飛竜山

 飛竜山 2077m 竜喰山 2011.9m 大常木山 1962m
 山域:奥秩父

記録
 山行日2014年5月24日(土)
 ルート三ノ瀬→将監峠→竜喰山→飛竜山→将監小屋(泊)
 コースタイム0750 三ノ瀬民宿みはらし → 0826 七ツ石尾根分岐 → 0847 ムジナの巣 → 0938将監小屋<テント設営>
1025 将監小屋 → 1033 将監峠 → 1115/26 竜喰山 → 1222/45 大常木山 → 1317 大ダル → 1353/1409 飛竜権現 → 1428/42 飛竜山 → 1458 飛竜権現 → 1501 禿岩 → 1530 大ダル → 1706 将監小屋分岐 → 1720 将監小屋
 天候晴れ

久しぶりに、いかにも山に登ったというような山行をと思い立ちました。二日間の好天の予報で、テントを担いで。しかし、ずっと担ぎ続けるのは自信が無いので、定着スタイルです。目指すは奥秩父の飛竜山、和名倉山。いずれも日帰りで行くにはかなり気合のいる山ですが、このスタイルだと比較的楽に思えます。

1.将監小屋

登山口の三ノ瀬までは、ナビに従い上野原インターから向いましたが、確かに距離は短いものの、丹波まで2つも峠を越える道でした。青梅街道を延々と走るのと、どちらがいいとは言えませんが、都内からの距離の割には、三ノ瀬は遠い山奥です。山梨県ではありますが、奥多摩からだと峠を越えないので、東京都の続きのようなイメージがあります。
登山口の近くのにある「民宿みはらし」に駐車させてもらい、将監小屋に向けて出発しました。久しぶりの15kgのザックはずしりと重たいのですが、最初の2時間の辛抱です。体力温存でゆっくりと登って行きます。将監小屋までは一般車進入禁止の未舗装車道なので、傾斜が緩く歩きやすいのが救いです。新緑の季節の中でただただポツポツと歩いて行きました。休憩無しで、ザックの重さで肩が悲鳴をあげそうになる頃、道が下りになり、将監小屋に到着しました。
小屋番さんに今から和名倉は無理かと尋ねると、「ちょっとえらいね」という返事。飛竜なら大丈夫だと言う事で、初日は飛竜とします。本当は、コースの長い和名倉を元気な一日目にしたかったのですが。そして、まだ時間が早くガラガラのテン場にテント設営をして身軽になり、再び出発しました。

2.竜喰山、大常木山

以前、奥秩父を縦走した時は基本的にずっと縦走路を歩き通しました。従って飛竜山頂もパスしているのですが、当然この間にある竜喰山や大常木山も山頂は通っていません。そこで今日は大ダルまでは稜線を経由して行こうとの算段です。まずは広い防火帯をひと登りで将監峠に登り、縦走路を少し進んで竜喰山への尾根に入ります。明確な道はありませんが、笹原の斜面に獣道が走っていて、低い笹を掻き分けて登って行きます。少し登ると、踏み跡もだんだんと明らかになり、笹原の少し右よりに真直ぐ登っているようでした。
斜面を登りきると、尾根は向きを変えて一旦は平らな道になり、再び登りになりました。そして、もう一度緩急を繰り返し、暗い樹林の中を登って竜喰山の標識のある山頂に着きました。ここは樹林に囲まれ展望はありませんが、立派な三角点ピークを一つゲットという感じです。
山頂からは緩やかな下りとなり鞍部に降り立ちますが、なぜか広い峠のような立派な?鞍部がありました。大常木山へは、笹原と雑木林の中の道をいくつかアップダウンしながら進むことになります。概ね踏み跡は明瞭ですが、時々乱れるところもあります。右側が開ければ、大菩薩の向こうに富士山が大きく、正面が開ければ大きな飛竜の稜線が見えます。このあたりは、変化に富んだ素晴らしい風景が展開します。
小ピークを幾つか越えていくと、目の前に岩場が立ちはだかりました。地図で見て大常木山の山頂部は等高線が詰まっているので何かあると思っていましたが、やはりありました。岩場は左の裏側に回ると行き詰ってしまいますので、正面右手から登って行くことになります。取り付きが判れば、あとは比較的スムーズに登れました。このあたりではシャクナゲが現れます。まだ花は咲いていないのですが、濃いピンクに膨らんで今にも咲きそうになっている状態のものが少し見られました。蕾自体は少ないようでした。
岩稜を辿ると大常木山の山頂で、久しぶりの「KUMO」氏の山名標を見ました。マイナーなピークに時々現れる山名標で、拘りがあるようで、見ると嬉しくなります。そしてこの岩の上の頂上は、北に開けていて正面に和名倉山を眺める絶好の展望台になっています。東仙波とその向こうの和名倉山は立派でどっしりとしていて、明日はあれに登るかも知れないと思いながらも、ちょっと圧倒される気分でした。大常木山の山頂の展望はそれほど期待していなかっただけに、大収穫でした。
大常木山から大ダルに向けては、さらに小さな岩のピークをいくつか越えていくことになりますが、これが木を潜ったり、倒木を踏み越えたりで歩きづらく、しつこくピークが出現してくるので、多少うんざりしました。一つ一つクリアしていくと、やっと緩やかな笹の斜面の下りとなり、その後滑ったら結構いってしまいそうな笹の斜面(事実一回滑ってしまいました)となって、これを下ると踏み跡が乱れる緩やかな笹原となり、適当に下ると縦走路と合流して大ダワに到着しました。到着時間によっては、大ダワから引き返すことも考えていましたが、余裕がありそうなので飛竜まで進むこととしました。

3.飛竜山

飛竜山の広い側面を斜めに登り上げる縦走路は、かつて全山縦走の時に歩いた道です。あの時は霧雨の中で、重荷を背負ったこともあり、飛竜山頂はパスしてしまったので、今日はリベンジなのです。縦走路は最初は緩やかな登りです。途中足元にはイワウチワなど早春の花が見られました。傾斜はだんだん強くなり、朝からの行動にだんだん疲労の色が濃くなりました。やっと禿岩の分岐の標識のある南の端に登りついて少し下ったところが飛竜権現でした。かつて来たときは社が倒壊していましたが、今回は社そのものが無くなり、石祠があるだけでした。
飛竜権現で休憩し、山頂へ向け出発です。僅かに登ると、あとは緩やかなシャクナゲの中の道となりました。倒木はあったり、シャクナゲが被ったりで決して歩きやすくは無いのですが、いかにも奥秩父らしい雰囲気でした。最高点まで登りついて右に僅かで三角点のある飛竜山頂です。決して展望のいい場所ではないのですが、大きな黒木の山の静かな山頂でしばらく休憩しました。
飛竜権現まで戻り、将監小屋へと戻ることとします。少し登って禿岩に立ち寄りましたが、ここの展望は最高でした。前飛竜から丹波への尾根や、奥多摩、大菩薩の山々も良く見えていますが、最も目を惹くのは遠く国師ヶ岳あたりの大きな様子と、その前に主脈から南に緩やかに伸びる沢山の尾根が重なって波のようになっています。夕方の霞んだ風景ですが、夢幻のシルエットです。
大ダワまで戻ると、帰路は普通に縦走路を戻ります。しかし、大常木山の山腹を巻く縦走路は小さなアップダウンが多く、地面も岩がゴツゴツしていて、決して歩きやすい道ではありません。沢を越え、尾根を越え、山腹の道を頑張って進んでいくと、やがて歩き易く平らな道に変わりました。きっと竜喰山の山腹の領域に入ったことと思います。歩き易い道を小さなアップダウンを繰り返しながら進み、苔むした岩がゴロゴロしている不思議な斜面を過ぎると下に将監小屋の青い屋根が見えてきました。分岐から将監小屋を目指して下ると、賑やかな声も聞えるようになり、テン場は色とりどりの沢山のテントで満員になっていました。

将監小屋に戻ると手続きをして、テントの中で夕食はアルファ米のチキンライス。疲れと寒さでなかなか寝付けず、明日の行動を思い悩む夜となりました。失敗は箸とシュラフカバーを忘れたことでしょうか。100%快適とはいきませんでした。何度かうとうとしつつの浅い眠りで朝になってしまいました。
今日は竜喰山、大常木山、飛竜山と3つの山頂を踏みましたが、それぞれ特徴があり、晴天にも恵まれ、なかなかいい一日だったと思います。明日は計画だと和名倉山です。疲れが残ったままで、その上、最近2日続けて歩いたことが無いので、行けるかどうかかなり不安なのでした。

本文中の写真

  • 明るい笹原の将監峠
  • 竜喰山への稜線からの竜喰山山頂部
  • 竜喰山〜大常木山の稜線
  • 大常木山山頂への取り付き
  • 大常木山山頂からの和名倉山
  • 穏やかな雰囲気の大ダル
  • 禿岩に咲くシャクナゲ
  • 禿岩からの奥秩父の峰々の重なり

  • 参考図書・地図
    アルペンガイド奥多摩・奥秩父・大菩薩(1992年8月第1刷)
    エアリアマップ 奥秩父1(1992年版)
    25000図 雁坂峠 雲取山
    50000図 三峰

    竜喰山の稜線からの飛竜山
    その他のコース
     将監峠
      ・三ノ瀬〜七ツ石尾根〜将監峠
     飛竜山
      ・三条の湯〜北天ノタル〜飛竜権現
      ・丹波〜ミカサ尾根〜前飛竜
      ・丹波〜岩岳尾根〜前飛竜
    交通機関
    塩山駅から、一ノ瀬高原の入口である「落合」まで、季節運行で路線があります。
    詳細時刻は、山梨交通をご参照下さい。