熊倉山

 熊倉山 1426.5m
 山域:奥秩父

記録
 山行日1997年03月22日(土)
 ルート谷津川林道登山口→熊倉山→城山コース登山口
 コースタイム0950 谷津川林道登山口 → 1310/1340 熊倉山 → 1520 城山コース登山口
 天候曇り

一般的に奥秩父と奥武蔵は武甲山から有間山の尾根のあたりで分けられている。奥秩父というと重厚な主脈のイメージがあり、長沢背稜の北側あたりは印象に乏しいところである。熊倉山も長沢背稜から北に張り出した尾根の肩というイメージで、単独で登るまでのインパクトを感じなかったが、先輩の誘いにのって出かけてみた。

朝から降っていた雨は西武秩父に着く頃どうにか上がり、待ち合わせの先輩の車にって、谷津川林道コースの登山口に向かう。このコースはスタートから植林帯にはいるとどんどん高度を上げていく。植林の中にジグザグに切られた登りが絶え間なく続き、雨あがりの登りで蒸し暑くなった。小尾根を乗り越すあたりで雲間から見えた武甲山はとても目立つ山である。その後も山腹の斜面の植林地の中を谷津川の谷に沿って奥へと単調な道が続くが、やがて道は地獄谷の源頭を横切る。ここには清水が流れており、咽を潤すことができる。ここからしばらく自然林の急登となるが、再び植林地に入り夜露は凌げそうな営林小屋跡を通る。さらにまだまだ聖尾根に出るまでまで植林地をずっと登ることとなる。標高1000mくらいから、北面にあたる登山道は最近まで降った雪が凍って相当滑りやすくなった。最近の陽気から考えていなかったので最初は楽しかったものの、足がかりが得られずかなり難渋することとなった。
聖尾根からは雪の斜面のトラバースを注意して歩き三門の広場に出る。ちょっとした平地で、ここからは一登りで頂上に到着した。頂上は西側が開けており、本来なら和名倉山などが良く見えるはずだが、ガスが立ちこめてしまったため期待し展望は無く残念だった。酉谷山に向かう道を確認し、30分程度の滞在で下山することとした。
下山は真ん中の城山コースをとる。当初はかなりの急下降で雪も多く、木に捕まりながら滑り降りた。随分下ったころ小さなこぶを乗り越すが、振り返ると背後に見える熊倉山が大きい。また右の方に雪を纏って鋸の歯の様に起伏を繰り返しているのは宗屋敷尾根だ。コブを越えると雪も無くなり気温も上がってきた。そして少しづつ天候も回復して展望が効くようになり、両神山や西上州の山並を正面に見ながらの下降となった。城山コースは林道コースと違って自然林に恵まれ、冬枯れの森は明るく気持ちが良い。青空も少しづつ広がってきて眼下に広がる秩父の街が陽射しで輝く様になり、随分下ったころ植林帯に入るがまだ若木で展望は良く最後の奥秩父から西上州の眺めを楽しんだ。
登る前は酉谷山の肩という印象で、単独の山としての興味をもっていなかったが、歩いてみると特に城山コースは自然林も豊富で変化にとんだいいコースだった。そして、麓から見上げる熊倉山は大きく存在感のある山だった。


参考図書・地図
アルペンガイド奥多摩・奥秩父・大菩薩(山と渓谷社1992年8月第1刷)
昭文社エアリアマップ 奥武蔵・秩父(1996年版)
25000図 秩父 三峰
50000図 秩父 三峰

熊倉山山頂
その他のコース
一般コースとして、武州日野駅から三ツ又・笹平を経る日野コースがあります。
他に、三峰口駅から聖尾根を登るルートがあるようですが、踏み跡は細くヴァリエーションルートのようです。
交通機関
武蔵日野駅または白久駅から徒歩となります。



Nifty FYAMA 投稿文

熊倉山【奥秩父】

先週は雨で、計画したけど行けなかったのですが、今週は会社の先輩の誘いもあり、天気はあまり良くなかったのですが、秩父の方に出かけました。
奥秩父の熊倉山ですが長沢背稜から北に張り出した尾根の肩というイメージがありますけども、なかなか内容のある充実したハイキングが楽しめました。

【日 程】97年3月22日(土)
【目 的】熊倉山
【天 候】曇り
【コース】0950 谷津川林道登山口→1310/1340 熊倉山→1520城山コース登山口
【山 名】熊倉山 1426.5m
【メンバー 】会社の先輩夫妻
【山 域】奥秩父
【参考書】ヤマケイ・アルペンガイド 奥多摩・奥秩父・大菩薩
     分県ガイド 埼玉県の山
     エアリアマップ 奥武蔵 秩父
1.登山口まで

千葉を出発した時は雨だった。西武秩父駅まで約3時間、快速急行もハイキング客はまばらで、ゴルファーも少ない。それでも時間がたつに従って雨が小降りになってくる。今日は午前中が雨の予報であったが、秩父に着く頃にはもう上がっていた。西武秩父で待ち合わせの先輩の車に乗り、登山口に直行する。

2.谷津川林道コース

谷津川林道コースはスタートから植林帯にはいると確実に高度を上げていく。それほど急登ではないが、植林の中にジグザグに切られた登りが絶え間なく続き、雨あがりの登りで蒸し暑くなる。あまりアクセントが無い道ではあるが順調に登って行くのも楽しいものだ。小尾根を乗り越すあたりで雲間から武甲山の姿が見えた。このあたりでは大きく目立つ山である。
その後も山腹の斜面の植林地の中を谷津川の谷に沿って奥へと進んでいく。しばらく単調な道が続くが、やがて道は地獄谷の源頭を横切る。ここには清水が流れている。ここからしばらく自然林の急登となるが、再び植林地に入り営林小屋跡を通る。小屋は夜露は凌げそうだ。さらに頂上近くの聖尾根に出るまでまで植林地をずっと登ることとなるが、だんだん出てきた雪は凍っておりペースは一気に落ちた。
標高1000mくらいからだろうか、北面にあたる登山道は最近まで降った雪が残って凍っておりアイゼンが欲しいくらいであった。最近の陽気からあまり考えていなかったので最初は楽しかったものの足がかりが得られず良く滑るのでかなり難渋することとなった。
聖尾根に出て一息つくが、ここからは雪の斜面の尾根のトラバースをしばらく注意して歩き三門の広場に出る。ちょっとした平地である。ここからは一登りで頂上に到着した。
頂上は西側が開けており、本来なら和名倉山などが良く見えるはずであるが、登ってくる間にガスが立ちこめてしまったため、途中かすかにあった展望もこの時点では無くなっており残念だった。酉谷山に向かう道を確認し、寒くなってきたので、30分程度の滞在で下山することとした。

3.城山コースを下山

下山は真ん中のコースである城山コースをとる。当初はかなりの急下降であり、結構雪も多く、木に捕まりながら何度も転びそうになりつつ慎重に降りる。随分下ったころ小さなこぶを乗り越すが、振り返ると背後に見える熊倉山が大きい。また右の方に鋸の歯の様に起伏を繰り返しているのは宗屋敷尾根の様だ。雪を纏った尾根は剱の八ツ峰の様であるが、地図に道はない。
コブを越えると雪も無くなり気温も上がってきたが、道は相変わらずの急な下りだ。天候も少し回復してきて展望も効くようになってきた。両神山や西上州の山並を正面に見ながらの下りである。
このコースは林道コースと違って上の方は自然林に恵まれ、まだ冬枯れの森は明るく気持ちが良い。だんだん青空も少しづつ広がってきて眼下に広がる秩父の街が陽射しで輝く様になった。時折遮ることなく広がる西から北の展望を楽しみながら、随分下ったころ植林帯に入っていく。但しまだ若木の部分もあり明るく展望は良い。最後に奥秩父から西上州の展望を楽しむ。
植林帯はジグザグに切った道なので歩きやすく快調に下る。車道が見えてきても、しばらく下り続けるが、やがて車道に出て、林道コース登山口まで戻った。

熊倉山は酉谷山からの尾根の肩のピークという位置にあるので、単独の山としての興味はあまり持っていませんでしたが、実際登ってみると変化に富んだ大きな山でした。特に城山コースは急坂ではありますが、自然の林が豊富でまた真っ直ぐ突き上げる為歩行時間も相対的に短くお勧めのコースです。一方林道コースは歩き易いのですが、檜の植林の中を歩く部分が多くなる為もしかしたら余り面白くないと感じられる方がいらっしゃるかもしれません。(私は歩けるだけでも楽しいですが)
あと、3月は北面に残った雪は凍りやすく、奥多摩にしろ奥武蔵〜奥秩父にしろ北斜面を主に歩く場合はアイゼンは用意した方がいいと思いました。