御在所山

1079m

山域:四国山地
2002.3.2


高知滞在の2日目は、いろいろ用もあってあちこちを訪ね歩いていたのですが、やっと午後に時間を作って山に向かいました。御在所山は地元では古くから登られている信仰の山で、安徳帝と平教盛が祀られているところです。自分が県東部出身の為か、昨日の不入山より、こちらの方がなんとなく近しい感じがします。

御在所山という名前からは、まずは鈴鹿を思い出すのだが、四国にも御在所山がいくつかある。それぞれに伝説があり、地域の信仰の山である。香北町の御在所山は、美良布(びらふ)の奥にあり、登山口の大屋敷は安徳帝を守った平教盛が逃れ住んだところという伝説がある。地名の由来もなんとなくいわれを感じるものだ。
美良布から対岸に橋を渡り、大荒ノ滝の看板に導かれつつ、梅久保の集落に入る。そこには、簡単な御在所山登山の案内の看板が二又の辻に立っていた。どちらに進んでもそれぞれ登山口であるが、由緒のある大屋敷側の登山口に向かう。谷間の道を奥へと入っていき、あたりが少し開けると、平家の里・木馬茶屋という売店があって、そこは小さな駐車場とトイレのある登山口であった。
しばらくは、舗装された車道を登っていく。意外と傾斜がある道で、道ばたのスミレに春の到来を感じつつのんびり行くと、いつのまにか登山口はかなり下に見えるようになっていた。一登りして平家観音像の碑を過ぎるとまもなく一軒の家の建つ車道終点となり、ここから山道に入る。ここまで車で上ってくることも、充分可能のようであった。
登山口からしばらくは小沢にそった、よく里の人が作業で使っていると言う感じの道である。あまり傾斜を感じず登っていくと、石垣が積まれて段になった植林地や、沢の中からホースで用水を分岐してあったりと、いかにも里山という感じの道が続く。やがて第1の水場を過ぎると少し傾斜がでてくるが、相変わらず、歩きやすい植林の中の道が続く。そして少しづつ傾斜が増していきながら、淡々として登りは続く。第2の水場を過ぎて少し行くと、正面に窓の様に光が射し込む。どうやらもう稜線が近い。
尾根には反対側からも山道が登ってきていた。もう一つの登山道である。このコルは、まさに神社の境内であった。ここから鳥居をくぐって、石段がスタートするわけであるが、広場には大きな土盛りがあった。奉納相撲がここで行われていたということである。鳥居の周りには大木があり、この山への古くからの信仰を伺わせるものである。
少し休んで、石段を登る。急な石積をしばらく喘ぎ、登り切ったところでところで、一旦緩やかな下りがある。このあたりで、御在所山の山頂への稜線が見えるが、まだ高く壁のように立ちはだかる。さらに再び急坂を登っていき、これを登りきれば、夫婦松の看板があり、複雑に枝分かれした、2本の松が傍らに立っていた。
この先で、少し右にトラバース状に進むと水場がある。ガイドブックには清冽な水があるように書かれていたが、今は全く枯れてしまっており、残念であった。再び折り返す様に稜線に出たところにベンチがあり、初めての展望ポイントがある。曇り気味の空模様で、ぼやっと霞んでしまっているが、山田から高知平野の方が見えていたのだと思う。
いよいよここから尻見坂の石段が始まる。急な石段をどんどん登っていくが、最後の方は切り立って、ロープまでかけてあった。手すりのある石段はあるが、ロープを垂らした石段というのは初めてである。もっとも普通に登れば、使うほどではない。登り着くと祠のある広場があり、再び長い石段がスタートする。これを登り切れば、岩場の上に小さな祠があり、しばらく普通の山道を登ると、再度石段がスタートする。今度は途中に石仏がたくさんある道だ。これが最後の石段なのだが、かなり長く、途中で思わず歩を休めたのであった。
石段を登りきると、山頂の一角である。右に折れて、山頂の韮生山祇神社への道を辿る。しっかりとした石積の立派な神社が森の中に眠っている。神社にお参りをして、右側から回り込むと三角点の山頂である。木立に覆われたところなので展望はない。落葉樹や常緑樹と針葉樹の混交林である。
奥物部連峰の展望の案内に導かれ、山頂から少し進むと、一角が開けていて、北から北東にかけての展望が広がっていた。雲が多く霞んではいるが、ここから剣山や三嶺も見えるようである。ただし、今回は位置関係に疎く、同定するまでにはいたらなかった。
しばらく展望を楽しんだあと、登った道を一気に下山する。山道から出て、里の車道の下りになると、平家観音像の碑(かつて2メートルあまりの地下から、高さ20センチほどの持経観音像が出土したとのこと)のある広場には、梅の花に混じって、桜の花が、先端の方から咲き始めていた。そして、ゆっくりと道ばたのいろいろな花を見ながら下りつつ、やはり今年は春が早いなと改めて感じていた。

四国2日目は、昨日の不入山とうって変わって、長きに渡って人を受け入れてきた信仰の山でした。そして、山頂にあった奥物部の展望を見てしまうと、まだまだたくさん登りたい山があるなぁと思うのでした。
この夜は、かなり飲み過ぎて、翌日はゆっくりと山の温泉に入り、日曜日に千葉へと戻りました。

本文中の写真

  • 韮生山祇神社の境内となる鳥居のあるコル
  • 山頂から展望する奥物部の山々
  • 帰路路傍で見つけたフキノトウ



  • 記録

    日 程

    2002年3月2日(土)

    天 候

    晴れのち曇り

    コース

    1245 大屋敷登山口 → 1325/30 コルの鳥居の広場 → 1415/30 御在所山 → 1500 鳥居の広場 → 1530 登山口

    石段の登山道横の石仏群


    参考図書・地図 その他のコース
    分県ガイド 高知県の山(山と渓谷社)
    四国百山(高知新聞社)
    25000図 奈呂
    50000図 大栃
    大屋敷からコルを隔てて尾根の反対側になる大久保を経て登る道がある。
    バス
    JRバス四国 土佐山田駅より、美良布・大栃行き Tel 088-885-0125
    土佐電鉄バス はりまや橋より、大栃行き Tel 088-833-7132
    いずれも、美良布で下車し、タクシーとなります。