気の置けない仲間たちから、山梨の白州で忘年会をというお誘いをいただき、おまけに尾白川散策と横尾山登山付きとのこと。ちょうど予定の無い週末だったので、こりゃぁちょうどいいなと、参加させてもらった。奥秩父の西の方の山は久しぶりだし、八ヶ岳や南アルプスの展望も楽しみだ。
前日は快晴の中での山見の旅であった。名古屋からの中央本線は木曽路へと入り、御嶽や中央アルプスの展望、そして塩尻が近づけば、乗鞍岳が見えてくる。塩尻に降り立つと、真っ白な白馬の稜線と、青空の下の中信高原。そして澄み切った空気の塩尻駅で迎えの車に乗せてもらい山梨へと南下する。人工スキー場の入笠山を見て走っていくと、南アルプスや八ヶ岳の領域だ。どんどん気持ちが日常から山の中へと入っていくのがわかる。最後に甲斐駒の黒戸尾根の麓、白州の名水公園に到着、ここで賑やかな一夜が過ぎ去った。
翌日の天気予報はもともと芳しくなかったが、朝方はなんとか晴れ間も見える程度にもってくれている。宿をゆっくりと出発して、車で信州峠に向かった。信州峠に行くのは実ははじめてで、尾崎喜八の山の絵本の中ので描かれており、のどかな情緒を期待して楽しみにしていた。昨年は良く通った増富鉱泉の道を分け、新しくできたダムの横を通って黒森の方へと登って行く。黒森周辺の穏やかな風景の背景には、瑞牆山と五丈岩の目立つ金峰山がならぶ。なんという素晴らしい光景。山の絵本には、黒森の情景を美しく描写している。
「東京を見たらこの黒森の良さがはっきり分かるでしょう」
まさしくのどかな場所にあって、奥秩父西部の絶好の展望地であった。そして、峠道を高度を上げると信州峠着。下草は笹に覆われた雑木林の中を、車道が乗り越して川上村へと通じている。車は10台ほどのスペースがあった。
横尾山登山口の道標に導かれ、山道に入っていく。しばらくは、笹に覆われた雰囲気のいい雑木林の中を、ゆったりと登って行く。やがて地面の笹はなくなり、一旦緩い傾斜を登り詰めると、すっかり葉が落ちて明るくなった若いカラマツ林に入り、正面に高く横尾山の一角が見えてきた。再び雑木林の中に入っていくと、だんだん傾斜は急になり、やがて岩もゴロゴロした急な登りとなる。ここは今日最大の登りで、やはり山登りはこういう登りがないとね、などと考えながら頑張って高度を上げていった。急坂を登り詰めると、だんだん雰囲気も明るくなり、傾斜も落ちてきて、ピークの一角へと入っていく。そして緩やかに登り着いたところが、横尾山の稜線の一番東の肩にあたる、カヤトの原であった。
カヤトの尾根はさらに一段高度を上げてしばらく続いたあと、道は再び樹林の中を辿るようになる。やせ尾根もあり、細かい岩の出たアップダウンが続く。左下には荒れたゴルフ場のようなものが見えるが、建設中かまたは建設中断したものだろうか。すでに12月に入った1800mの稜線は、少しだけ雪が残っていた。僅かではあるが、今年はじめての雪踏みである。細かい登り降りをこなしていくと三角点のある横尾山山頂に登り着いた。八ヶ岳側が刈り払われており、八ヶ岳とその手前に飯盛山を見ることができた。飯盛山への稜線はどんな道が続くのだろう。いつか歩く機会はあるだろうか。
横尾山の肩を見上げる
| 参考図書・地図 | その他のコース |
|---|---|
|
アルペンガイド旧 奥多摩・奥秩父・大菩薩 関東付近の山(実業之日本社) 25000図 瑞牆山 50000図 金峰山 |
飯盛山への縦走ができます 黒森から直接カヤトの原に出る道が、ガイドにありましたが、詳細は不明です |