秩父御岳山

1080.5m

山域:奥秩父
2003.1.18


昨年はあまり山に登ってないという感じだったので、年が変わっていろいろと考えたあげく、一年の計を定めました。決めて見れば実行しないといけなくなるので、これはまたプレッシャーになるのですが、土曜日は昨夜の疲れでどうも起き上がれません。しばらく布団の中で逡巡したあげく、ここで挫折してしまうとあとで絶対後悔すると思い、気力を振り絞って起きあがりました。(笑)

朝、精神的格闘をしていたので、布団を抜け出したのは6時と少々遅かった。目指す山を秩父御岳山と決めて、インターネットで電車とバスを調べ出発する。幸い予定より1本早い電車に乗れたので、飯能から350円出して特急に乗り、さらに西武秩父から仲見世通りを駆け抜けて御花畑へ。三峰口では5分くらいの待ち合わせで、中津川行きのバスの出発となった。なんとなくうまく行ってラッキーである。しかし、落合のバス停に着いたのは、家を出てから4時間超なので、やはり遠いことは間違いない。そして、バスは最後の1人の客となった私を降ろして、はるかに遠い中津川に向けて走り去った。
停留所から少し進むと、普寛神社がある。普寛行者は、まさにこの落合の出身で、木曽の御岳の王滝ルートの開拓、八海山・上州武尊山の開山と活躍した方であるが、もちろんこの秩父御嶽山もそうした普寛行者のゆかりの山なのだ。
普寛神社の前を通って、少し舗装路を行くと登山口がある。王滝沢に沿った道で、最初のうちはいくつかある堰堤を越えていく歩きやすい道である。やがて、沢の中や岩の上を歩くようになると、雪も少し出てきて滑りやすくなる。沢が二股に分かれ、右手にきよめの滝を見て、左の沢に入る。このあたりから、桟道が多くなり、それに載った雪が堅く踏み固められて凍っているので、難渋するようになった。ちょうど下って来た人がアイゼンをつけていたので、私もここで着けることにした。
しかし、アイゼンが効いたのはほんの束の間で、岩を踏んでの沢筋歩きは、雪がなければ歩きづらいことこの上なく、結局すぐに取り外すことにした。しばらく植林の中を沢に沿って進むと、やがて左の斜面を登って行くようになる。もう尾根へ登るのかと思ったが、右手には絶壁を水が流れており、どうやら落差のある流れの細い滝になっているようだ。これを登りきると再び小沢となり、落ち口からは雲取山など奥多摩の稜線が遥かに高くながめられ、ここで少し休憩した。
上の方から重機の音が聞こえてきた。十年前のエアリアを持っていているので、車道があるなど思いも寄らなかったが、少し登って行くとまさに林道工事をやっており、沢の源頭部が広い範囲で人工的な壁に変わっていた。登山道はそれを回り込むようにつけられていたが、急ごしらえの道のご多分に漏れず、木をつかみながら登るような急登で、ますます失望する。工事区間を登りきってみると、林道は尾根をトンネルで抜けているようで、登山道が切通しで遮られていないことがせめてもの救いであった。
林道より上は広い植林の斜面のジグザグの登りである。道には程良く雪が積もって、凍っていなくて、歩きやすくなる。広い範囲の雪原と植林という、四方同じ風景の中を行くと、右上から鐘の音が聞こえて、そろそろ山頂が近いことを知らせてくれる。稜線の明かりを頼りに登りきると、雪の尾根に出た。ここから明るい尾根となり、山頂への細い急登を登りきると立派な祠の立つ秩父御岳山山頂であった。
山頂からは何と行っても両神山の展望が素晴らしい。特異な山頂部が恐竜の背のように盛り上がって見える。そしてよく目立っているのは、その北の二子山と御荷鉾、そして山焼きの跡がある赤久縄山だ。御荷鉾山と赤久縄山は一年の計に入っている。そのうち行くぞ!
山頂で山を眺めつつ、ウイスキーのポケット瓶を取り出してちびちびやっていると、隣にいた方が、つまみを一式分けてくれた。漬け物や畳鰯などとてもおいしかった。とても有り難かった。
下山は直接三峰口へと下るコースを行く。雪の稜線を少し下ると強石分岐で、両神・古池方面への稜線に入る。雪が多い所は歩きやすいが、雪が少ない所は踏み固められた氷だけが残っていて、滑りやすい。雑木林や植林の混じる明るい稜線を下って行くと、眼下に所々林道工事が見える。どうやら鉢巻状に作っているようだ。
ちょうど足元で新しいトンネルを掘っているらしきところで、直進の尾根のトレースが細くなり、ここに道標がある。直進の尾根は両神・古池、右に下るのが三峰口で、タツミチの分岐である。三峰口へと下って新しい尾根に乗り、植林の中を行く。小さなピークは左右にまいて行くが、北面を巻くときはやはり凍結が気になる。そして、あまり風景の変わらない植林地の道がしばらく続くのは、久しぶりの関東山地の里山の雰囲気で懐かしかった。
かなり長い時間歩いただろうか。眼下の荒川と秩父の町並み、そして武甲山の眺められるところに出た。思わず足を止めると、下の方で大きな動物の動いているのが見える。体格からいって熊かもしれないと思うが、去っていくのだから良しとする。反対側の谷でも獣が動く。こちらは猿のようだ。植林地の中で残されたこの自然林のエリアは動物たちにとって唯一残された食事の場所なのだろう。
さらに下っていくと、常緑樹の森を抜ける。そして送電鉄塔の先で、岩の突端の展望台にでた。ここでも荒川流域が一望できる。もう随分集落も近くなってきた。そして最後に墓地が多くなってくると登山口に降り立つ。ここから三峰口の駅までは急いで10分程であった。そしてちょうど10分後に直通の池袋行きがあり名残惜しくも、一気の帰宅となった。

本文中の写真

  • 登山口の普寛神社
  • 山頂の立派な祠
  • 荒川流域の広がる秩父の集落と武甲山



  • 記録

    日 程

    2003年01月18日(土)

    天 候

    曇りのち晴れ

    コース

    1047 落合バス停 → 1054 登山口 → 1205 トンネルの上 → 1236/1310 秩父御岳山山頂 → 1337 タツミチ → 1440 登山口 → 1450 三峰口駅

    山頂からの両神山


    参考図書・地図 その他のコース
    東京付近の山(実業之日本社)
    埼玉県の山(山と渓谷社)
    エアリアマップ 奥秩父1(昭文社)
    25000図 三峰
    50000図 三峰
    本文中のコースは、
    ・落合からの王滝沢コース
    ・三峰口駅からのコース
    ですが、他には
    ・強石から杉ノ峠を経るコース
    ・猪ノ鼻から三峰口駅からのコースへの合流
    ・古池から鞍掛山を経てタツミチ
    ・両神村の大谷橋からタツミチ
    のコースがあります。最後の2つは荒れている可能性があります。
    バス
    西武観光バス
    中津川・秩父湖方面のバスが利用できます。
    時刻はWeb Guide 秩父から、観光案内→電車・バス時刻表をご参照ください。

    温泉
    登山口の落合付近に、大滝温泉遊湯館があります。600円です。