金峰山

 金峰山 2599m
 山域:奥秩父

記録
 山行日1998年12月29日(火)〜12月30日(水)
 ルート金峰山荘→中ノ沢出合→金峰山小屋(泊)→金峰山→大日小屋→瑞牆山荘
 コースタイム 1日目 金峰山荘より金峰山小屋
1125 金峰山荘→ 1310 中ノ沢出合→ 1420 中間点→ 1600 金峰山小屋
2日目 頂上を経て瑞牆山荘に下山
0740 金峰山小屋 → 0815 金峰山 → 1045/1125 大日小屋 → 1210 富士見小屋→ 1240 瑞牆山荘
 天候29日 晴れ 30日 曇りのち晴れ

年末年始はどこに行く予定もなかったのだが、新しく冬用の道具も買ったことだし、2日間のフリーな時間ができたので思い切って冬の装いの金峰山を目指した。今年2度目の登頂である。

電車の中で一眠りすると、すでによく晴れた甲府盆地を走っており、韮崎をすぎ高原に入ってくるとさらに空気は澄んで、茅ヶ岳や八ヶ岳が眼前に美しく広がってきた。この季節になれば相当の雪が見えてもいいのだが、最近は少ないのか八ヶ岳も頂上まで白黒の斑状である。小海線に乗り換えて今年2度目の信濃川上駅で降りる。数少ないタクシーに相乗りさせてもらい、彼方に光る金峰山頂を見ながら9月にキャンプして岩で遊んだ廻目平に着いた。
運動靴のまま、冬靴を手に林道を進んでいく。沢の流れは淀みに氷がはっており冷たそうだ。道は時々薄く雪に覆われている程度でまだまだ本格的な冬にはなっていない。登山口の少し手前で靴をはきかえ山に入る格好を整えた。砂洗沢を渡り、中ノ沢の左岸から沢に沿ってしばらく登って行く。枝沢に沿って登ると最後の水場の標識があるが、雪に埋まっているようで解らなかった。ジグザグにゆっくりと樹林の中を高度を上げていくと、広けた場所に出て、中間点との標識がある。しばらく暗い樹林帯を歩いてきたあとの、瑞牆山と八ヶ岳の眺望は明るく気持ちが良かった。再び暗い樹林帯の急登になる。疲れが出てきてペースが急激に落ち、休み休みの登高になってしまった。今回は小屋泊まりとはいえ装備をある程度しっかり詰め込んだので、なぜか17kgもあったのである。やがてトラバース状の平坦な道にり、暗い樹林帯から一旦外に出た。行く手は再び樹林帯が見えその斜面の上が森林限界となり、金峰山の山頂へと続いている。金峰山小屋はあの森林限界の境にあるはずだ。再び樹林帯を休み休みで登っていく。最後は再びトラバース状になり、小屋の屋根が見えてきて、やっと金峰山小屋にたどり着いた。終始踏み固められたいい雪道で今回は最後までアイゼンは必要無かった。
小屋番さんは先代の小屋番さんの娘さんが一人でやっていたと思ったら、2人になっていた。ストーブやこたつで暖まり、食事までの時間を過ごす。一つのコタツにあつまった6人のうち5人まで、山とは縁遠い千葉から来ているとは奇遇で、ローカルな話題で盛り上がってしまった。食事の後もまたコタツの廻りで宿から振る舞われたコケモモ酒や担ぎ上げてこられたジョニ黒などストレートでちびちび飲みつつ、いろいろ罪のない(あるいはある)話や人を酒の肴にしながら盛り上がっていた。これも小屋泊まりならではである。一夜明けて、夜明け前に外を見ると雲が立ちこめている。今日は装備を着込んで外にでた。廻りは雲ですっぽり覆われており、風も強い。岩にも木にも看板にも霧氷が綺麗についている。強風の中をゆっくりと登っていく。途中から少し日も射し始めたが、頂上に着いたころには再び雲に覆われてしまった。9月に来た時も雲の中だったが、今回はときどき雲が切れたり、五丈岩が頂上からもやもやしながらも見えるのでまだいい。頂上では記念写真を撮って、五丈岩に降りる。近づいてみると、さすが金峰山のシンボルでこいつは 大きく立派であった。
五丈岩から千代の吹上へと下っていく。風も静まってきていてずいぶん歩きやすくなってきた。良く踏まれているので、ほとんど岩の隙間に落ちることもない。途中で視界も良くなってきて、瑞牆山や小川山が良く見えるようになってきた。樹林帯に入り、単調な下りとなり、大日小屋の広場で湯を沸かして大休止とした。
あとは運動靴で下山する。ここからはもうほとんど雪はない。やがて9月に縦走をスタートした瑞牆山荘に着き、山荘でバスまでの待ち時間をゆっくりビールを飲んで過ごしたのであった。
ゆったりした1泊2日コースだが、今年2度目の金峰山も残念ながら頂上にいるときだけは天候がすっきりしなかった。前日と下山途中からは晴れてはいたのだが....



参考図書・地図
エアリアマップ 奥秩父2(1998年版)
25000図 瑞牆山 金峰山
50000図 金峰山

千代の吹上付近からの瑞牆山
その他のコース
大弛峠から金峰山
黒平から唐松嶺を経て御室小屋、金峰山
峰越林道から御室小屋経由金峰山
交通機関
金峰山荘
信濃川上駅より川端下行き終点下車。
詳細時刻は、川上村をご参照下さい。
瑞牆山荘
韮崎駅よりみずがき山荘行き終点下車。
詳細時刻は、山梨峡北交通をご参照下さい。


Nifty FYAMA 投稿文

年忘れで金峰山【奥秩父】

こんにちわ、泥助です。今年最後の山行は比較的安定していそうな金峰山に向かいました。山小屋が開いているのと、ちょうど2日でゆっくり行けると考えたからです。山頂はあまり天候は良くなかったのですが、そこそこの天候で楽しめました。


【日 程】98年12月29日(火)〜98年12月30日(水)
【目 的】今年2度目の金峰山
【天 候】29日 晴れ 30日 曇りのち晴れ
【コース】1日目 金峰山荘より金峰山小屋
      1125 金峰山荘→ 1310 中ノ沢出合→ 1420 中間点→ 1600 金峰山小屋
      行程 4時間30分
     2日目 頂上を経て瑞牆山荘に下山
      0740 金峰山小屋 → 0815 金峰山 → 1045/1125 大日小屋 →
      1210 富士見小屋 → 1240 瑞牆山荘
      行程 4時間20分
【山 名】金峰山 2599m
【メンバー 】単独
【山 域】奥秩父
【参考書】昭文社エアリアマップ 奥秩父2

1.金峰山小屋へ

あらかじめ確保した指定券を持って早朝船橋駅からあずさ51号に乗った。小屋泊まりとはいえ今回は装備をある程度しっかりして詰め込んだので、家で量るとなぜか17kgもあり、結構肩にしっかり荷重がかかっている。電車の中で一眠りするとすでに甲府盆地を走っており、よく晴れているがもやがかかっていて遠望はきかない。しかしそれも韮崎をすぎ高原に入ってくると空気は澄んできて、茅ヶ岳や八ヶ岳が眼前に美しく広がってきた。この季節であれば相当雪が見えてもいいのだが、12月に入って雪が少ないのか、昨年暮れに来た時はすっかり真っ白くなっていた八ヶ岳も今回は頂上まで白黒の斑状であった。
小淵沢で小海線に乗り換え清里までくるとやっと日陰に少し白いものが見えてが、眩しい陽光の中で車内はまだまだ暑いくらいであった。列車は野辺山を出て高原を気分良く下り信濃川上駅に到着。この駅に降りるのは今年2度目である。
先のこともあり出来るだけ早く楽に金峰山荘まで着きたいのだが、駅前には予約のタクシーが二台だけ。列車から降りた人は3人・2人・2人・私の8人であった。川端下行きのバスも停まってはいたが、川端下から歩きたくないなと思いつつ状況をみると、2人の人が予約したタクシーに2人の人が相乗りを申し入れており、私も遅れてはならずと、さっそく3人のグループに相乗りを申し込んだのであった。
というわけで車内から遠く頂上が平らに白く光って見える金峰山を見ながら順調に金峰山荘に着き、今年の9月にキャンプして岩で遊んだ廻目平の岩塔群を眺めながら運動靴のまま、冬靴を手に持って林道を進んでいった。今日は岩に取り付いている人はいないが、まだ初冬の雰囲気で人影が無いのが不思議なくらいの陽気であった。
靴袋をぶらぶらさせながら林道を奥へとのんびりと歩いていく。沢の流れはよどみなどに氷もはっており冷たそうだ。道は時々薄く雪に覆われている程度でまだまだ本格的な冬にはなっていない。1時間程度歩いて大きな堰堤を越えると道が崩壊しており、一部流れと同じくらいの面を歩いたりするようになる。少し雪も多くなり始めたのでここらで休んで水を補給し、靴をはきかえ山に入る格好を整えた。そしてあと少しで登山口に着いた。
砂洗沢を渡り、中ノ沢の左岸から沢に沿ってしばらく登って行く。枝沢に沿って登ると最後の水場の標識があるが、雪に埋まっているようで良く解らなかった。ジグザグにゆっくりと樹林の中を高度を上げていくと、広けた場所に出て、中間点との標識がある。しばらく暗い樹林帯を歩いてきたあとの、瑞牆山と八ヶ岳の眺望は明るく気持ちが良かった。
再び暗い樹林帯の急登になる。だんだん疲れが出てきてペースが急激に落ち、休み休みの登りになってしまった。やはり荷物が重いのだろう。それに靴も重い....。やがてトラバースのような平坦な道になって、暗い樹林帯から一旦外に出た。行く手は再び樹林帯が見えその斜面の上が森林限界となり、金峰山の山頂へと続いている。金峰山小屋はあの森林限界の境にあるはずだ。もうひと登りである。最後の登りも休み休みで登っていく。途中で追い抜いていった、同じ列車で着いた2人が樹林帯の中で雪をならしてテントを貼っていた。最後は再びトラバース状になり、なかなか着かなかったがそれでもなんとか小屋の屋根が見えてきて、やっと金峰山小屋にたどり着いた。結局終始踏み固められたいい雪道で最後までアイゼンは必要無かった。

2.金峰山

小屋番さんは先代の小屋番さんの娘さんが一人でやっていたと思ったら、2人になっていた。素泊まりをお願いしたが、一応予約の有無を聴かれた。あとで聞いてみると、準備もあり一応要予約としているので、解っていれば電話を入れて欲しいということだった。ストーブやこたつで暖まり、食事までの時間を過ごす。こたつで寝転がってまわりの話に耳を傾けていると、家がどこかという話で、本千葉とか四街道とか市原とか言っている。一つのコタツにあつまった6人のうち5人まで(ただし、うち2人は夫婦であるが)が、山とは縁遠い千葉から来ているとは奇遇で、伊予が岳の頂上から初日の出を見るのがいいなどというローカルな話題で盛り上がってしまった。食事の後もまたコタツの廻りで、宿から振る舞われたコケモモ酒や担ぎ上げてこられたジョニ黒などストレートでちびちび飲みつつ、いろいろ罪のない(あるいはある)話や人を酒の肴にしながら盛り上がっていた。私は、結構飲んでしまったのでその場は8時には辞したが、9時近くまでやっていたらしい。2階に上がって毛布に潜り込んだところ、どうも寒気がして喉が痛むのでどうやら風邪をひいたようだ。まあ明日はほとんど下山だけなのでまあなんとかなるがこれはいけない....。
一夜明けて、夜明け前に外を見ると雲が立ちこめている。前夜はナイター設備で綺麗に光っていたスキー場あたりもまったく雲の中で見えない。ラーメンだけの食事を済ませて今度はフル装備を着込んで外にでた。
廻りは雲ですっぽり覆われており、風も強い。岩にも木にも看板にも霧氷が綺麗についている。強風の中をゆっくりと登っていく。私にとっては荷物が重くてヨタヨタしている上に、風に振られてふらふらしつつ歩いていると、今度はアイゼンを引っかけるという情けないスピードで這うように上がって行き結構な時間をかけて頂上に辿りついた。途中から少し日も射し始めたが、頂上に着いたころには再び雲に覆われていた。でもこの雲はたぶん朝だけで、午前中には晴れることだろう。9月に来た時も雲の中だったが、今回はときどき雲が切れたり、五丈岩が頂上からもやもやしながらも見えるのでまだいい。頂上では記念写真を撮って、五丈岩に降りる。近づいてみると、さすが金峰山のシンボルでこいつは大きく立派であった。
五丈岩から千代の吹上へと下っていく。風も静まってきていてずいぶん歩きやすくなってきた。そして良く踏まれているので、ほとんど岩の隙間に落ちるということもなく、下っていけた。ただし、防寒着のポケットにつっこんで歩いていたペットボトルのお茶が凍っていたので気温は低い。途中で視界も良くなってきて、瑞牆山や小川山が良く見えるようになってきた。左が大きく落ちているところを通過すると程なく樹林帯に入り、単調な下りとなる。大日小屋まで行ってゆっくり休憩しようと先を急いだが、結局頂上からずっと歩き詰めなので、ついに大日岩の手前で「疲れた〜 と座り込んでしまった。気をとりなおして大日岩を下り、途中でアイゼンもはずして(ちょっと早かったが....)大日小屋の広場で湯を沸かして大休止とした。
休憩中に冬靴もすべて脱いでしまい、あとは運動靴とピッケルという姿で下山する。もうほとんど雪はないが、冬靴をザックに詰め込んだので一気にまた荷が重くなり、大日小屋からの緩やかな登りはちょっとこたえたが、あとは順調に歩いて9月に縦走をスタートした瑞牆山荘に着き、山荘でバスまでの待ち時間をゆっくりビールを飲んで過ごしたのであった。


山頂あたりは今一つ天候に恵まれませんでしたが、まずまずの締めくくりでした。車で行くと日帰りで行ってしまう山ですが、公共交通機関を使っていくとゆったりした1泊2日コースになります。初日は昼頃登り翌日昼頃下山するという贅沢行程です。でもまあゆとりもあっていいかなと思います。しかしこの山は、やはり金峰山荘から登った方が格段に楽ですね。