横山岳

 1,132m
山域:湖北
2001.6.1.



今週は土日とも予定があったのですが、金曜日は天気も良いようですし、ちょうど予定も無かったので、休暇にして山にでかけて見ることにしました。ただし夕方に東京に帰る予定でしたので、あまり遠くないところで早朝登山です。

1.登山口まで

今回は朝一から登る計画として、前夜に四日市を出発した。いつも鈴鹿の山に向かう道を経て、国道365号で関ヶ原から木之本へ。道路はがらがらで2時間で到着。そのまま仮眠する。
明け方明るくなると、けっこう冷え込んでいる。昨日までは雨模様だったので、天気予報は晴れとはいえ、山のほうゆえ午前中はガスが残るだろうと考えていたが、意外と青空も出ていた。登山口にはトイレや広い駐車場、登山者名簿、横山岳のコースの紹介など、地元の杉野山岳会を中心によく整備されている。コースガイドによると墓谷山からも林道側に下山できるとのこと。気が向いたら考えてみようかなと思う。東峰への歩道もあると書いてあった。明け方で日の当たらない谷間でもあり、ちょっと薄暗いが、準備を整えて出発した。

2.白谷から横山岳へ

駐車場のすぐ先から未舗装の車道に入る。白谷に沿って登っていく道で、谷には堰堤がたくさん造られている。道沿いには植林も見られる。すでに春の花の季節は終わり、新緑の季節真っ盛りだ。しばらく進むと堰堤も終わり、山道へと入っていく。
白谷は細い流れとなって、時々石や流木伝いに、沢を渡り返しながら登っていく。土の露出した道で、滑りやすく細かいアップダウンも多いが、要所要所にはロープが張られ、良く整備されていた。沢は比較的明るく開け、岸にはセリの類の白い花をつけた草が一面に茂っている。沢自体は小さいが、なんとなく荒々しい自然を感じる雰囲気がある。谷筋にピンクの彩りを添えるのはタニウツギである。今の季節はこの花の旬のようだ。
高度を上げてくると、だんだん沢が狭まり、飛沫をあげて落ちる経の滝に出る。直線的に落ちる、なかなか立派な滝である。道は滝の手前で左に巻き道に入り、グンと登っていく。滝の上に出ると、タニウツギの群落が斜面をピンク色に染めていた。
再び広く明るい沢を登って行く。ただし、隣の尾根の陰になっているのでまだ陽は差してこない。谷が狭くなってくると、小さな二股になり、真ん中を少し登る。そして左の荒れた感じの沢沿いに少し行くと、五銚子の滝が現れる。この滝はいくつかの流れに分かれており、そこから五銚子の名前がきたのだろう。なかなかおもしろい滝である。
道は左の急な巻き道を登る。かなり滑りやすく、途中の土混じりの岩壁にはロープがたくさんかかっている。昨日までの雨で地面は音をたてるほどにぬかるんでおり、とてもロープ無しでは登れなかった。滝の上に出ると、すぐに樹林の中の登りになる。今までの沢沿いの変化に富んだ道とは違い、普通に登っていける急坂である。しばらくは歩きやすいなと思っていたが、だんだん急になり、湿った土に足をとられて疲れも増してくる。このあたりはヤマシャクヤクが咲くと聞いていたので期待していたが、ついぞお目にかかれなかった。
今はまさに新緑の林である。ブナを主体にした林は青々として美しい。足元にはたぶんイワウチワだろう。すでに花は全く無い。急で滑りやすい登りを少しづつ高度を上げる。右手の尾根が高いので、まだまだ先は長いのを感じ、時々歩を休めて立ち止まる。それでもやっと傾斜が緩む気配がみえて、ついに稜線に出た。
すぐに横山岳山頂だが、手前に東峰への道標と切り開きがある。切り開きはまだ新しく、低木や笹の切り株が多くて歩きづらそうである。湿っぽくもあり、割愛したが、なんとなく東峰が高く見えていたのが気にかかった。
山頂は広場になっており、一角のスチール物置の屋根にハシゴで登って展望を楽しむことができる。山頂の上は青空が出ているが、奥美濃の方はガスがかかり気味で遠望は効かなかった。先の方に見えていたのは、三国岳や三周ヶ岳であろうか。反対側は琵琶湖が霞みながらも見えている。竹生島が浮かんでいるのが見える。少しづつ陽が当たり始めてはいたが、時折風の吹き渡る寒々とした山頂で朝食にした。

3.三高尾根を下山

帰路は三高尾根を下る。すぐに新緑の林の中に入る。急な下降が連続し、湿って滑りやすい中ロープを掴みながら下る。あまりにもロープを掴む頻度が多く、手のひらが痛くなってくる。途中で2ヶ所ほど開けた場所があり、墓谷山に向かう尾根や、金糞岳方面、そして横山岳を振り返ることできた。
花を楽しむ季節は終わり、森を楽しむ季節となっている。この尾根は終始自然林に覆われ、瑞々しい新緑が素晴らしい。下るにつれて墓谷山が高くなってくる。鞍部の鳥越のコルに下り手前が特に急で、ついに泥の上に尻餅をついてしまった。
鞍部から少し登ったところがコエチ谷への分岐である。先を多少急ぐこともあって、墓谷山はパスして下っていく。谷への下りであるが、道は急な小尾根のをどんどん下っていく。ここでもかなりロープのお世話になる。ずいぶん下った所で右下に堰堤が見えるとすぐに林道に降り立つ。ここからコエチ谷に沿った道となり、行きと同じような未舗装の道を下っていくと、やがて舗装路の網谷林道に出て、炭焼窯を見つつ少し戻れば白谷出合の駐車場に着いた。路傍にはアザミの花が色濃く咲き始めている。もうそろそろ夏である。
杉野の集落に出て、横山岳を見ると、意外と穏やかな山に見えた。三高尾根の先には墓谷山が見え、なるほど、杉野富士の別称に納得した。

ちょっとあわただしめの山行になりましたが、新緑の横山岳を楽しみました。ヤマシャクヤクが見られなかったのが少し残念でした。それから、天気予報が晴れでも、雨の日の翌日は早朝の山はガスもあり、露も多く道も湿って今ひとつです。本当はそういう日は遅めに登り始めるのがいいようです。必ず午後になると山も晴れてきますので。
すっかり緑の濃い夏の山になってきました。この時期は毎週山の雰囲気が移り変わって行きますね。
鳥越のコルから墓谷山へは道があるようです。墓谷山の山頂からは、左折して網谷林道に下るコースと、直進して杉野に下るコースと2つあるようです。

タニウツギウツギミヤマハコベシライトソウ

本文中の写真

  • 五銚子の滝
  • 山頂のブナの木漏れ日
  • 三高尾根から山頂を振り返る



  • 記録

    日 程

    2001年6月1日(金)

    天 候

    晴れ時々曇り

    コース

    0500 白谷出合 → 0545/55 経の滝 → 0610/20 五銚子の滝 → 0725/0750 横山岳 → 0905/10 鳥越のコル → 0925 林道 → 0945 白谷出合

    麓の杉野から横山岳を望む


    参考図書・地図 その他のコース
    昭文社 関西の山歩き100選
    25000図 美濃川上
    50000図 横山
    本コース以外には、
     杉野より、墓谷山を経て横山岳
     網谷林道より直接墓谷山に登り横山岳
    のコースがあります。また、東峰往復は40分程度とのことです。
    バス
    湖国バス
    木之本駅より金居原行きで約30分。杉野農協前下車