釜無山 入笠山

 釜無山 2,116.7m 入笠山 1955.4m
 山域:南アルプス前衛

記録
 山行日2014年8月15日(金)
 ルート大阿原湿原→釜無山(往復)→入笠山(往復)
 コースタイム1140 大阿原湿原 → 1214 釜無山登山口 → 1251/1314 釜無山 → 1346 釜無山登山口 → 1418大阿原湿原 → 1430 入笠山登山口 → 1446/1501 入笠山 → 1512 入笠山登山口 → 1523大阿原湿原
 天候曇り

夏休みです。あまり曜日の並びが良くないので、まとまった休みが取れなかったという心残りがありつつ、1日で軽くどこかを歩こうと考え、朝になって「2時間登頂の山」を取り出しました。近くに未踏の山は少なくなったのですが、目に付いたのは釜無山。静かな山で登り1時間10分。結局、観光地化された入笠山の隣だと解ったので、なんだそうかという気持もありましたが、うまくいけば両者を登ってみようと思い、車を走らせました。

中央道を小淵沢で降りて国道20号まで降り、県境を越えれば長野県に入ります。富士見駅の先で入笠山方面に入り山道を走って行くと、入笠山の沢入登山口から先はマイカー規制となっていました。釜無山に行きたいのだがと管理の方に話したところ、大阿原湿原の駐車場までは行っていいが、それより先は絶対にダメということで、許可を得たのでそのまま通行して湿原の駐車場に車を停めました。半ば諦めていましたので、ラッキーでした。 湿原の駐車場から釜無山の登山口は車道歩きとなります。カラマツの植林地の中の静かな林道で、途中から未舗装になりますが、しっかりした道です。雲の多い天気で、歩き始めでパラパラと雨が来て心配しましたが、雨はその時だけでした。途中の雰囲気からすると伐採作業なども盛んに行われているようでした。 釜無山の登山口には思いのほか立派な入口標識がありました。ここから山道に入りますが、すぐに併走する林道から別れて荒れた広い道が合流します。これを辿り、カラマツ林を行くと広い道も終わり、再び山道となりました。しばらくは山腹を巻く樹林の中の道を、笹を分けて進みます。右手が開けると穏やかな山頂部が見えてきますが、位置的には釜無山の山頂かと目星をつけました。雲が多いのですが、時折青空も覗いていました。 笹の広場のような地形で道は右折しますが、この辺りは笹が道を覆うので足元が見えなくなります。緩やかに斜面を登る明るい道で、大した距離は無く、どうやら稜線に出たかというようなところで、再び右に曲がりました。ここからは、しばらくゆったりした笹の中の明るい道が続きます。まばらな木と緑の笹の草原で大変爽快ですが、もっと青空があればと悔やまれるところです。道に傾斜が出てくると再び笹が被るようになり、体で押し分けてという感じのところも出て来ました。そして前方の森の中に入ると雰囲気は一転して苔むした黒木の森となりました。これが本来の植生だったのでは無いかと思えるところです。 この区間が終わると再び笹の道となり、緩やかに登って行くと僅かで山頂の標識がありました。平坦な草原の中に少しだけ切り開いた一角でした。ここまで全く人と会わず、本当に静寂の山でした。 笹の草原の中にあって、周囲の雲が晴れるのを待ちました。残念ながら雲は幾重にも重なって、完全に切れることは無かったのですが、時折青空も出て明るくなることもあったので、その時の笹原の雰囲気は輝いて美しく、満足しました。 帰路は、青空の頻度も多くなり、気持ちよく下ることができました。そして再び車道歩きで大阿原湿原まで戻り、まだ時間もあるので、入笠山を目指すこととしました。 入笠山の登り口までは、やはり車道を辿っていくこととなります。マイカー規制のおかげで車が走らないので静かですが、規制が無ければ車が多いことと想像されます。緩やかな車道を登っていくと首切清水があり、その先が登山口です。法華道の表示があり、道自体は麓から続いているようでした。 入笠山までの登りは、意外にも今日始めての「まともな」山登りです。登山口から少し登るとしばらく緩やかな道が続きますが、すぐに急登に変わりました。といっても標高差で100m程度、大した距離があるわけではないので、登る楽しみを味わうといったところです。山頂直下で、入笠湿原への道がわかれ、その先の広い山頂には沢山の人が集っていました。今日は雲が多いため、アルプスや八ヶ岳の山々はすっきりと見えませんが、360度遮るものの無い山頂は、晴れた日の展望の素晴らしさが容易に想像できます。観光地の雰囲気はありますが、爽快な山頂です。 再び元の道を辿って大阿原湿原に戻り、湿原の遊歩道を散策してみました。老年期の湿原ということで、水はそれほど目立たず、今は花の季節というわけでも無いようでしたが、広々とした草原に低木が点在する風景は開放的でした。ベンチに腰を掛けてしばらく眺めていましたが、ここでも他に訪れる人は無く、釜無山といい、大阿原湿原といい、入笠山の近くにありながら静寂の中の風景でした。

今日は、山をガンガン登ったという訳でもなく、逍遥に近い感じでした。笹の草原や湿原の風景は素晴らしく、交通も便利でこんなところがあったのかと改めて思った次第です。青々とした笹と青空のある風景は、山を登り始めた時深くなじんだ情景で、これがあれば開放的な気持になっていつでも満足できます。山の表情はいろいろな類型があると思いますが、やはり一番これが好きかなと、改めて思ってしまいました。

本文中の写真

  • 登山口から間もなく笹の尾山腹のトラバース
  • 釜無山山頂の一角の三角点
  • 釜無山山頂付近の笹原
  • 釜無山山頂稜線
  • 開放的な入笠山山頂
  • 大阿原湿原の風景

  • 参考図書・地図
    2時間登頂の山(山と渓谷社 1994年6月 改訂2刷)
    25000図 信濃富士見
    50000図 高遠

    入笠山から見る釜無山への山並み
    その他のコース
    ・沢入登山口〜入笠山 ・ゴンドラリフト利用〜入笠山 ・その他古くからの麓からの登山道がありますが、現時点では荒れていると思われます。
    交通機関
    バスはかつてはありましたが、現在は廃止されています。ゴンドラリフト駅まで富士見駅からシャトルバスが運行されています。 詳細は、富士見パノラマリゾートでご確認下さい