至仏山

 至仏山 2228.0m 小至仏山 2162m
 山域:尾瀬

記録
 山行日1997年06月14日(土)
 ルート鳩待峠→至仏山(往復)
 コースタイム0950 鳩待峠→1230/1305 小至仏山→1335/1345 至仏山→1415/1435小至仏山 → 1550鳩待峠
 天候晴れ

至仏山は尾瀬ヶ原を代表する風景のひとこまであり、ミズバショウの湿原とともに眺められる美しい山である。その穏やかな稜線は、尾瀬ヶ原から眺める限りのんびりした稜線漫歩を想像させる。眺めるにつけ登ってみたい山になっていたが、ミズバショウの観光シーズンのさなかに鳩待峠から登る機会を得て出かけてみた。

たくさんの観光客で賑わう鳩待峠で10時に同行者と合流する。朝方曇っていた空も時間がたつにつれ晴れ渡たってきて今日一日に大きな期待を抱かせた。至仏山へは鳩待峠からよく踏まれた樹林の中の道をのんびりと高度をあげていく。ブナやダケカンバの新緑の美しい樹林をぬけ、明るい斜面を歩くようになると、一気に展望が開けてくる。振り返ると三角形の燧岳、アヤメ平に向かう柔らかな稜線、そして一際目立つ上州武尊山と笠ヶ岳。特に笠ヶ岳はその特徴的な形がよく目をひいた。さらに進むと広々とした場所に大きな岩のある場所にでた。ここは尾瀬ヶ原や燧岳の展望がよく、岩の上でゆっくり眺める。このあたりから道に残雪が目立つようになってきた。やがて小沢に沿って登るようになるが、源頭部は雪解け水がこんこんと流れ出しておりさわると凍るように冷たい。ただ、このあたりは雪のうえを踏み後が乱れており、残雪期に特に下る時には十分注意する必要がある。源頭を過ぎるとすぐにオヤマ沢田代に出て清々しい気分になる。広くはないが、努力のあとの稜線の湿原はうれしい。やがて笠ヶ岳への分岐を過ぎ、シャクナゲの薄桃色の花の咲く稜線を辿る。道はハイマツの岩稜となり、また残雪のトラバースもある。尾瀬ヶ原から見上げる、どっしりとした優しい感じの山は、実は岩混じりの稜線であった。久しぶりの高山の雰囲気を楽しんで小至仏山に到着し休憩した。
ここまで来ると目を引くのはまだまだ雪をかぶっている越後の山々である。八海山などの山々が雄大な屏風のように北に広がっている。しばらく周辺の山々の展望を楽しんだあと至仏山を往復した。ハイマツとシャクナゲの稜線は素晴らしく、北側は切り立って尾瀬ヶ原から見た至仏山とは全く別の山を思わせる。また、足下に比較的新しい楢俣ダムが水をたたえている。至仏山の山頂も期待通りの展望が得られた。今までは陰になってよく見えなかった平ヶ岳が近くに見える。燧岳の向こうに覗いているのは会津駒ヶ岳だ。素晴らしい展望の山であった。帰路はもときた道を戻る。ただ、オヤマ沢田代からの下降点は残雪期には迷いやすくやはり注意が必要である。鳩待峠に下っていく途中で雨が少しづつ落ちてきて、峠ではかなりの激しい雨になった。そして雷を伴い土砂降りになり、ついに雹になって激しく打ちつけてきた。やはり尾瀬は深い山であることを思い起こさせる天候に急変であった。それも旅館に着くころにはあがり、露天風呂から見上げた時は、夕日が薄紅に空を染め、穏やかに一日を回想したのだった。

近年植生保護の為、5月のGW明けより6月末まで至仏山(鳩待峠〜至仏山〜山ノ鼻)は全面入山禁止となりますのでご注意下さい。

参考図書・地図
ヤマケイ・アルペンガイド 尾瀬(1994年5月第3刷)
25000図 至仏山
50000図 藤原

登山道から眺める至仏山
その他のコース
・山ノ鼻〜至仏山
交通機関
沼田駅〜戸倉(乗換)〜鳩待峠
詳細時刻については、以下のホームページを参照願います。
 関越交通


Nifty FYAMA 投稿文

至仏山(尾瀬 の1日目)

従兄夫婦は毎年この時期片品温泉に宿をとって尾瀬を楽しんでいますが、今年は私も それに2年ぶりに一口乗らせてもらって、楽しんできました。従兄といっても50代 ですが、かつてゲレンデスキーのあまり無い頃、北海道の山でスキーを楽しんでいた 実力はまだまだ健在です。尾瀬の方は今年は雪も少なく季節の進むのが2週間くらい 早いみたいでした。

【日 程】97年6月14日(土)
【目 的】至仏山
【天 候】晴れ(夕立あり)
【コース】0600津奈木 → 0700 鳩待峠
     0950 鳩待峠→1230/1305 小至仏山→1335/1345 至仏山→
     1415/1435小至仏山 → 1550鳩待峠 → 1640 津奈木
【山 名】至仏山 2228m 小至仏山 2162m
【メンバー 】従兄夫婦
【山 域】尾瀬
【参考書】ヤマケイ・アルペンガイド 尾瀬

1.鳩待峠まで

前夜千葉を出発し、赤城高原SAで仮眠をとったあと、少し白み始めた空を見て眠い目をこすりつつ出発した。鳩待峠で10時に待ち合わせしているので、まだ早いかなとも思ったが、とりあえず先に進むことにしたのだ。途中追貝を通ると昨年来た皇海山が思い出されて懐かしい。そうこうするうちに、5時すぎに戸倉に到着。これは早すぎるので、さらに交通規制の手前の津奈木まで車であがる。少し、水上よりに道路脇にスペースがあったので駐車して、鳩待峠への車道を歩き始めた。本当はこのあたりに駐車をするのは良くない(停める場所も原則無い)。みんながここに停め始めると収拾がつかなくなるからだ。他の山域であれば、路肩に駐車をするのはあまり気にしないのだが、ここは規制をやるくらいだから特殊な場所だと思う。ということで、今回は勘弁してもらって、皆さんまねをしないように。(^^;;
ジブンカッテナヤツ....m(_._)m
さて、舗装路を鳩待峠に向けて歩くことジャスト1時間。たくさんのバスタクシーに追い越されて、人々で賑わう鳩待峠に着いた。
待ち合わせの10時まで、ベンチで仮眠したり、朝食をとったりしながら過ごす。たくさんの人々がバスやタクシーで上がってきて列をつくって尾瀬ヶ原に降りていく。朝方曇っていた空も9時には青空が晴れ渡ることとなった。

2.至仏山

鳩待峠からよく踏まれた樹林の中の道をのんびりと高度をあげていく。ブナやダケカンバの新緑の樹林は美しくて気持ちがいい。樹林からでて斜面を歩くようになると、一気に展望が開けてくる。振り返ると三角形の燧岳、鳩待峠から菖蒲平に向かう柔らかな稜線、そして一際目立つ上州武尊岳と笠ヶ岳。特に笠ヶ岳はその特徴的な形からその場で「おむすび山」と名付けられたが、実は我々は悪沢の頭だとばかり勘違いしていたのである。
それはともかくとして、さらに進むと広々とした場所に岩が転がっている場所にでた。ここは、尾瀬ヶ原や燧岳の展望がよく、ゆっくり眺める。このあたりから道に雪が目立つようになってきたが、特に支障はない。残雪の道を進んでいくと道の上を覆った雪に下をかなり水が流れるようになり、(ミニスノーブリッジ状態)崩れないかとこわごわ進むが大丈夫だった。源頭部は雪解け水がこんこんと流れ出しており、さわるととても冷たい。ただ、このあたりは踏み後が乱れており、間違うと引き返すはめになるので注意をして欲しい。雪の下に、木の階段が見えかくれしていて、水の流れているのが正解である。でも完全に雪に覆われているとわからないので、テープなどを便りに慎重に歩く必要がある。
源頭を過ぎるとすぐにオヤマ沢田代に出て清々しい気分になる。それほど広くはないが、努力のあとの稜線の湿原はうれしいものである。
やがて、笠ヶ岳の分岐を過ぎ、シャクナゲの薄桃色の花の咲く稜線を辿る。道はハイマツの岩稜となり、また残雪のトラバースもある。尾瀬ヶ原から見上げる、どっしりとした優しい感じの山は、実は岩混じりの稜線であった。久しぶりの高山の雰囲気を楽しんで小至仏山に到着し休憩した。
ここまで来ると目を引くのはまだまだ雪をかぶっている越後の山々である。八海山などの山々が雄大な屏風のように北に広がっている。しばらく周辺の山々の展望を楽しんだあと、小至仏山に荷物を置いて至仏山を往復した。ハイマツの中に桃色の花を咲かせているシャクナゲが素晴らしい。北側は切り立って、尾瀬ヶ原から見た至仏山とは全く別の山の様な雰囲気であり、足下に比較的新しい楢俣ダムが水をたたえている。山頂への道は相変わらずの岩稜歩きだが、岩が靴底でつるつるに磨かれており滑りやすいのが難点である。
至仏山の山頂も期待通りの展望が得られた。今までは陰になってよく見えなかった平ヶ岳が近くに見える。燧岳の向こうに覗いているのは会津駒ヶ岳だ。素晴らしい展望の山であった。
帰路はもときた道を戻るが、オヤマ沢田代からは、本来の道の横の小さな雪渓にはっきりした踏み後があったので、そっちを一気にすべりおりてみた。さらに下に続く雪渓の踏み跡がちょっと心細いなと思うあたりで、踏み跡は右上に上がっており、本来の道に出られた。ここから雪渓はどんどん道と離れていくので調子にのって下っていくと結構苦労してしまうだろうと思う。登りと同様下りの時もこの道の上部は残雪期には以外と簡単に見えて迷ってしまう可能性があるので、充分注意をして通行したいところである。
鳩待峠に下っていく途中で雨が少しづつ落ちてきて、鳩待峠では結構降り始めた。鳩待峠は第二土曜日ということで空前の人出で、長い行列を作ってバスを待っている。従兄夫婦はバスで帰るので旅館でおちあうことにして一人で津奈木に下った。雨は雷を伴い、土砂降りになりついに雹になって激しく打ちつけてきた。小やみになったころ、少し回りを見る余裕ができたので、あたりを見てみるとフキや大きな葉が穴だらけになっているのに気づいた。
急変した天候も、旅館に着いて露天風呂から見上げた時は、夕日が薄紅に空を染め、穏やかに一日を回想したのだった。



津奈木に停めてあった車には、尾瀬林業の張り紙がしてありました。「道路や森林の保全をしながらパトロールしているがここにどういう目的で来たか知りたいので帰りに寄ってくれ」というものでした。どの車にも挟んであったので、必ず巡回しているのでしょう。尾瀬林業の事務所にはおじさんがいて、紙を出すといきなり「釣りですか?」と言われたので「山ですけど」といったら、「そうですか、どうも、結構です」ということでした。とりあえず、張り紙をすることで、注意を喚起しようとしているのではないかと思います。戸倉より上には駐車を慎んだ方がよさそうです。
津奈木から車で降りている途中、歩いていた男女を拾って戸倉まで送りました。バスを待ちきれない人たちも雨の中結構歩いて戸倉に向かっていました。車に乗ってからもう一回激しい雨と雹になりました。従兄夫婦は鳩待峠で2時間も雹の中バスを待っていたとのことです。「いっしょに歩いて降りれば良かった。」と言ってました。