荒島岳

1523m

山域:奥越
2000.7.9


荒島岳は百名山の中でも地味な山であると思う。私にとっては、名前がなかなか山の印象に繋がらない山であった。夏になって、そろそろ遠出をしたくなったので、まず手始めにと思って、この奥越の名峰に出かけた。なかなか風格があり、ブナの美しい山であった。

夜明け前に勝原から見上げる荒島岳は、残念ながらガスが深くたれこめていた。天気予報から、時間が経つにつれてガスが消えることを期待し、しばらく車内で仮眠する。6時をすぎると、だいぶんガスも上にあがり、多少青空ものぞき始めたので、いざ出発である。
最初はスキー場の中のコースを登って行く。ある程度の傾斜でグングン高度を稼ぐ道で、あわてずじっくり登る。時折差し込む日差しは早朝とはいえ夏のもので、汗が吹き出してきた。淡々とした登りで、数回折り返し、リフト終点着。広場の片隅から山道に入っていった。
灌木の中で、赤土が踏まれて階段状になった道が続いたあと、素晴らしいブナ林となった。なかなかこれだけのブナ林を見る機会もなく、息も乱れない程度のスピードでのんびりと歩くのを楽しむように行く。大きな節くれ立った幹や、幾重にも枝分かれした木は、それぞれに個性があり、力強さを感じる。やがて左からの尾根と合流ししばらく登ると、ガスに見え隠れしている小荒島岳の稜線が近づき、小さな鞍部に降りた。のんびりした歩きもここまで。ここから、荒れた道を階段で補修してある急登となり、一気に尾根に突き上げる。リフト終点以来休む機会を逸していたので、ちょっと疲れ気味の体を激励し、ひと頑張りでしゃくなげ平の平地に出て、ゆっくり休憩した。
少しの下りで佐開コースと合流し、鞍部からモチガ壁の登りに入る。土の掘れた滑りやすい急登を頑張ると、登るにつれて傾斜も緩み、平坦な部分も出て、緩急を繰り返すようになる。カンバとササの稜線に変わり、見晴らしはいいはずであるが残念ながらガスが出て遠望が効かず、山頂がどのあたりかよく解らない。一旦軽く下り、再び急登のあと、若干下る。、前荒島や中荒島はまだかな?と思いながら、掘れた様な道を登っていくと、前方のピークがガスの中に微かに浮かび、コンクリートの構造物が見えた。もう前荒島も中荒島も通過していたのだ。あとは若干回り込むように稜線を辿ると山頂に到着した。
残念ながらガスが出て展望はきかず、風も吹いて多少肌寒い。時折雲が切れ、ぽっかりと青空がのぞくことがあるが、すぐ雲に覆われてしまう。確実に良くはなってきているようだが、晴れるにはまだまだ時間がかかりそうだ。山頂に別れを告げ中荒島まで下った頃、一帯のガスが晴れて、青空が広がった。すぐにガスに閉ざされたが、最後に山頂の全貌を見せてくれた。
下山は、行きの道を忠実に辿る。滑りやすい道を慎重に下り、しゃくなげ平からさらに一気に下ると、緩やかなブナ林の道となる。やはりここは至福の道だ。残念ながら道が荒れつつあり、要所要所は階段などで、補修が始められていた。リフト終点からはスキー場の中を、足元に集中して小走りに一気に駐車場まで降り立った。すでに全く青空の下で、道が白くてまぶしいくらいであった。

最後に大野市内から振り返ると、山頂部は上空に雲はあるもののしっかりと全貌を表しており、大野富士の名の通りの風格のある立派な様子を見せていた。何よりブナ林が美しく、歩く楽しみを教えてくれる山であった。



記録

日 程

2000年7月9日(日)

天 候

曇りのち晴れ

コース

0640 勝原スキー場 → 0715/25 リフト終点 → 0840/55 しゃくなげ平 → 0955/1035 山頂 → 1120/30 しゃくなげ平 → 1220 リフト終点 → 1245 勝原スキー場

中荒島付近から見上げる山頂部


参考図書・地図 その他のコース
目的別AGビッグフット 日本百名山登山ガイド(下)
25000図 荒島岳
50000図 
中出コース
佐開コース
下山コース
バス
越美北線 勝原駅から徒歩15分