雨乞岳

 雨乞岳 2037.1m ホクギノ平 1601m
 山域:南アルプス

記録
 山行日2022年6月25日(土)
 ルート石尊神社駐車場→水晶ナギ分岐→雨乞岳→水晶ナギ→石尊神社駐車場
 コースタイム0659 石尊神社駐車場 → 0703 登山口 → (途中休憩18分) → 0930 ホクギノ平 → 1016/30 水晶ナギ分岐 → 1114/1200 雨乞岳 → 1228 水晶ナギ分岐 → 1240 水晶ナギ → 1255/1312 水晶ナギ分岐 → 1353/1401 ホクギノ平 → (途中休憩12分) → 1538 登山口 → 1540 駐車場
 天候晴れ時々曇り

雨乞岳は、古いガイドブックに載っていたので、名前は知っていましたが、行程が長くかつマイナーな山という印象で、あまり登る意欲をそそられませんでした。今回のきっかけは、頂上直下まで緩やかないい道が続いているという情報からで、登りが4時間のロングコースであっても、ストレスなくじっくり長い登りを体験できそうなことで、これがブランクの解消と、次の山へのトレーニングにもなりそうだと思ったからなのです。

長いコースなので、早朝に出発。小淵沢インターから白州に入り、石尊神社の駐車場に車を停める。神社の鳥居から左に進むとすぐに登山口が現れる。入口のステップを数段上がって登山道に入り、自然林の中の道となるが、どうやら直近で雨があった感じで、道は湿っていた。この登山道はホクギノ平までの2時間は、目標物が無いので、まずは1時間と区切ってじっくりベースを作って歩いていく。暗い檜の植林地を抜けると、道は平坦になって奥の尾根へと森の中を分け入っていく。良く踏まれた道で、落ち葉でフカフカのU字状の道だ。時折白砂を敷いた舗装路のような雰囲気にもなった。この辺りは花崗岩の山だということを改めて気づかされ、懐かしく感じた。樹林の中の道は緩やかに緩急を繰り返しながら九十九折りに登っていく。基本風景は全く変わらない。そうこうしているうちに歩き始めて1時間が経過し、適当な道端で休憩した。
次の1時間も風景の変わらない登りが延々と続く。2時間でホクギノ平と思っていたが、まだ現れない。後で最新の地図のコースタイムを見ると2時間10分。つまり、コースタイムでしか歩けていないということなのだ。後半は少しづつ傾斜が増していき、2度目の休憩のあと、わずかで左上に作業小屋が見えてくると、そこがホクギノ平であった。殺風景なカラマツの植林の中で、道から外れて小屋の方に向かうと、少し高いところに三角点があった。一つゲットである。
ホクギノ平を過ぎると、道も明るい雰囲気に変わり、アップダウンが出てくる。水晶ナギ分岐まではピークを巻きながらの150mの登りだ。明るくて少々間隔の開いているカラマツの中から、多少遠望が効くようになる。林床は笹で埋め尽くされている。こういった明るい道になると気分ものってくる。黒沢ノ頭への登りに入ったところで少し急登が出てくるが、長くは続かず、やがて黒沢ノ頭の水平なトラバースへと入っていった。
水晶ナギ分岐までは、時折樹間に遠望のある明るい道で、ストイックな今日のコースの中では一番の雰囲気の良い場所かもしれない。対面の日向山や前方の水晶ナギなどが、ちらほらと見えてくると、もう分岐も近いことがわかる。そして笹の中の三叉路である水晶ナギ分岐に到着。これからの急登に向けて休憩した。
分岐からは、黒沢ノ頭を回り込んで、雨乞岳への登りに入る。すぐに道は直線的な急登となってしまい、ロープも所々に張られている。300mに満たない登りだが、連続的な急登はやはりきついのだ。足元は笹に混じってフキが多く生えている。少し森が明るくなると、幾分傾斜が緩んだ感じかする。ひたすら急登を登り、切り開きまでくると山頂が見えてきた。あと少し。ここで今日初めて登山者とすれ違った。そして最後は休み休みになりながらも、なんとか山頂に到着した。
山頂は、刈り払いや倒木などで、少々殺風景な印象であった。しかし展望は素晴らしく、甲斐駒や鳳凰三山、そして日向山から大岩山への稜線が良く見えている。そして、3000m近い山々は、ここから見ると別世界のように感じる。展望のひだまりの中の誰もいない山頂で、ゆっくりと休憩した。
さて下山である。急坂をゆっくりと自制しながら下っていくが、やはり足が痛くなってしまった。靴の中で足が爪先の方にずれていったようで、すぐに豆ができてしまったのだ。急坂を下りきったところで、3人の家族連れとすれ違う。今日二組目の登山者である。ここまで来て、水晶ナギにはいかない訳にはいけないだろう。きっとこの山の名物で、場合によっては山頂より重要地点かもしれない。分岐までのいい道も、水晶ナギあってのものではないかと思う。分岐から右に進み、小さな上り下りで、右側にナギのある場所にでる。風がとても強い。きっとこの風がナギを生む要因なのだろう。このナギ越しに、先ほどまでいた雨乞岳の山頂がよく見えていた。さらに進んで水晶ナギの上に出て、ナギに沿って歩けるところまで下ってみる。ガンガワラに行った時以来の風景である。前方の日向山が良く見えているが、ここも風が強い。風景を楽しんだ後、痛む足を引きずりながら水晶ナギ分岐まで戻り、足の手当て。といっても絆創膏だけで、笹の上に座ってしばらく休んでいた。ここは大変落ち着く場所である。平坦な地形で、そよ風が吹く穏やかな場所。ここでビバークしたいぐらいだと思った。
さて、戻ろう。まずはホクギノ平まで。黒沢ノ頭の巻道は明るい道で楽しく進む。そのあと若干の急下降があり、あとはアップダウンで笹の間の道が続く。そしてホクギノ平で少し休憩。ここからはひたすら樹林の中を下るのみである。登りに感じたよりも急な傾斜だった。落ち葉の積もった道の下りであるが、単調なうえに足の裏が悲鳴を上げていた。目標地点がないので、とりあえず1時間。同じ風景が続く。白砂の舗装路みたいなところを過ぎて1時間経過。歩行に耐えかねて休憩。静かな樹林の中の道の脇で座り込む。遠くに遠雷が聞こえる。そういえばいつの間にか曇っていた。再び歩き出し、平坦な道を回り込んで暗い檜の森に入る。このあたりでパラパラと雨が落ちてきた。もう夏の山のような天気なのだ。さらに下ってやっと登山口到着。本降りにはならず、雨は上がっていた。

標高の低い前衛の山ではありますが、なかなかのロングコースで、さすがに南アルプスの一角だという感じの、歩きがいのある道でした。体力的には少々ステップアップしたような気がします。夏のアルプスに一歩前進という感じです。帰りは、随分久しぶりに「むかわの湯」へ。しかし、日帰り温泉は1000円近くするのですね。相場も上がったかな?と感じました。

本文中の写真

  • 長い長い樹林帯の登山道
  • ホクギノ平の様子
  • 黒沢ノ頭の巻道から見る遠景
  • 雨乞岳山頂からの甲斐駒ヶ岳
  • 水晶ナギと日向山

  • 参考図書・地図
    アルペンガイド別冊 東京周辺の山(1994年3月改訂7版)
    エアリアマップ 北岳・甲斐駒(2022年版)

    ナギから見上げる雨乞岳
    その他のコース
    ヴィレッヂ白州からの新しいコースがあります
    交通機関
    韮崎駅から下教来石下行き松原上下車
    バス停から登山口まで25分 山梨交通