。その上、土曜日出かける予定を流してしまったので、日曜日の山行となり、あまりハードなコースも疲れが残るので、太郎山の最短コースの新薙コースとしました。ピークを沢山踏む山王峠からのコースでも良かったのですが、新薙やお花畑などの名所のあるこちらの方が、楽しみが多いと思ったからです。

1.新薙ルート登山口へ

今回は早朝登山開始のつもりで、前日夜10時頃に登山口まで入りました。樹林の中に囲まれた堰堤が横にある登山口は、他に登山者の車も無く、まさに静寂の音を聞くような森閑とした状況。少しの間車外に出てみましたが、魑魅魍魎も跋扈しそうな雰囲気で、早々に車の中に退散し、眠りにつきました。
日光連山の山に登るのは2001年に白根山に登って以来ですから13年ぶりになります。日光の山々は登りがきついという印象があり、かといってそれほど馴染み深い山域という訳でもないので、後回しになっていました。太郎山もこのコースであれば2時間30分がコースタイムですが、傾斜のきついコースです。日光は有名な山域の割に自分の中では空白地帯となっているため、久しぶりに奥日光を訪問したということです。
日曜日は天気予報によると、遅くなるほど雨の可能性が高まること、また下山が遅くなると休日が慌しくなってしまうことなどもあり、前日の夕方に自宅を出発しました。夜の日光は昼間の賑やかさとは裏腹に深く寝静まっていました。時折シカが出現する細い林道を走り到着した登山口周辺は、堰堤の上の広場となっていて、真っ暗闇の中では堰堤の下に吸い込まれそうな雰囲気さえありました。

2.太郎山へ

朝の光と鳥の囀りに目覚めると、時計はちょうど5時を指しています。山の中でも自宅でも目覚めの時間は変わらないようです。起抜けで朝食をとる気にはならなかったので、そのまま15分で準備をして出発しました。
登山口からまずは急坂を少し登ると、傾斜が緩み少し回りこんで隣の沢の小さな堰堤の前を通過します。ここからは広い裾野のような雰囲気の樹林帯を緩やかに登って行くようになり、コメツガやダケカンバが主体の樹林の中にはシャクナゲの木が小さなものから大きなものまで沢山生えています。中にはまだ白い花をつけているものもありましたが季節的には終わりのようです。
道はそれほどの急坂にはならず、緩急繰り返しながら登っていきます。登山道はU字型に掘れている部分が多く、ほとんどの場所で横に新しい踏み跡が作られていました。傾斜にかかわらず、掘れ易い土壌のようです。暗い樹林の中を淡々と登って行くうちに、少しの間傾斜がかなり緩み、ほとんど平坦な部分さえも現れます。地図で見る1850mあたりでしょうか。地図で見ても、ここから傾斜が徐々に強まり、最後は一気に突き上げているようで、いよいよその部分に入っていくようです。
さて、朝起きて直ぐに1時間ほど歩いてきましたが、やはりペースに乗れない感じです。1ヶ月ぶり、起き抜け、日ごろの不摂生といろいろとたたっているようです。という訳で、傾斜が徐々に強まってきている中で、一度大休止しこれからの登りに備えました。
道はやがてどんどん傾斜を増し、ロープが現れるようになります。新薙の横を登っていくようになると、樹林も時々切れ、男体山や大真名子山、小真名子山が見えました。空は雲が重く垂れ込めていて、男体山の山頂は僅かに雲がかかっている状態、女峰山の方は全く雲の中でした。時折出現する男体山と比べて、自分の位置が少しずつ高くなっていくのを励みに急登を登っていきました。
新薙のガレがぐっと近づいてくるとやがてガレ場を横断するところに到着です。道がしっかりしているので、それほど高度感を感じる訳ではありませんが、慎重に横切ります。薙の下から吹き上げてくる風で帽子を飛ばされるのが一番の心配でした。それに何と言っても風が強いとかなり寒く感じました。
一つ目のガレ場を横切って、樹林帯を少し登ると、2つ目のガレ場が現れます。これも同じような感じで横切り再び樹林の中に入ると、傾斜は一転緩やかになり、火口原の縁を乗り越して、太郎山の火口原であるお花畑の草原が眼下に広がりました。
お花畑は今日最も期待していた場所です。地図で見ると菱形の湿原表記になっていますが、水はほとんど無く、山上の笹の平坦地です。真ん中を真直ぐ一本の道が横切って行きます。そもそも山上の平坦地というのは大好きなので、展望が無いのは解っていても今日はこれを目当てに登ってきたといっても過言ではありません。まずは対岸まで横切って石仏のある大岩のあたりで火口原を振り返りながら休憩しました。
お花畑は帰りに再び通過するので、まずは山頂を往復してきます。再び樹林帯の登りになり、北側から回り込むように登って行きます。程なく山王峠への分岐があり、その直ぐ上が山頂です。山頂は風が強く、かつ雲に包まれており、次々と霧が飛んできている状態で、あまり長居するような雰囲気ではありませんでしたが、オープンな山頂ですので、晴れた日の展望が素晴らしいことは想像できました。
再びお花畑に戻り、その一角に腰を落ち着けて今日始めての食事とします。着いた時は霧に深く沈んで、20m先くらい先しか見えない状態でしたが、少し経つと綺麗に晴れて全体が見渡せます。この落差は感動的で、これを短い周期で繰り返しています。端から流れ落ちるように乳白色の霧が流れ込み、いつの間にか綺麗さっぱり消えている。面白い眺めです。
お花畑という名前がついていますが、花はあまりありません。小さなキスミレが咲いている程度。キバナノコマノツメではないかと思われます。あとは平原の端のぐるりにコバイケイソウの葉がめだっていました。花はありませんでした。

3.下山

あとは登って来た道を下るだけです。新薙を通過し、急坂を下っていると、小学生を含む3人連れが登ってきました。今日はじめて会う人です。この後も2人とすれ違っただけです。急坂の部分は慎重に下りましたが、想像していたほど大変ではありませんでした。傾斜が緩むと歩き易くなり、往きに苦労していたのは嘘のようで、シャクナゲの木々に囲まれた道を一気に登山道まで降り立ちました。1ヶ月ぶりの山でしたが、とりあえず不安は無かったようです。

今日の登りでなかなかペースがつかめなかった原因の一つに、朝起きて15分後に出発したということもあると思いました。少し遠くで仮眠をし、30分くらい運転してから登山口に来た方がいいのではないかと思いました。
太郎山のこのコースは植林が無いので、終始自然の山を歩けるいいコースでした。これで日光連山一家のうち、男体山と太郎山を登ったので、次は女峰山かというところですが、あちらはルートによっては関東では屈指のロングコースになるため悩むところです。せっかくなので長いコースを登ってみたいところなのですが…

本文中の写真(順に)

  • 登山道から見る男体山
  • 新薙のガレ場横断
  • 明るい太郎山山頂

  • 参考図書・地図
    アルペンガイド 奥日光・足尾・西上州(2000年11月初版)
    エアリアマップ 日光(1999年版)
    25000図 男体山
    50000図 男体山

    お花畑の(火口原)全景
    その他のコース
    ・山王峠〜山王帽子山〜太郎山
    ・ハガタテコースは崩壊の為通行禁止です
    交通機関
    東武日光駅より「湯元温泉」行き光徳入口下車
    詳細時刻は、東武バスをご参照ください。