藤原岳

 天狗岩 1171m 展望丘 1140m
山域:鈴鹿
2000.2.5


藤原岳は鈴鹿でも一二を争う人気の山である。私にとってはセブンマウンテンの中で最後まで登り残してしまった山となっていたが、冬でも盛んに登られる山で、是非雪のある時に登ってみたいと思っていた。今年も白くなった山々をみながら、そろそろ雪のある山に行きたいと考えていたところ、土曜日の予想天気図は中部日本の真上に高気圧。願ってもないチャンスに久しぶりの冬山の準備を整え、早朝、登山口の藤原町へと向かった。

夜明け前、菰野の方に向けて走っていくと、正面に鎌ヶ岳が出迎えてくれる。見慣れた風景だが、いつも気分を盛り上げてくれるものだ。やがて、稜線の白くなった峰々は朱に染まり始め、快晴の一日が始まった。
大貝戸登山口の登山届に書き込んで全く雪のない登山道に入った。歩き始めてすぐ一合目で、しばらくはどんどん高度を稼ぐ道が続く。二合目でやっと周りに白いものが見え始めるが、まだまだ道は乾いている。三合目からは道にも少し雪が載ってくるが、雪を踏み始めるのは四合目から。ここで尾根の肩にでて、傾斜の緩やかな道となった。そこそこ雪が出てきたので、五合目で冬靴に履き替える。久々のプラ靴は慣れるまでちょっとつらい。六合目からは少し傾斜が増し、雪もある程度付いてきた道を頑張ると冬道や雪崩の危険地帯を表示してある八合目の平地に出た。
八合目から、道は夏道沿いについており、ぐんぐんと高度を上げていく。雪もやっと3〜40センチくらいになって、やっと雪山の雰囲気が出てきた。開けた場所からは、北の伊吹や白山の眺めが綺麗だ。九合目を過ぎると久々の重い靴が効いてきてちょっと一息入れる。この九合目〜小屋の間は、間隔が結構長いような気がした。やっと傾斜が緩くなると、回り込むような道になり、すでに賑わい始めている山荘の広場に到着した。

さて雪原の山頂の散歩は、まずは天狗岩を目指す。いきなり笹藪の中で右往左往してしまったが、抜ければ一本のトレイルがあり、快適な高原の道となる。雪は2〜50センチくらいで気分良く歩ける程度で、霊仙・伊吹や白山・御岳をながめながらの漫歩は快晴の青空の中で楽しい一時だった。緩やかなアップダウンを繰り返しながら樹林に入り、トレイルがあって楽だと思っていると、トレールが途中で引き返していた。以後赤テープを追っての新雪を踏み分けての道は俄然楽しくなった。雪は潜っても膝まで、壺足順調に歩ける程度である。白瀬峠への道を分けたあたりから、吹き溜まりで、股下まで入ってしまったので、せっかく持ってきたワカンをつけた。最後は少し急な斜面を登ると天狗岩の山頂に着く。天狗岩に腰を下ろし、誰もいない雪の中で、静かな一時を楽しむ。時折あたりをかき乱す、サイレン、飛行機の音。それも消えてしまえば遠くにかすかな鳥の声、雪の溶ける音、飛び去った飛行機の余韻は飛行機雲の音....しかしいい天気だ。Tシャツに長袖シャツだけで雪の中にいて全く寒さを感じない。風はそよとも吹かない。立ち去りがたく重い腰を上げて、御池岳を見に行く。どっしりと鎮座しているという雰囲気で立派であった。
山荘まで戻って、今度は展望丘を目指す。たくさんの降りてくる人とすれ違い、山頂に立てばさすがに名に恥じない展望で、天狗岩と御池岳、竜ヶ岳に続く稜線、真っ白な白山と、御岳、中央アルプス、黒い恵那山、遠く南アルプスと少し霞みながらも大展望が広がった。御岳の左の高い山はどこかなあとしばらく悩んでいたが、どうやら北アルプスだ。素晴らしい展望に爽快な一時を過ごすことができた。
山荘までは一気に走り降り、帰路は聖宝寺道を下る。八合目の分岐からの、急な斜面の下りはちょっと凍り気味でロープに掴まりながら慎重に下る。七合目で少し緩やかになるが、谷底の少し上をへつるような道なので、結構気が抜けない。六合目からは普通の道になるが、今度は雪解けで泥んこになっている。まるで春先の道のようだ。最後は、谷底の岩のごろごろした道になり、やがて水の音が聞こえてくると、しばらくして聖宝寺が見えてきた。舗装路を大貝戸登山口まで戻る道は、久しぶりの素晴らしい山行に、心地よい疲れを感じていた。


スナップ:晴れた御池岳 スナップ:御池岳と天狗岩

記録

日 程

2000年2月5日(土)

天 候

快晴

コース

0745 大貝戸登山口 → 0835/55 五合目 → 0935 八合目 → 1025/35 藤原山荘 → 1125/50 天狗岩 → 1230 山荘 → 1255/1330 展望丘 → 1343/1400 山荘 → 1420 八合目 → 1530 聖宝寺登山口

展望丘からの御池岳と天狗岩


参考図書・地図
ヤマケイアルペンガイド 鈴鹿・美濃/名古屋周辺ワンデイハイク
エアリアマップ 霊仙・伊吹・藤原
50000図
25000図