取立山

 取立山 1307m コツブリ山 1264m
山域:奥越
2001.5.27.



先週は山に行きませんでした。来週も行けません。そうなると、今週はどうしてもどこかに行かないと..という気になります。天気の良い土曜日は社用で、日曜日しかありませんでしたが、あいにくの天気予報でした。どちらかというと、北の方が天気は良さそうですし、天気が悪いので楽で展望以外にも見所があるコースをと、まずは赤兎山を選びました。しかし着いてみれば林道が通行止め。これでは駄目だと、水芭蕉が有名という近くの取立山にしました。

1.登山口まで

取立山を目指した訳ではなかった。途中で仮眠したこともあって、四日市から4時間以上かけてたどりついた赤兎山の登山口への林道は、小原の集落のすぐ先で工事のため通行止。もともと楽なコースを予定していたので、さすがに鳩ヶ湯へまわる気は起きず、さりとて経ヶ岳もちょっとロングコースになる。同じ程度でいい山は無いかな?とガイドブックを見ると、近くの取立山が手頃で、水芭蕉の時期は賑わうと書いてあるではないか。さっそく、こちらに変更し、再び国道を北上して、東山いこいの森から登山口に向かった。登山口ではすでに2組の10名くらいの団体が出発するところで、天気が良い日でもないのに、なるほど賑わう山だなと思った。

2.大滝経由で取立平へ

駐車場から登山道に入ると、すぐに大滝へのコースと直接取立山に登るコースの分岐である。大滝へのコースは水平な道で、谷の方に向けて進んでいく。道はよく踏まれて広く、人気の山であることを伺わせる。木々は鮮やかな緑で、柔らかな春の色合いから、すでに力強い色に変わっている。目立つ花は、足元のスミレ(たぶんタチツボスミレ)と、ピンクのタニウツギのみである。タニウツギは国道沿いにもけっこう咲いていた。今の季節ならではだ。
今にも雨が降り出しそうな雰囲気の中を、植林地を抜けてさらに進んでいくと、水音が聞こえ始める。やがて、正面に大滝が飛沫をあげて落ちているのが見えた。道は大滝の途中くらいまで下って行く。さらに滝の下まで下ることもできるが、ちょうど登山道から全景も見渡せるので、滝を眺めながら少し休んだ。
ここからやっと高度を上げ始める。岩場を登って滝の上に出ると、沢に沿っての登りになる。周囲は蛙の声が賑やかだ。しばらくして、涼しげな沢を渡り、道は折り返すように尾根に向けて登っていく。蒸し暑く汗が落ちる上、ついに雨も降り始めた。短い行程なので、あわてずゆっくり登り、少しジグザグがあったあと尾根上に出た。
尾根に出ると一気に展望が広がる。正面に緩やかにコツブリ山へと続く草原の道。右には取立山と稜線。背後には勝山の町と、雲海に浮かぶ山。わずか1時間弱の歩きで素晴らしい爽快な光景に会った。
緩やかな尾根をのんびりと行く。このあたりまで上がると、ムラサキヤシオの鮮やかな色に出会う。谷からわ蛙の声が立ち上り、周囲はいろんな種類の鳥の声につつまれる。春から初夏に向けての稜線の素晴らしいひとときであった。
コツブリ山の直下までくると、傾斜が増し、木も高くなって視界が効かなくなった。ここを一登りで山頂に立つと、正面にすっかり斑模様になった、白山と別山が聳えていたが、残念ながら見えるのは中腹までであった。
取立山に向けて少し下った鞍部に取立平の標識がある。ここから奥に歩道があり、湿原へと入って行く。ここには水の流れの中で広く水芭蕉が群生しており、まだ大きく成長していないので、ちょうど見頃である。そういえば、最近まとまった水芭蕉を見てなかったなと思いつつ、清々しい情景を楽しんだ。この周囲には、イワウチワやショウジョウバカマも咲いていたが、今日ばかりは脇役のようだ。
取立平のすぐ先に、立派な避難小屋があり、そこから取立山へはゆっくりした登りになる。まだタムシバも白い花が残っていた。笹原の中をゆっくり行くと、いつのまにか賑わう山頂に着いていた。白山は霞んで見えないが、正面には赤兎山への稜線があり、右には立派な経ヶ岳が目を惹いている。その奥には端正な荒島岳が見えている。いい山がたくさんあるのだなと思いながらも、あの経ヶ岳の風貌には何か惹かれるものを感じた。
山頂には続々と家族連れが上がってくるが、皆白山がかすかに見えているのをとらえて歓声を上げている。取立平あたりから日も射すようになっており、ハイキング日和になってきたようだ。

3.下山

下山は尾根をまっすぐに駐車場へと下る。途中で100人近くとすれ違ったので はなかろうか。あの狭い山頂や水芭蕉の道はどうなるのだろうと心配しつつ、人気の高さを改めて実感した。自然観察会の団体もあり、かれらが残していった、草木の名前の札がけっこう参考になった。
途中から荒れた林道という感じのジグザグ道を下り、やがて本当に林道になる。林道脇には花も多く、スミレの群生やタニウツギのほかに、可憐なチゴユリも見ることができた。広大な駐車場はたくさんの車で満員になっており、中には数台の遠くからのマイクロバスも止まっていた。

想像以上に人気の山で、またちょうど水芭蕉が美しく、いい時期に登ることができました。天気も順調に回復してまずまずの展望もあり、気持ちよく歩くことができました。山は華やかな彩りの季節は終わり、濃い緑の季節になりつつあります。鳥や蛙の声が響き渡るなど、だんだん躍動感があふれてきているようです。
帰路は勝山温泉センター(水芭蕉の湯)に立ち寄って帰りました。しかし片道4時間かかるので、歩く時間が3時間というのはちょっともったいない気もします。せっかくなので、2日かけて、別の山にも登りたいところです。
帰りに荒島岳の登山口を通りましたが、こちらには観光バスも数台停まっていたので、あちらの方も盛況のようでした。

タニウツギ?スミレチゴユリムラサキヤシオ
タムシバショウジョウバカマイワウチワミズバショウ

本文中の写真

  • 飛沫をあげる大滝
  • 広々としたコツブリ山への稜線
  • 取立平の水芭蕉



  • 記録

    日 程

    2001年5月27日(日)

    天 候

    曇り一時雨 のち 時々晴れ

    コース

    0800 駐車場 → 0820/25 大滝 → 0920 コツブリ山 → 0925/40 取立平 → 1000/15 取立山 → 1105 駐車場

    取立山山頂付近の稜線


    参考図書・地図 その他のコース
    昭文社 関西の山歩き100選
    アルペンガイド 白山と北陸の山
    25000図 北谷
    50000図 越前勝山
    本コース以外に、コツブリ山から胡摩堂峠を経て谷峠に向かう道があるとのことですが、一部道が悪いところもあるようです。
    バス
    バス停は遠く、小原口からの歩きとなり、本数も少なく、バスで行くのには不向きです。
    ただし、東山いこいの森を利用してゆっくりと楽しまれる場合に利用できると思います。
    勝山駅〜小原口:京福バス
    小原口〜東山いこいの森:徒歩40分 いこいの森〜登山口:徒歩30分
    温泉
    勝山市内方面に国道を下ると、勝山温泉センター「水芭蕉の湯」がある。
    入浴料は500円。平日12:00〜21:00、休日10:00〜21:00
    広々としたお風呂で、普通の風呂の他に泡風呂、サウナなどあり。

    勝山市ホームページ東山いこいの森の紹介のほか、経ヶ岳・赤兎山・越前甲・法恩寺山などの登山マップがあります。