千頭星山

 千頭星山 2138.5m 甘利山 1740m 奥甘利山 1843m
 山域:南アルプス

記録
 山行日1996年6月9日(日)
 ルート広河原→甘利山→千頭星山(往復)
 コースタイム0640広河原→0705甘利山→0853/0938千頭星山→1030甘利山→1040広河原
 天候雨時々曇

千頭星山は、鳳凰三山から繋がる尾根上にあり、また尾根続きの甘利山は梅雨の頃一面に咲くレンゲツツジで有名である。雨の予報ではあったが、少し早いかなと思いつつ、少しだけツツジを期待して、甘利山から千頭星山のコースを歩いた。

甘利山登山口の広河原へは、林道を車で一気に1640mまで登ってしまう。途中道路脇で猿のお出迎えを受けた。ツツジはといえば、朝のラジオで「今年はいろんな花の咲く時期が例年より2週間遅れている。」などと言っていたのを思い出す。少しでも咲いていてくれればいいのだがと思う。やがてどんよりと曇った早朝の駐車場に着き、山菜取りの家族が出発した後を追って、ロープの張ってある山道にとりついた。
遊歩道をしばらく登るとあたり一面ツツジの木である。しかし、15万株のレンゲツツジはほとんどが堅い蕾のままで、ごくたまに少し膨らんでいるのがある程度だった。しかし、低い笹の草原の中の見渡す限りのツツジの木は、咲き揃うとさぞ壮観な眺めだろう。
立派な山名表示のある甘利山山頂から奥甘利へ向けて進んでいく。鞍部からは山道らしくなった道をひと登りで登り着くが、道は頂上を経ず少し下の斜面を巻いていった。再び鞍部に降り今度は大西峰(ウラ)への登りとなる。カラマツ林の中の落ち着いた道で、霧の新緑の中を歩くのもなかなか風情がある。
やがて右が青木鉱泉・左が千頭星山のT字路にぶつかった。道は大西峰をも巻いていく。大西峰から千頭星山へは広い笹原の中にポツポツとカラマツの大木が聳え、あたりは立ちこめる霧でぼんやりしており幻想的な風景であった。霧の中、展望があるわけではないが、雰囲気の良いすばらしい道だ。少し傾斜が出始めると千頭星山に到着。ここから先は鳳凰三山への道となり、夕刻までに南御室小屋か、頑張れば薬師岳小屋まで行くことも可能かもしれない。
帰路は往路をそのまま戻る。往きでは巻いてしまった奥甘利山への踏み跡があったので登ってみたが、特に何が有るわけではなかった。
甘利山まで降りるとそこそこ人がでている。みんなあちこちに踏み入っての山菜とりだった。あと2週間すると、今度はツツジで賑わうことだろう。登りはじめから終始霧雨だった天気は、駐車場に着いた時から本降りになった。
帰路、青木鉱泉に立ち寄った。ドンドコ沢からポツポツと、それでも断続的に鳳凰三山からの登山者が降りてくる。鉱泉に入って、ふと時計を見上げるとまだ11時半、しごくゆったり気分である。湯からでて鉱泉の縁側に座り、雨に打たれる草の葉を眺めながら、まだ小学生のころ、田舎の家の縁側に座って、規則正しく樋から漏れ落ちる水の音を聞きながら、雨の日は緑がとても美しいと感じたことを思い出した。


参考図書・地図
アルペンガイド 北岳・甲斐駒・仙丈(1996年5月改訂3刷)
エアリアマップ 甲斐駒・北岳(1995年版)
25000図 韮崎 鳳凰山
50000図 韮崎

千頭星山直下の草原
その他のコース
途中の大西峰まで青木鉱泉からの道があります。
また、鳳凰三山方面から縦走で来られます。
交通機関
広河原へは、韮崎駅よりタクシー利用となります。


Nifty FYAMA 投稿文

甘利山〜千頭星山 ツツジはまだ!

今日は雨の予報でしたが、甘利山のツツジもそろそろかなあ、ツツジに雨は関係ないだろうし、それに千頭星山まで足を延ばせばそこそこ歩きがいもありそうだし、千頭星山山頂は展望で有名な山頂では無いようだからまあこの天気でも....と考えて出かけました。
結果、危惧した通りツツジには2週間ほどは早かったみたいでした。

【日 程】 96年6月9日(日)
【目 的】 千頭星山
【天 候】 雨
【コース】 0640 広河原→0705甘利山→0853/0938千頭星山→10:30甘利山
      →10:40広河原
【山 名】 千頭星山 2138.5m 奥甘利山 1843m 甘利山 1731m
【メンバー 】 妻と2人
【山 域】 南アルプス前衛
【参考書】 ヤマケイ・アルペンガイド 北岳・甲斐駒・仙丈
      昭文社 エアリアマップ 甲斐駒・北岳
1.登山口まで(千葉〜広河原)

今日は昼から雨だと聞いていたので、早目の朝4時に出発。韮崎インターで降りて広河原に向かう。広河原といってもあの広河原ではない。甘利山登山口の広河原である。韮崎からすぐに山道をどんどん走っていくことになり、一気に1640mの駐車場まで登ってしまう。途中道路脇で猿のお出迎えを受ける。問題のツツジは下の方では少し咲いている。そういえば、朝ラジオで「今年は花が2週間遅れているようです。」などと言っていた。少しでも咲いていてくれればいいがと思う。駐車場からは山菜取りの家族が出発していった。その後を追って整備されてツツジの中に入らないようにロープの張ってある山道を登る。

2.甘利山

遊歩道をしばらく登ると、あたり一面ツツジの木である。15万株のレンゲツツジらしいが、花は一つも咲いていない。ほとんどが堅い蕾のままであり、ご〜くたまに少し膨らんでいるのがある程度。残念である。また来なければと思う。しかし、この一面のツツジの木はすごい!!低い笹の草原の中に、どっちを向いても見渡す限りびっしりツツジの木である。絶対に咲いているところを見ないといけない。
頂上は立派な山名表示がある。奥甘利へ向けて歩いていくが、遊歩道脇のロープは無くなった。すると笹の中に人の歩いてできる踏み後が乱れる様になったどうも山菜取りの人が侵入するらしい。

3.千頭星山へ

甘利山から鞍部に降り、今度は山道らしくなった道をひとしきり登ると、奥甘利山である。標高差でせいぜい150m程度の登りで、快調に進む。ツツジは時々紫色のが咲いている。朱色のレンゲツツジはやはり蕾のままだ。登り着いたが、道は頂上を経ず斜面を巻いていく。
再び鞍部に降り今度は大西峰への登りとなる。今度は標高差250mほどあり本格的な登りとなるが、一歩一歩登っていくうちに右が青木鉱泉・左が千頭星山のT字路にぶつかった。大西峰は山頂を通るのかなと思っていたが、ここも斜面を巻いていく。この間の登りはカラマツ林の中の落ち着いた道だった。霧の中カラマツの新緑の中を歩くのもなかなかの風情である。
大西峰から千頭星山へは広い笹原の中にポツポツとカラマツの大木が聳え、あたりは立ちこめる霧でぼんやりしており幻想的な風景である。霧の中を歩いているので当然展望があるわけではない。しかしそれでも、とてもいい雰囲気のすばらしい道だった。少し傾斜が出始めると、もう千頭星山に到着。ここから先は鳳凰三山への道だ。夕刻までに南御室小屋か、頑張れば、薬師岳小屋まで歩くことも可能であろう。時間がたっぷりあって気侭に歩き回れたらいいなあと思う。
ここまでは、とてもゆっくりゆっくり歩いてきたが、エアリアマップのコースタイムより1時間弱・ガイドブックのコースタイムより30分弱も早い。相当このコースタイムは甘いようだ。もっとも晴れていてツツジや展望を楽しむ前提でタイムが付けられているのかもしれない。

4.下山

帰路は往路をそのまま戻る。
途中20名程の団体さんに会う。みんな帽子に同じワッペンを貼ってあった。今日出会った登山者は彼らだけである。下山したらマイクロバスが停まっていたので、雨でも予定を変更しなかった団体さんであろう。往きでは巻いてしまった奥甘利山への踏み跡があったので登ってみた。すぐに頂上に着いたが何が有るわけでもなく、単にこのあたりで一番高いというところであった。
甘利山まで降りるとそこそこ人がでている。みんなあちこちに踏み入っての山菜とりだった。あと2週間すると、今度はツツジで賑わうことだろう。登りはじめから終始霧雨だった天気は、駐車場に着いた時から本降りになった。良かった良かったと思ったが、その雨も午後になってあがってしまった

5.帰路

帰りは、来た林道を逆に山を降り、青木鉱泉に立ち寄った。
風呂に入るのと、いつか行こうと思っている鳳凰三山の登山口の確認の為である。ドンドコ沢からポツポツとそれでも断続的に鳳凰三山からの登山者が降りてきていた。土日の2日で縦走された方たちだろう。
青木鉱泉の湯に入って、ふと時計を見上げるとまだ11時半である。日帰り登山でこの時間にもう温泉に入っているとは、すごくゆったり気分である。
湯からでて青木鉱泉の縁側に座り、雨に打たれる草の葉を眺めながら、小さいころ、よく雨の日に田舎の家で縁側に座って、規則正しい樋から漏れ落ちる水の音を聞きながら、雨に打たれる木の葉を見て、雨の日は緑がとても美しいと感じたことを思い出した。



今日は、久しぶりの承知の上での雨中の山行でした。ツツジはやはりまだ早かったのは残念でしたが、大西峰から千頭星山の道などは、雨であればこそのいい雰囲気を出していました。もちろん青空のもと鳳凰三山を眺めながら緑の笹原の中をいくというのは最高ですが、霧に霞むカラマツの風景もまた山の美しさのひとつだと思います。ということで、千葉に着いたらまだ3時半でした。