櫛形山

 櫛形山 2053.5m 奥仙重 2051.7m 裸山 2002.6m
 山域:南アルプス

記録
 山行日1996年6月16日(日)
 ルート南尾根登山口→祠平→バラボタン平→櫛形山(奥仙重往復)→裸山→祠平→登山口
 コースタイム1343 櫛形山林道南尾根登山口→1420/1425祠平→1450バラボタン平→1458櫛形山→1506/1516奥仙重→1530櫛形山→1555/1615裸山→1700/1705祠平→1732登山口
 天候晴時々曇

山頂部のアヤメで有名な櫛形山に、梅雨の晴間の日曜日に出かけた。長い頂上部を持つ櫛形山は4つの名前の付いたピーク(奥仙重・裸山・唐松岳・丸山)があり、また最高点は奥仙重と裸山の間の2053.5mのピークらしい。ゆったりした山様の櫛形山は中に入れば鬱蒼とした原生林の山であった。

櫛形山登山の起点となる平林の集落は利根川沿いの山道を登り、山深くなったと思う頃突然現れる。急に開けた集落に出たので少なからず驚いた。櫛形山林道に入ると最初に現れたのが南尾根の登山口であった。幸い車を停めるスペースがあり、林道沿いの登山口では最も短いコースでもあるので、南尾根を登路に決めた。
登山口からは尾根上をジグザグについた道を登る。傾斜は緩過ぎもせず急過ぎもせず、檜やカラマツの植林地の中を登って行く。道が少し緩やかになりると、中尾根からの道の合流点の祠平に到着。初めての明るい場所だ。さらに山頂に向けて歩き始めると、再び暗い林の中にはいる。ここより上は原生林で、要所要所に丁寧な道標が立っている。道が緩やかになり、山頂部に入ると、少し開けたバラボタン平に出る。バラボタン平から奥仙重を目指す。途中櫛形山の最高点を示す標識があり、そこは、日の射さない黒木に覆われた静かな広場である。
奥仙重へはさらに少し下って登り返す。三角点のピークで、頂上周辺は切り開かれているがまわりを林がとりまいており展望はない。ただ久しぶりに日の射す明るい場所だったので少し腰を落ちつける。
奥仙重からもと来た道を戻り裸山を目指す。山頂部の縦走コースというと、明るい尾根歩きを想像するが、ここは全く光りがない暗い道だ。コメツガ・モミ・カラマツの、根元のあたりが拳の様に節くれだった針葉樹の大木に混じって時折ダケカンバも現れる。霧が出ていると幽玄な雰囲気になるかもしれない。
裸山に近づいてくると明るい道になった。この一帯は7月になると、アヤメが一気に咲き誇るという。今はアヤメは気配もないが、斜面にスズランが群生して咲いている。正面は南アルプスの主稜線が見えるが、今日はぼやけて輪郭だけである。裸山の明るいピークは、立派な新緑のダケカンバが2本配置され気持ちのいい場所だ。今までずっと林の中で全貌が解らなかった櫛形山山頂付近一帯が一望できる。中にはいると、暗い林だが、外から眺めると実に伸びやかな稜線である。
裸山からは、再び原生林を歩いて下山する。倒木にはもう茸が出ていた。


参考図書・地図
アルペンガイド 北岳・甲斐駒・仙丈(1996年5月改訂3刷)
エアリアマップ 甲斐駒・北岳(1995年版)
25000図 韮崎 鳳凰山
50000図 韮崎

裸山山頂のダケカンバ
その他のコース
山腹を横切る櫛形山林道から、北尾根、中尾根、南尾根の各登山口があり、それぞれ山頂稜線に向います。
櫛形山林道より下からもそれぞれ麓からの登山道が上がっています。
最短は池ノ茶屋林道終点より奥仙重で1時間足らずで山頂となります。
交通機関
甲府駅バスターミナル発あやめヶ丘団地行き「上市之瀬」下車
バス停から歩くとロングコースになります。
詳細時刻は、山梨交通をご参照ください。


Nifty FYAMA 投稿文

櫛形山の原生林を歩く

梅雨かなと思ったら、土日とも晴れ。せっかくの晴れに出かけなければ、天気の神様の祟りにあい、しばらく晴れてくれなくなっても困るので、遅くはなったのですが、歩きにでかけました。今日は先週に引き続き南アルプス前衛の櫛形山です。ただし、先週下山した時刻のころ、千葉を出発しました。

【日 程】 96年6月16日(日)
【目 的】 櫛形山
【天 候】 晴れ
【コース】 1343 櫛形山林道南尾根登山口→1420/1425ほこら平→1450バラボタン平→
      1458櫛形山山頂→1506/1516奥仙重→1530櫛形山山頂→1535バラボタン平→
      1555/1615裸山→1700/1705ほこら平→1732登山口
【山 名】 櫛形山 2053.5m 奥仙重 2051.7m 裸山 2002.6m
【メンバー 】 単独
【山 域】 南アルプス前衛
【参考書】 ヤマケイ・アルペンガイド 北岳・甲斐駒・仙丈
      昭文社 エアリアマップ 甲斐駒・北岳
1.登山口まで(千葉〜櫛形山林道)

前夜は全く計画していなかったが、晴れているのでどこかに行かねばならない様な気がして、10時30分ころ、思い切って出発する。目的は、一度計画を立てた事のある櫛形山にした。池の茶屋林道の終点までいけば山頂まで1時間もかからないが、それではつまらないので、そこそこ歩ける櫛形山林道から登ることにする。甲府昭和インターで降りたが、甲府南の方が近かった。身延に向かって国道52号を走るが、このあたりは、小さな町や村がたくさんある。さっき町役場の前を通ったと思えば、すぐに次の町の役場が現れる。櫛形山登山の起点となる平林の集落は、利根川沿いの山道を登り、ずいぶん山が深くなったなあと思うころ突然あたりが開けて現れる。一山越えた山の中にポツンとあるという感じであった。
櫛形山林道にはいる。どの尾根から登るかまだ決めていなかった。北尾根だと駐車場があるらしいが、他はわからなかった。最初に現れた登山口が南尾根の登山口である。車が5台ほど停まっており、幸い停めるスペースがある。林道沿いの登山口では頂上まで最も近いコースでもあり、安易に南尾根と決めた。

2.櫛形山・奥仙重へ

登山口からは、尾根上をジグザグについた道を登る。傾斜は緩過ぎもせず急過ぎもせずという道で、最初は植林地の中を登って行く。下の方が桧、上の方がカラマツの林になっているようだ。時間を気にしながら、最初からハイペースで歩いてしまったので、いきなり息が上がってしまい。ペースを落としての、のんびり歩きに切り替える。ずっと同じ様な樹下の道が続いたあと、少し緩やかになり、中尾根からの道の合流点である、ほこら平に到着。広い草原でキャンプの指定地となっている。登りはじめてから、初めての明るい場所だ。下山中のパーティが10数人休んでいた。近くには水場もあるらしい。
櫛形山山頂に向けて歩き始めると、再び暗い林の中にはいる。傾斜は少し穏やかになってくる。ここより上は原生林がほとんどで、細長い山頂部一帯にコースがあり、要所要所に丁寧な道標が立っている。
道がゆるやかになり、山頂部にはいったかなと思うと、少し開けたバラボタン平に出る。山頂部といってもすべて鬱蒼とした原生林の中であり、日はあまり射してこない道である。
バラボタン平から奥仙重を目指す。途中に櫛形山の最高点を示す頂上の標識がある。そこは、日の射さない黒木に覆われた静かな広場であった。奥仙重へは、さらに少し下って登り返す。三角点のピークで、頂上周辺は切り開かれているが、まわりを林がとりまいており、展望はない。ただ、久しぶりの日のあたる明るい場所だったので、少し腰を落ちつける。

3.裸山

奥仙重から裸山を目指す。再び櫛形山最高点を通過し、原生林の中を歩いていく。普通は山頂部の縦走コースというと、明るい尾根歩きを想像するが、ここには全く光りがない暗い道だ。コメツガ・モミ・カラマツの針葉樹の大木に混じって時折、ダケカンバも現れる。霧が出ていると、すごく幽玄な雰囲気になる道だと思う。
裸山への分岐を折れ、山頂が近づいてくると、初めての明るい道になった。裸山の一帯は7月になると、アヤメが一気に咲き誇るという。今はアヤメは気配もないが、斜面にスズランが群生して咲いている。開けた場所で、正面は南アルプスの主稜線が見えるが、もやでぼやけており輪郭だけである。
裸山の明るいピークは、立派な新緑のダケカンバが2本配置され、気持ちのいい場所だった。今までずっと林の中で全貌が解らなかった櫛形山山頂付近一帯が一望できる。中にはいると、暗い林だが、外から眺めると実に伸びやかな尾根である。ここでしばらく腰を落ちつけた。

4.下山

裸山からは、一旦アヤメ平側に降り、原生林コースを歩いて、ほこら平の方に戻る。再び、味わいのある原生林の中を歩いていく。倒木には茸がでてきている。ほこら平にもどると、もう時間が時間なので誰もいなかった。よく見ると分岐にある広葉樹の大木の根元の穴の中に小さな祠が奉ってある。やっと名前が納得できた。
5時半ごろの下山だが、さすがに一年で最も日の長い時期だけに、7時前後まで明るい。車で戻る途中、笛吹川の対岸に立派な山が見えた。多分蛾ヶ岳ではないかと思う。また登りたい山が増えてしまった。



櫛形山は山頂部は、あまりアップダウンのない、静かな道でした。その原生林はなかなかいい雰囲気です。梅雨も終わり頃の小雨の時に、霧に煙る原生林とアヤメを見に行くのもいいかなと思いました。