日向山

 日向山 1659.6m
 山域:南アルプス

記録
 山行日1996年1月14日(日)
 ルート登山口(矢立石)→日向山→錦滝→登山口
 コースタイム1040登山口(矢立石)→1215日向山山頂→1220/1305雁ケ原→1410/1420錦滝(尾白川林道)→1500登山口(矢立石)
 天候快晴

日向山は甲斐駒から派生する尾根上にあり、黒戸尾根と尾白川を挟んで対峙する。頂上付近の崩落地である雁ヶ原の風景はその異景もさることながら、周辺の山々の絶好の展望地である。
1月半ばの晴れた日に雪のついた山々の展望を求めて日向山に出かけた。

矢立石からの登りはつづら折れの冬枯れの道で、所々雪で覆われているがよく踏まれており、スパッツのいらない白い道だった。冬枯れの樹間越しに青空のもと甲斐駒が見える。樹木とその下を覆う笹、登山口より頂上までまったく同じ雰囲気の適度な傾斜と自然の林の中の散歩道である。雪の上には動物の足跡も多い。日向山山頂は、何の変哲もない樹林の中に雪の中から三等三角点が顔を出しているだけだった。すぐに今日の楽しみである雁ケ原(ガンガワラ)に向かう。

雁ケ原は樹林の中から空の中に飛び出すという形で出現し、そこには絶句するほど広大な展望が広がった。正面には全く遮るもののない八ケ岳連峰が一望のもとに見渡せ、振り返れば、甲斐駒の勇姿が大きく聳えている。奥秩父の山々も含め見渡す限りの展望である。
雁ケ原自体は花崗岩の崩壊地で、明るい白砂と奇岩の風景である。絶景の中、大満足でゆっくり休憩。いつまでも見飽きない。
下山は、蟻地獄を横切って行くような崩壊地の上部を横断し、林道側に砂の急斜面をザクザクと降りていく。道はやがて樹林帯にはいるが、かなりの急斜面にそこそこ薄く雪がついており、尻餅をつき、木に抱きつきながら下って行く。錦滝で林道に降りる。
錦滝は氷結しており、素晴らしく美しい。氷の裏を水が落ちているのが透けて見える。登山口までは林道を歩くが、突然キキッーと声がじて20匹くらいの猿が、斜面を駆け上がっていく。人に慣れていないのか、蜘蛛の子を散らすように山の中に走っていった。下から覗くと、猿も上から覗いている。その後、素晴らしい風景と、猿たちとの出会いに満足しながら、静かな林道を登山口へと戻った。


参考図書・地図
アルペンガイド別冊 東京周辺の山(1994年3月改訂7刷)
AGビッグフット2時間登頂の山
エアリアマップ 甲斐駒・北岳(1995年版)
25000図 長坂上条
50000図 韮崎

雁ヶ原の風景
その他のコース
日向山への一般ルートは本文のコースのみです。
交通機関
季節運行ですが、「清流と甲斐駒ヶ岳周遊バス」が運行されています。韮崎駅(または小淵沢駅)発「尾白川渓谷」下車となります。
詳細時刻・運行情報は、北杜市ホームページをご参照ください。 くらしの情報>公共交通です。


Nifty FYAMA 投稿文

日向山 雁ケ原の大展望

どこに登るかってたくさん候補をあげたなかで、雪も見たい・雄大な名山の展望も楽しみたい、ということで日向山に出かけました。期待に違わずすばらしい山行が楽しめました。
2ケ月ぶりの山行報告です。

【日 程】 96年1月14日(日)
【目 的】 日向山
【天 候】 晴れ (^_^)
【コース】 1040登山口(矢立石)→1215日向山山頂→1220/1305雁ケ原→
      1410/1420錦滝(尾白川林道)→1500登山口(矢立石)
【山 名】 日向山 1659.8m
【メンバー 】 妻と2人
【山 域】 南アルプス前衛
【参考書】 昭文社 エアリアマップ 甲斐駒・北岳
      ヤマケイ 2時間登頂の山
      ヤマケイ アルペンガイド別冊 東京周辺の山
1.登山口まで(千葉〜尾白川林道登山口)

ちょっと出遅れ気味の7時に出発。大きな渋滞は無く、3時間半で登山口に到着。林道の登りは所々雪に覆われているが、暮れに新調した寒冷地仕様4WDで順調に通過。以前の車だったらこうはいかなかっただろう。購入以来、今日が初めての雪の林道運転。合格(^_^)。
道中は、晴れで富士山が美しい。甲府から見るともやがかかっていたが、長坂あたりまで来ると晴れ渡って、八ケ岳もはっきり見える。

2.登り

登りはつづら折れの冬枯れの道で、気持ちがよい。所々雪で覆われ、登ると少しづつ雪が多くはなって行くが、最近降っていないのか、よく踏まれており、スパッツさえいらない、白い道である。冬枯れの樹間越しに青空のもと甲斐駒が見える。
樹木とその下を覆う笹。登山口より、頂上までまったく雰囲気は変わらない。適度な傾斜と自然の林の散歩道である。雪の上には動物の足跡も多い。
今日は妻はそれほど調子が出ないようで、のんびりペースの登りである。途中、麓でサイレンが鳴り響く。まさか山火事では?と少々不安になるが、やがて静かになった。
日向山山頂は、登ってきた登山道の延長で、何の変哲もない樹林の中に三等三角点があるだけだった。今日の楽しみである雁ケ原(ガンガワラ)に向かう。

3.雁ケ原

雁ケ原に飛び出すと、絶句するほど広大な展望が広がった。正面には、全く遮るもののない八ケ岳連峰が、赤岳周辺から蓼科山・霧ケ峰の方まで、一望のもとに大きく見渡せる。振り返れば、甲斐駒の勇姿が大きく聳えている。奥秩父の山や北アルプス方面も含め見渡す限りの展望である。
雁ケ原自体は、花崗岩の崩壊地で、明るい奇岩奇勝である。この雰囲気もなかなかのもの。花崗岩の崩壊地らしい、奇岩が林立する。
すばらしい風景の中で大満足でゆっくり休憩。いつまでも見飽きない。

4.下山

頂上を辞し、ありじごくを横切って行くような崩壊地の上部を横断し、林道側に砂の急斜面をザクザクと降りていく。正面から本格冬山装備の2人が歩いて来る。大岩山の方から歩いて来たんだろうか。
道はやがて樹林帯にはいるが、かなりの急斜面で、おまけにそこそこ薄く雪があり、けっこう難渋する。4〜5回尻餅をつきながら、木に抱きついたりして何とか下山。アイゼンは持っていたが面倒なので付けず。付ければ良かった。錦滝のところで林道に降りる。

5.錦滝〜登山口

錦滝は全面氷結しており、素晴らしく美しい。氷の裏を水が落ちているのが透けて見える。立派な氷瀑である。なんとなく西沢渓谷に行ってみたくなる。登山口までは林道を歩くが、突然キキッーと声がじて20匹くらいの猿が、斜面を駆け上がっていく。人に慣れていないのか、蜘蛛の子を散らすように山の中に走っていった。しかし猿は敏捷だ、林道のコンクリート吹き付けの壁も一気に登っていってしまう。その後も数匹、道路付近にいる猿が我々の姿を見つけると崖を掛け登って行く。下から覗くと、猿も上から見ている。猿蟹合戦を思い出す。渋柿を落とすんじゃないぞ!
帰路は長坂の深澤温泉に寄る。素朴ないい湯であった。



晴れた一日、大展望と凍った滝と猿、申し分のない一日でした。登山口から1時間半、雁ケ原の風景と大展望は大変なものでした。今度、雪が無くなったら、甲斐駒の頂上にも立ちたいと思いました。