夏山(6月〜8月)

2001年 夏


夏の山の楽しみ

夏の前半には梅雨時の鬱陶しい季節があり、梅雨が明けると一気に高い山を目指すシーズンがスタートします。爽快な高山の雰囲気が好きなハイカーにとっては待ちに待ったシーズンの開幕です。といった訳で、夏の山といえばやはり日本アルプスやその周辺の山々が中心となります。
アルプス以外では、東北や北海道でもシーズンです。但し、東北の山は比較的暑いことは覚悟していかなければなりません。北海道の山は私はまだ登ったことが無くよく解りません。
雪の深い地域では、やっと雪が無くなって、新緑の春がやってきます。尾瀬などが一番にぎわうのもいわゆる初夏の頃、6月初旬の水芭蕉のシーズンでもあります。
山に向けていろんな事が躍動的になって、いろんな目標を立てながら、思い切って楽しみたいシーズンですね。

夏の山の特徴

夏の山は、初夏から梅雨の頃と、盛夏の頃に分けられると思います。
里山では新緑の季節も終わり、初夏の山に入る頃、2000m以上の雪の深い山々にも芽吹きが訪れます。ちょうど梅雨入り前の頃、尾瀬など積雪の多い山々や湿原では、花が咲きそろう季節になります。ザゼンソウや水芭蕉、リュウキンカやヒメシャクナゲ、そしてショウジョウバカマやイワカガミなど、1000m級の山では春に咲く花も、この時期に開花します。ただし、年によっては雪の多く残る事もあり、事前の情報収集も必要です。また、湿原の美しい山は各地にありますので、この季節に花を見に出かけられるのも楽しいでしょう。

6月中旬から約1ヶ月は梅雨の季節に入ってしまいます。山登りには不適当な季節には違いありません。でも、どうしても山に行きたいこともあると思いますので、たまには思い切ってでかけてみましょうか。ロングコースと気張らず、傘をさして歩けるようなお散歩コースでもよし、北八ツなどの樹林を逍遥して、雨に打たれて一段と鮮やかさを増した林床の苔を楽しむのも一興です。



夏の山の注意事項

夏の山で最も気をつけなければ行けないのは雷でしょう。特に高い山に登った場合、落雷の危険は大きくなります。近くで雷が発生した場合の雷鳴と電光は、激しい驟雨も伴い、生きた心地がしないほどの凄まじいものです。雷が発生しそうな場合は、山小屋や樹林帯に逃げ込んで動かない。あるいはその様な時間帯に行動しないというのが基本です。
夏山で、天候が不安定な場合は、朝のうちは晴れていても、正午くらいから雷を伴った雨になります。また、その様な日は連続しがちです。まずは、早朝の出発を心がけ、正午には目的地に到着するくらいの予定を組むのが一般的です。森林限界を越えた稜線でやむを得ず雷に 遭遇した場合、比較的安全な場所(山小屋や樹林帯等)に可能な限り急ぎ、雷雲の通過を待ちます。しかし全くその様なものの無い稜線で遭遇してしまった場合は斜面のハイマツの中などに潜り込んでやりすごすしかありません。この時は、金属を遠ざけて、一人一人が離れた場所にいる方が良いとされています。密集するとより危険度が増すようです。

この時期はまた雨の多い季節です。雨によるトラブルの一つとして、登山道あるいはアクセス道路の崩壊があります。もちろん山行中に崩壊に直撃されるということも、全くないとは言えませんが、多くは通れるはずのところが通れないというケースです。
事前の情報収集で、ある程度は計画段階で対応するというのがベストですが、現地に行って初めて遭遇するというケースも無いとは言えません。車道が通行止め等の対応としては、代案をもって向かうことも必要かと思います。また、山抜けなどによる、登山道の崩壊の場合は、きちんと巻き道が整備されていない状態では大変危険です。くれぐれも無理をせず、安全なところを大きく迂回するか、潔く引き返すようにお願いします。
また、山岳地での一時的な豪雨は一瞬にして沢の水を増水させます。登山道ですら、急な水の流れとなり、あまりの急変に驚くことと思います。特に沢沿いの登山道の場合、登りでは普通の水量で、石を跳んで渡れた場合でも、下りでは濁流となって渡れないといったことがあります。山頂部で豪雨となった場合、はっきりしている場合は、下りは尾根沿いの道に変更するというのも手ではあります。下山途中で、実際にそういう場に居合わせてしまった場合は、無理は禁物です。何度も渡り返すような場合は、渡らずに行けないかとか、確保しながら進むであるとか、周囲の状況をよく見て臨機応変な行動が必要になります。

また、夏はこの世の生き物が最もアクティヴになる時期のようです。したがって登山道にはいろんな生き物が溢れかえるようになります。多少見た目は悪くとも、それほど有害で無い物はよしとしましょう。ヘビ・カエル・クモ・イモムシ・アブ・ハエなどは善良な森の住人のようです。それらをあまり気にしすぎると、夏の山には行けなくなってしまいます。
その次は少し有害な生き物たちです。ヒル・ハチ・ダニなど、人間の体液を吸いにきたり、あるいは防御のために刺したりする生き物です。これはある程度注意しておく必要があります。ヒルやダニは積極的に向こうから寄ってくるので、ついたら撃退するしかないのですが、生息場所は比較的限られているようです。ハチは刺激を与えない限りは襲ってこないのですが、多くは不用意に刺激してしまったというケースにやられています。
最も恐怖なのは、スズメバチとマムシですね。こちらが先にみつけた場合は、刺激しないよう忍び足で退去するか、ヘビの場合はいなくなるのを待つかということでしょう。スズメバチは超高速で弾丸のように襲ってきますが、黒い所を狙ってくるようなので、白い帽子を被っていた方が被害は多少は少ないかもしれません。しかし、2度3度刺された場合、ショック死に至ることがありますので、危うきに近寄らずが原則です。マムシにかまれたら、虫歯など口腔に傷口が無ければ、口で傷口から毒を吸い出すのが良いと言われています。また毒が回らないように落ち着きつつ走ったりせずに、出来るだけ早く下山して病院に駆け込む必要があります。

1000m級の山は暑く、一般的にはこの時期のハイキングは向きません。そちらの方は沢登りにいい季節となりますが、ちょっとハイキングとは違ってきますのでここでは触れません。一般道は熱気を覚悟のうえでということになるでしょう。6月後半から蒸し暑くなり、7〜8月は大汗をかきながらということになります。そういう時に、稜線に辿りついて、微風に吹かれるのも気持ちはいいのですが。いずれにしても、そういつも遠くの山へ出かけられる訳でもないので、山を選んで、十分な熱気対策をして、ある程度の覚悟でということになるでしょう。


夏山レポート

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