至仏山

2,228m
山域:尾瀬周辺
1997.06.14



至仏山は尾瀬ヶ原を代表する風景のひとこまであり、ミズバショウの湿原とともに眺められる美しい山である。その穏やかな稜線は、尾瀬ヶ原から眺める限りのんびりした稜線漫歩を想像させる。眺めるにつけ登ってみたい山になっていたが、ミズバショウの観光シーズンのさなかに鳩待峠から登る機会を得て出かけてみた。

たくさんの観光客で賑わう鳩待峠で10時に同行者と合流する。朝方曇っていた空も時間がたつにつれ晴れ渡たってきて今日一日に大きな期待を抱かせた。至仏山へは鳩待峠からよく踏まれた樹林の中の道をのんびりと高度をあげていく。ブナやダケカンバの新緑の美しい樹林をぬけ、明るい斜面を歩くようになると、一気に展望が開けてくる。振り返ると三角形の燧岳、アヤメ平に向かう柔らかな稜線、そして一際目立つ上州武尊山と笠ヶ岳。特に笠ヶ岳はその特徴的な形がよく目をひいた。さらに進むと広々とした場所に大きな岩のある場所にでた。ここは尾瀬ヶ原や燧岳の展望がよく、岩の上でゆっくり眺める。このあたりから道に残雪が目立つようになってきた。やがて小沢に沿って登るようになるが、源頭部は雪解け水がこんこんと流れ出しておりさわると凍るように冷たい。ただ、このあたりは雪のうえを踏み後が乱れており、残雪期に特に下る時には十分注意する必要がある。源頭を過ぎるとすぐにオヤマ沢田代に出て清々しい気分になる。広くはないが、努力のあとの稜線の湿原はうれしい。やがて笠ヶ岳への分岐を過ぎ、シャクナゲの薄桃色の花の咲く稜線を辿る。道はハイマツの岩稜となり、また残雪のトラバースもある。尾瀬ヶ原から見上げる、どっしりとした優しい感じの山は、実は岩混じりの稜線であった。久しぶりの高山の雰囲気を楽しんで小至仏山に到着し休憩した。
ここまで来ると目を引くのはまだまだ雪をかぶっている越後の山々である。八海山などの山々が雄大な屏風のように北に広がっている。しばらく周辺の山々の展望を楽しんだあと至仏山を往復した。ハイマツとシャクナゲの稜線は素晴らしく、北側は切り立って尾瀬ヶ原から見た至仏山とは全く別の山を思わせる。また、足下に比較的新しい楢俣ダムが水をたたえている。至仏山の山頂も期待通りの展望が得られた。今までは陰になってよく見えなかった平ヶ岳が近くに見える。燧岳の向こうに覗いているのは会津駒ヶ岳だ。素晴らしい展望の山であった。帰路はもときた道を戻る。ただ、オヤマ沢田代からの下降点は残雪期には迷いやすくやはり注意が必要である。鳩待峠に下っていく途中で雨が少しづつ落ちてきて、峠ではかなりの激しい雨になった。そして雷を伴い土砂降りになり、ついに雹になって激しく打ちつけてきた。やはり尾瀬は深い山であることを思い起こさせる天候に急変であった。それも旅館に着くころにはあがり、露天風呂から見上げた時は、夕日が薄紅に空を染め、穏やかに一日を回想したのだった。


記録

日 程

97年6月14日(土)

天 候

晴れ

コース

0950 鳩待峠→1230/1305 小至仏山→1335/1345 至仏山→1415/1435小至仏山 → 1550鳩待峠

登山道から眺める至仏山