不入山

1336.1m

山域:四国山地
2002.3.1


今回は、久しぶりに出張がてら高知に帰省したおり、四国の山に向かいました。山は全国的に名のしれたものではないですが、ここから流れる川はすっかり有名になった、四万十川源流の山です。河口はずっと南の中村の方ですが、源流は意外と、東にあります。

不入山は、「いらずやま」と読む。別に不要な山という訳ではなく、土佐藩が木材資源確保のため、立入禁止にしたことから、この名が付いたと言われている。昭文社のガイドにも載っているので、関西では、名前をご存じの方の多いのではと思う。
須崎から国道197号を進み、船戸から四万十川源流の看板に導かれつつ、県道378号を登っていく。お隣の鶴松森の登山口への道を分けて、さらに登っていくと、四万十川源流への分岐である。しかし、こちらの方は道路工事中で通行止であった。ここから道は未舗装となり、登り着いた峠が不入山への登山口であった。
不入山への道は、まずは林道歩きである。一般車進入禁止のゲートを越え、ゆったりと登っていく。道ばたにはフキノトウがたくさんでていた。もうすっかり春のようだ。高度を上げていくと、葉の落ちた木々の間から車を停めた峠が見える。そして、その向こうには石灰石の採石で山頂がすっかり無くなった鳥形山が大きい。雄大な裾野はかつてのどっしりとした山容を彷彿させるものだ。
林道脇に、森の巨人の看板がある。四万十川源流の樹齢200年の樅の木に至るものだ。僅かな寄り道で、見ることができる。さらに、林道が山肌を回り込んでいき、北に天狗高原が見えるようになると、周囲は背丈ほどの笹になる。林道歩きとはいえ、森の香りも強く、山深い雰囲気が高まってくる。そして、今は枯れてしまった水場とベンチがあり、その先は道も草に覆われはじめ、まもなく終点であった。
山道に入って笹を分けつつ水平な道を少し行くと、尾根コースと谷コースの分岐である。尾根コースはさらに先に進んでから、尾根にとりつくが、谷コースは、この分岐自体が谷の中にあるので、ここから直登する。両側に岩の切り立った暗い谷で、巨岩には木の根が複雑に絡まり、いかにも原生林という雰囲気である。谷には岩がゴロゴロしているが、どれも見事に緑の苔むしている。まさに、深山幽谷の情景だ。ブナやツガなどに混じって、一際目立つのはヒメシャラの鮮やかな色である。どれも大きい。汗をかきながら急坂を行くと、右手に巨岩が現れる。中央が割れて洞穴状であった。
急坂を登り詰め、源頭が近づいてくると、右手に笹の斜面を登るようになり、まもなく稜線に出る。ここで尾根コースが合流した。
尾根に出るとしばらくは笹を分ける道を進み、やがてシャクナゲの多い、岩をつかみながらの、アップダウンの尾根となる。途中黒々とした、樅の木などのある小ピークを越える。このあたりで、さらに先に山頂が見えてきた。檜の巨木に感心しつつ、さらに尾根を進む。しばらく木の根や岩角と格闘したあと、やっと笹の中の歩きやすい登りになれば、まもなく山頂であった。
山頂は笹の中の切り開きである。大きな一等三角点と、石鎚神社の祠があった。東の方はが展望が開けてはいるが、前線が北上してくる中でのどんよりした天気になっており、山々の折り重なりは春の午後ということもあってか、ぼんやりと霞んでいた。
帰路は、尾根コースを下った。少しは歩きやすい道ではと考えていたが、やはりシャクナゲなどの多い、岩や倒木のある道で、そうスイスイと歩ける感じでは、なかった。少し寂しい空模様ととなっているので追われるように下り、稜線から離れ、谷へと下るつづら折れの道になると、今度は断然歩きやすくなり、一気に下の分岐に降り立った。あとは林道を下りつつ、思いのほか、自然度の高かった山だなと思った。

久しぶりの四国の山は、深山幽谷の山でした。行程は短いながらもいい雰囲気です。道にはフキノトウが並び、何とはなしに今年は春が早いような気がします。
しかし、今回はデジカメを持っていったのですが、カードが入っていなかったという大失敗がありました。残念無念。



記録

日 程

2002年3月1日(金)

天 候

晴れのち曇り

コース

1200 峠の登山口 → 1245 林道終点 → 1250 下の分岐 → 1328/30 上の分岐 → 1355/1420 不入山 → 1500 下の分岐 → 1505/10 林道終点 → 1555 登山口
参考図書・地図 その他のコース
分県ガイド 高知県の山(山と渓谷社)
関西の山歩き100選(昭文社)
四国百山(高知新聞社)
25000図 王在家
50000図 新田
他のコースは相当藪が深そうですが....
地図には、四万十川源流の碑からさらに林道を進み、 尾根に出たところで、稜線通しに北上するルートがありそうです。
バス
須崎駅発(あるいははりまや橋発)梼原方面行きバス
船戸下車。以後はタクシーで。
高知県交通参照下さい。


東津野村のホームページ。四万十川源流点の写真などあります。