志賀・草津の一帯は、その火山性の激しい生成過程とは裏腹に、優しい面もちの山が多い。四阿山もその様な山の一つで、牧場から眺める風景は実にのんびりとしていた。
夜のうちに菅平の牧場管理事務所前の駐車場に入り、車中で仮眠する。朝起きると周囲の雰囲気が暗く、天気予報に反して、雲が低くたれ込めているようである。期待に反し残念と思いながら、準備を整え、根子岳を目指す。遠望のきかない中、牛に見守られながら登る道は、根子岳まで標高差600m。緩やかな高原状で、傾斜もほぼ一定である。やがて明るい低木の間の道になるが、雲の中に完全に入ってしまい、展望は全く無い。視界が広がれば明るく楽しい道だろう。高度を上げると「至 根子岳」という標柱が20mくらいの短い間隔で立つようになり、やがて傾斜が緩んで山頂に出た。真ん中に石の祠があり、展望が広がるはずの山頂は霧は重く、さらに暗く風も強くなってきて肌寒く、長居は無用と先を急いだ。
四阿山までは登り下りともそこそこ標高差がある。根子岳の先は右が切れ落ちた断崖になっており、岩の多い肩状を行く。はがれやすそうな柱状の石が並ぶ、面白い光景がある。道はやがて一面の笹の緩やかな斜面を下降するようになり、緑の中に青いリンドウが点々と咲いて素晴らしい風景である。青空となって、花が開けば楽園だろう。惜しい。鞍部からは、少し緩やかに笹の斜面を登ったあと、樹林の中の急登となる。途中で右側に開けた露岩のあるあたりで一息つき、山頂部の肩には、そこから少しの急登でたどり着いた。一転して緩やかな広々とした稜線となって、すぐに中四阿への道を分ける。緩やかにアップダウンしながら頂稜を行くと、鳥居峠からの道をあわせ、最後の急登を楽しみながら登ると、山頂部に着いた。まず手前の祠があってトマノ耳、その先のもう一つの祠がオキノ耳というらしい。その後ろが最高点である。そして、とりあえず三角点のある北峰を往復した。こちらはなんの変哲もない肩に静かに三角点があるだけで、わざわざ訪ねる人も少ないようだった。空は予報通りだんだん明るくなり、かすかに青空も出てきた。少し笹の斜面も見渡せるようになって来て、そしてだんだん心も晴れてくる。
分岐まで戻って中四阿への道を下る。車での周回コースとしてよく利用されているようであり、歩いてみるとなかなかいい道だった。分岐から緩やかに下ったあと、少しの間、樹林を抜けると一面にリンドウの咲く明るい野原にでる。花が開いていないのが大変残念である。その野原からは、中四阿や小四阿の小さなピークが見え、さらに先には菅平の牧場やスキー場がなだらかな起伏を見せている。展望はかなり回復し、全面的に晴れるのも時間の問題である。リンドウを見ながら、気持ちのいい中四阿や小四阿のピークを越えていくと、あとはなだらかな下りとなりシラカバの樹林帯に入っていく。途中たくさんの人とすれ違った。この道を登りにとる人も、かなり多いようだ。樹林帯の中ではマツムシソウの花の一面に咲くところがあり、アサギマダラがたくさん乱舞していて美しい。
根子岳への尾根との間の小沢を渡ると、牧場の中に入り、やがて牧場の中の車道にでる。根子岳の方はもう雲はとれてしまったようである。車道を少し歩くと、朝出発した駐車場に出た。帰りに管理料として、1人200円を払うと、意外なことに写真入りの領収書を貰った。
99年9月12日(日)
曇りのち晴れ
0525 牧場管理事務所 → 0700/0715
根子岳 → 0715/0900 四阿山 → 1110 牧場管理事務所
四阿山山頂の祠