茅ヶ岳・金ヶ岳

 茅ヶ岳 1704.0m 金ヶ岳 1764m
 山域:奥秩父

記録
 山行日1997年05月23日(金)
 ルート大明神登山口→茅ヶ岳→金ヶ岳(往復)
 コースタイム大明神登山口→1130/1140 女岩→1230/1240 茅ヶ岳→1320/1330 金ヶ岳 →1415/1435 茅ヶ岳→ 1505/1515女岩 → 1550登山口
 天候曇り

茅ヶ岳といえば深田久弥である。実際に登ったことのなかった私にとってその印象が最も強かった。深田氏は事故ではなく、山中での静かに息を引き取られた。終焉の場面として、失礼ながらこれ以上ないという形に思え、従って非常に印象が強烈なのだと思う。
当日は八ヶ岳の予定で出かけたが、生憎の天候と、気になっていた茅ヶ岳は比較的明るい陽射しを浴びて全山姿を現していたので予定を変更して、大明神登山口へと向かった。

深田記念公園の手前を登山道に入る。道は古い林道で、広くしっかりして歩きやすい。女沢に沿う道はカラマツの新緑に囲まれ、その下生えには鮮やかな朱色のヤマツツジ満開である。その色のコントラストは鮮やかだ。かなり歩いて林道は終わるが、その周辺には丸々としたイタドリが生えていて美味しそうだった。これより普通の山道になる。女岩までは緩やかな歩きやすい道が続く。やがて突き当たる女岩は見上げるように大きくそびえたち、また、下部は水があり休むのに良い。ここからは右の斜面を急登し岩の上方に出てさらに高度をあげていく。このあたりは、昨年の薄茶の落ち葉の降り積もった上に新緑が眩しく輝いている。この色の対比にも目を奪われた。道はジグザグを切ってはいるが、急登が連続する。一歩一歩しっかり登ってやっと尾根の肩の部分に出た。
このあたりから、ヤマツツジに代わって、ミツバツツジとなった。頂上とは逆側に少し行った所の露岩に立つと東側や北側が開けて展望がよい。曲岳が近く、奥秩父主脈も見えてはいるが、こちらはあいにく霞んでいた。頂上に向かって歩き始めるとすぐに「深田久弥終焉の地」であり、ここで黙祷する。
頂上へはそこそこの傾斜の岩混じりの道であるが、とにかくツツジが多い。ちょうど満開の紫のトンネルで、頭上を見上げつつ登って行くと花に酔ってしまいそうだ。振り返ると肩の方まで、鮮やかに山が色づいているのがわかる。そしてツツジの花を押し分けながら頂上に立った。
頂上もツツジに囲まれており、その分展望が目の高さとなっている。金ヶ岳も見え、あちらの方が60メートル高い。この2つは一緒に歩かれる様だが、低い茅ヶ岳があくまでメインの様だ。金ヶ岳の方が低ければ往復2時間もかけて行ったかどうか....ただ、この2つを繋ぐ道も素晴らしいものだった。
2つの山を繋ぐ道は急下降しての急登である。金ヶ岳の登りは、これまで以上にツツジが目立ち、殊に鞍部の少し先の群落は見事だ。大きなツツジの木が集まりそれらが鮮やかに満開になっており、まるで紫の花が大海原の波のように寄せてくるようだった。一カ所石の門をくぐる。門と思ったのは実は巨大な2の岩がもたれあってできたものだった。時折振り返ると尖った三角錐の茅ヶ岳が前にツツジを置いて南に大きく尾を引いている。一旦南峰に立ち、さらに登り返して最高峰の北峰に到着する。静かな展望のある頂上だ。南アルプスとかの眺めはいいことと思うが、今日は見えない。戻る途中、下りにある巨大な岩に立ってみた。足下は2つの山の間の新緑の谷を一望でき、また高度感がある。展望も爽快で素晴らしい。
しばらく休んだあと茅ヶ岳に戻り、元きた道を下った。深田久弥の山ということで気になっていた山は、降りたあとはすっかりツツジと新緑の素晴らしい山という印象に変わっていた。帰る頃には八ヶ岳もかなり姿を現しており、この時期甲府盆地に来ると夏も近いのを感じるのだった。


参考図書・地図
ヤマケイ・アルペンガイド 奥多摩・奥秩父・大菩薩(山と渓谷社1992年8月第1刷)
25000図 茅ヶ岳 若神子
50000図 韮崎 御岳昇仙峡

金ヶ岳稜線のツツジ
その他のコース
・(曲岳)観音峠〜金ヶ岳
・東光開拓地〜金ヶ岳
交通機関
2014年現在、韮崎駅から深田公園まで、土曜休日のみバスが運行されています。
詳細時刻については、以下のホームページを参照願います。
 山梨峡北交通


Nifty FYAMA 投稿文

茅ヶ岳【奥秩父】 今が旬です

もともと別件で休暇をとっていたのですが、丁度用が無くなったので山に出かけて しまいました。せっかく連休になるので1泊どこかでして本格的に歩こうと思った のですが、あいにく天気が悪そうで思いきれず、日帰り山行に急遽予定を変更して しまいました。
でも内容は充分満足できるものだったと思います。

【日 程】97年5月23日(金)
【目 的】茅ヶ岳
【天 候】曇り
【コース】1045 大明神登山口→1130/1140 女岩→1230/1240 茅ヶ岳→
     1320/1330 金ヶ岳 →1415/1435 茅ヶ岳→ 1505/1515女岩 → 1550登山口
【山 名】茅ヶ岳 1704m・金ヶ岳 1764m
【メンバー 】単独
【山 域】奥秩父
【参考書】ヤマケイ・アルペンガイド 奥多摩・奥秩父・大菩薩

1.どこへ行こうか

2日間の山行が組めるという事態なのでいろいろな候補を考えたが、しばらく長い距離を歩いていないという自信の無さもあってなかなか考えがまとまらず、また残念ながら天候も身方してくれない様子だった。ただ、山梨県だけは晴の予報で、大丈夫そうだったら八ヶ岳にでもと思い車を走らせた。
ところが八王子を過ぎると雨も降り出す始末。こりゃだめだな、柳沢峠あたりに行って黒川鶏冠山あたりをのんびり歩くかな....と考え、とりあえず塩山に向う。笹子トンネルを抜けると、なんと青空は出ていないけれど、随分明るいではないか!そこでひょっとしたらと期待しつつ長坂あたりまで行ったが、八 ヶ岳はまるっきり麓から雲の中。たぶん稜線では霧に吹き付けられるのがオチだろうと思い、やはりあきらめた。でも茅ヶ岳は比較的明るい陽射しを浴びて全山姿を現している。よし、こっちにしよう!これでやっと決まったのである。長坂から韮崎までもどり、大明神登山口に向かった。

2.茅ヶ岳に登る

茅ヶ岳といえば深田久弥である。まして、いつも高速から見てはいるものの、実際に登ったことのない私にとって、深田久弥という印象が一番強い。実際、深田氏の終焉は、事故でもなく山中で仲間と一緒に休憩をしたとき、静かに息を引き取られたということらしい。終焉の場面として、失礼ながらこれ以上ないという形に思える。従って非常に印象が強烈なのだと思う。
車道から少し入ると二股になり、ここに車は数台停められる。左が深田記念公園、右が登山道だ。公園は帰りに寄るとして、登山道に入っていった。登山道といっても、古い林道でいまでも4WDだったらひょっとしたら走れるかもしれない。女沢に沿って上がって行くが、まわりをカラマツの新緑に囲まれ、その下生えには鮮やかな朱色のツツジ(レンゲツツジだろうか?)が今満開である。結構たくさんあり、新緑と朱色のコントラストは素晴らしい。道は結構広くて歩きやすいが、その積もりでとばして行くと、元車道の割には後半の傾斜は相当急なので、知らず知らずのうちにオーバーペースになり大汗をかいていた。
かなり歩いたところで林道は終わる。その周辺には丸々としたイタドリが生えていて美味しそうだ。普通の山道になるが、まだまだ傾斜は急にならず、歩きやすい道が続く。程なく女岩に突き当たる。見上げるような大きなそびえたつ岩で、下の方から水が滴り落ちている。
ここから右の斜面を急登し岩の上に出てさらに高度をあげていく。途中昨年の美しく落ち葉の降り積もった上方に新緑が眩しく開いている姿の色の対比には目を奪われた。
道はジグザグを切って登って行くが、方向はまっすぐ直登して行き、かなりの急登が連続する。一歩一歩しっかり登ってやっと尾根の肩の部分に出た。
このあたりから、朱色のツツジに代わって、紫のツツジ(ミツバツツジ?)が出現した。朱色のはこのあたりではまだ蕾である。開花時期が違う様だ。頂上とは反対側に少し行った所に岩がありそこに立つと東側や北側が開けて展望がよい。すぐ近くには、曲岳が見られる。奥秩父主脈も見えてはいるが、あいにく霞んでしまっている。
頂上に向かって歩き始めるとしばらくして「深田久弥終焉の地」の標柱がある。ここで黙祷する。
頂上への道はそこそこ傾斜のある岩混じりの道であるが、とにかくツツジが多い。それもちょうど満開の時期にあたったようで、まるで紫のトンネルの中を行く様だ、頭上を見上げつつ登って行くと花に酔ってしまいそうだ。
振り返ると肩の方まで紫がずっと続いている。決して連続して帯になっているわけではないが、鮮やかに山が色づいている。そしてツツジの花を押し分けながら、頂上に立った。
頂上はぐるりっとツツジに囲まれている。その分展望が目の高さぎりぎりとなっている。広い開放的な頂上だ。その先に金ヶ岳が見える。あちらの方が60メートル高い。この2つの山はセットになって歩かれる様だが、低い茅ヶ岳があくまでメインであるという印象だし、もし金ヶ岳の方が低ければ往復2時間もかけて行ったかどうか....ただ、この2つを繋ぐ道も素晴らしいものだった。

3.金ヶ岳を往復する

2つの山を繋ぐ道は急下降しての急登である。往復するのは精神的に結構つらいものがある。あまりたくさん下りたくないので鞍部に着いた時はホッとした。金ヶ岳の登りにかかるが、これまでの過程も含めてずっと相変わらずツツジのトンネルは続いているが、この鞍部の先のツツジの群落は見事で、大きなツツジの木が何本も集まりそれらが鮮やかに満開になっており、まるで紫の花が大海原の波のように寄せてくるようだった。
一カ所石の門をくぐる。何でこんな大穴ができたのだろうと思って見てみると実は巨大な2の岩がもたれあってできたものだった。
またツツジをかき分け登って行く。時折茅ヶ岳が一望でき、振り返ってみる。尖った三角錐の形だが、南の大きく尾を引いている。もちろん前にツツジを置いて眺めている。観音峠への道は結構険路らしい。尾根がところどころ西上州の山のように切れている。一旦南峰に立ち、さらに登り返して最高峰の北峰に到着する。茅ヶ岳ほど広くはないが、雰囲気のいい展望のある頂上だ。本当は南アルプスとかの眺めはいいことと思うが、今日は見えない。
茅ヶ岳に帰る途中、金ヶ岳からの下りにある巨大な岩に立ってみた。足下は2つの山の間の新緑の谷を一望でき、また高度感がある。また展望も爽快で素晴らしい。しばらく岩の上で休憩した。
茅ヶ岳への登り返しは高度差が少ない分楽だった。ここでしばらく休んだあと元きた道を下った。



帰りに寄った深田記念公園は石碑とベンチがあるだけでした。「百の頂に....」というものでした。裏に茅ヶ岳頂上で亡くなったとありますが、「頂上付近」が正解ですね。
それにしても茅ヶ岳のツツジはこれほどすごいとは思いませんでした。花は期待していた訳ではないので思わぬ大収穫でした。
翌土曜日の予報は「曇り一時雨」と今日の「晴れ」?の予報よりも悪いので、山梨で泊まって別の山に登ることも考えましたが、今回は帰宅することにしました。
帰りに雲が少し高くなって赤岳頂上を除いて八ヶ岳が顔を出していました。東京では時々雲が切れて月がでたりと、どうも分かりにくい天気です。
夏山に向けてまだまだ体力が上向いてこないので、もっと長い距離を歩いてみる必要を感じています。