笹目倉山

 笹目倉山 799.9m
 山域:日光前衛 前日光

記録
 山行日2003年1月11日(土)
 ルート小来川森崎→坂本→笹目倉山→天善教バス停
 コースタイム0900 小来川森崎バス停 → 0910 坂本バス停 → 0933 林道終点 → 0942/47 尾根取り付き → 1026 笹目倉山の肩 → 1034/1120 笹目倉山 → 1150 Y字分岐 → 1210 登山口 → 1215 天善教バス停
 天候晴れ

今回は丹沢方面の低山を歩こうと思って、ある程度計画をたてていたのですが、前夜見た天気予報が神奈川は曇り時々雨、栃木は晴れと、北の方が良くなっていました。といってもそれほど崩れそうな感じではありませんでしたが、せっかくなので少しでも天気の良さそうな方ということで、日光前衛の笹目倉山に目星をつけ、急遽計画変更のこととしました。

夜明けは東武日光線の中でした。見渡す北関東の平原の中で、川面を覆い尽くす朝霧が空気の冷たいことを思わせます。板荷駅で降りるのは、昨年のかまど倉以来です。小さな駅ですが、2回目ともなると少し親しみが湧いてきました。
板荷駅前で小来川行きの「リーバス」を待つこと15分ほど。小さなバスは誰も乗せずに時間通りやってきたのでした。小来川までの道は、所々に雪が残っています。運転手さんによると、昨日少しだけ降ったとのこと。ほんのうっすらと積もったという感じでした。小来川の黒川神社の前に森崎のバス停があり、終点になります。ここはすでに日光市の領域で、今市からもバスが運行されているようでした。
バスを降りて滑りやすい道を坂本のバス停に向かいます。こちらのバス停は今市からのバスしか通りません。坂本のバス停より右に折れ、小川を渡って田園の中へと進んでいくと、正面に笹目倉山が見えて来ますが、ちょうど逆光になってまぶしい感じです。道なりに進むと笹目倉山への登山道を示す標識がひとつありました。
小さな集落を抜けると道は未舗装の林道となります。沢の右岸を奥へと進む道ですが、目指す笹目倉山は左岸の尾根を登るので、どこで沢を渡るのだろうと、少々気にしながら進んでいきます。道は左右に分岐しますが、直進と思われる方向を目指しました。林道はほとんど日陰になっている為か、概ね数センチの雪に覆われていました。
左岸を気にしつつ歩いていきますが、道はどんどん沢より高くなって行くので、ちょっと不安になってきます。やがてガイドブック通りに林道は終点となり、山道に変わりました。道標はなく、ちょっと藪っぽい感じもしますが、かまわずそのまま進みます。相変わらず沢から高い所へと未だ登りながら行くので、また不安になりますが、小さな崩壊地を越えると、いつのまにかすっかり細くなった沢と同じ高さとなって、渡渉点に降り立ちました。対岸の尾根へ細い道が続いているのを見て、ほっと一息でした。
尾根道は決して良く踏まれた感じではないのですが、テープと薄い踏み跡が続いています。雪は粗目のものがうっすら積もっている程度で、問題なく普通に歩けます。尾根道を、テープを追いながら登って行くと、やがて狭い尾根を直線的に行くようになり、かなり足にこたえました。周囲は終始植林地が続くので、あまり情景の変化がなく、一心不乱に登るべしという感じです。夏ですと若干藪っぽくなるかもしれないといった風情でもありました。
直登も、まもなくつづら折れの道に変わりほっとしました。左手に鶏鳴山からの尾根が見えており、そろそろ最低鞍部と同じ高さになってきます。ジグザグに登って行くと、広い尾根となって、少しだけ道が解りづらくなりますが、とりあえず上に向かってテープを探せば問題はありません。再び尾根を進むようになると、また直登気味になり、だんだん息があがってきました。沢から350m弱の登りなので、一気に登り詰めようと思っていたのですが、思わず途中で小休止としました。
尾根をじっくり登り詰めていくと、傾斜も急になり、木に捕まりながらという感じになりました。最後は回り込むように笹目倉山の肩のピークに出ましたが、ここも植林の中で、やはり展望はありませんでした。
ガイドブックには、山頂と肩の間に展望がいい場所があるように書いてありました。期待しつつ緩やかに下った鞍部のあたりは、残念ながら植林が育ってしまい、日光の方は見ることができませんでしたが、樹間から正面に見える鶏鳴山は低山ながら壁の如く立派な山に見えました。日光の山々は鞍部の先の少し登った所から良く見えましたが、今日は残念ながら山頂部に雲が懸かっているようでした。
ピークらしき場所に登り着いたあと、水平な道で山頂に出ます。ここには三角点があり、祠の前は小さな広場になっています。残念ながらここも展望はありません。この三角点は799.9mと思わせぶりな標高ですが、背後のピークが少し高いようなので、笹目倉山の標高は、間違いなく800mを越えていると思われます。
山頂から再び日光の山々が見える場所まで戻って休憩することにしました。青空の下、雪をかぶった男体山や太郎山の眺めはまさに神々しいと表現していいと思います。ザックの上に座り、山々を眺めながら持ってきたウイスキーを紅茶で割って飲んでいると、いつの間にか大変気分良くなってしまいました。休んでいると天善教の方から登って来た方が展望を見に来られました。ちょっと邪魔な場所に座っていて申し訳なかったのですが、しばらく言葉を交わしました。
下山は天善教の方に下ります。山頂の石灯籠の脇に鶏鳴山への縦走路を確認してから、急な参道を下りました。登りよりは遥かに踏まれたわかりやすい道ですが、かなりの急坂です。若干足がもつれ気味なのでもあり、バスの時間は余裕なので、ゆっくり下りました。路傍には時折丁目石が立っていました。傾斜も緩やかになりしばらく下ると、Y字路の分岐に出ます。ここでは霊場のある方へと下りました。再びかなりの急坂になり、木に捕まりながら慎重に行きます。途中で、岩場のあるあたりには祠が並んでいました。また、さらに石段があり、祠が並ぶ所もありましたが、ガイドブックの言う霊場とはこのことでしょう。さらに下るとやがてすぐ下に舗装路が見えて、登山口に降り立ちました。
天善教の教会までは僅かな距離で、川沿いのバス通りを行きます。対岸には清流園というバンガロー村がありますが、やっているような雰囲気ではありません。天善教に関しては知識が無いので、由来でも見てみようと、天善教の教会に登って新しい石碑を見ると、安倍晋太郎・渡辺美智雄・鳩山邦夫などのそうそうたる名前が並んでいて、これはかなりのもんだなと思いました。しかし何となく寂れ気味であるのが気になりました。そして、教会の石段に座って文庫本を読みながらバスを待ちました。
鹿沼行きのバスは行きと同じように誰も乗せずにやってきました。朝と同じ運転手さんで、熊が出たことや、今は狩猟のシーズンに入っていること。清流園は実はやっていて、昨日岩風呂を掃除したばかりらしいこと。実はバスを待つ間に500円で入っていけたこと。天善教はかつてはかなり流行っていたことなどなど、いろんな話を聞きながら板荷駅に向かいました。結局乗客は増えず、やはり100円でした。なにかすごくいい自然や風景を楽しんだという訳ではありませんが、妙に充実した1日でした。

本文中の写真

  • 笹目倉山山頂の祠と広場
  • 山頂付近よりの鶏鳴山

  • 参考図書・地図
    栃木の山120(随想舎 1997年発行)
    25000図 文挟
    50000図 鹿沼

    坂本バス停付近からの朝の笹目倉山
    その他のコース
    鶏鳴山との縦走コースがありますが、読図のできることが条件の経験者向きコースとのことです。
    交通機関
    小来川は、新鹿沼駅(板荷駅)、今市駅からバスがあります。
    新鹿沼駅、板荷駅からは、鹿沼市より、「くらし・手続き」→「リーバス」を参照下さい。
    今市駅からは、日光市(市営バス)を参照下さい。