土倉岳

 土倉岳 1049.5m 御池岳南端
山域:鈴鹿
2001.6.17.



昨日の明神平でちょっと疲れ気味ではありましたが、天気もそこそこのようですし、鈴鹿の軽い行程でもと思って出発しました。「鈴鹿の山ハイキング」をめくっていると、土倉岳に登ったことが無く、行程も手頃なのに気が付いたので、まずは茨川をめざして出発しました。

1.茨川へ

県道を菰野から大安に向けて走っていくと、普通は左手には鈴鹿の山並みが広がるはずである。しかし、道中は霞がちではあるが晴れており、あたりも明るいが、鈴鹿の山は真っ白なガスの中に沈んだままだ。先週も同様な雰囲気だったが、いざ山に登ってみると、そこそこの天気だったので、今週もと期待して進んでいった。
石榑郵便局の脇から狭い集落の道を進んでいく。石榑峠に行くのに通い慣れた道で、なんとなく懐かしい。宇賀渓を通過すると、手前の無料駐車場は満車状態であった。
石榑峠を越え滋賀県側に下ってから茨川林道に入る。茶屋川沿いには多くの釣り人がでており、糸をたれていた。ダートの林道をゆっくり走って30分。終点の茨川に着く。ここにも釣り人が数人休んでいた。すぐ先で林道工事をやっているのか、重機やダンプが停まっている。治田峠方面を開削しており、堰堤工事かもしれない。
広場に車をとめ、準備をしてあたりを探してみる。工事の関係でどうも位置関係がよくつかめなかったが、広い河原の小さな建物がある対岸に「ノタノ坂・君ヶ畑」の立派な標識を見つけ、一安心であった。

2.土倉岳

せっかく靴を履いたばかりだが、どうしようもなく再び脱いで渡渉する。細い流れだが、何も水上に出ていない状態では仕方がない。対岸に渡るとしっかりした踏み跡があり、道の脇には満開のコアジサイが並んでいた。すぐに小尾根の先端を乗り越えて、反対側の暗い沢に沿って進む。ノタノ坂への道は、すぐにこの小さな沢も渉って登って行くらしく、対岸にテープがあるとのことである。
さて、足元を見るとやはり蛭が2〜3匹登ってくる。いるとは思ったが、早速のお出迎えだ。足元に気を取られるうちに、ノタノ坂への登り口は気づかずに過ぎてしまった。ノタノ坂方面に行かれる方は、上も下も注意して進まれたい。
さて、足元を見ながら小沢の左岸の踏み跡を辿ると、公社営林地(山火事注意)の看板のあるところで、踏み跡が怪しくなる。ガイドを見るとここから尾根にとりつくとのこと。1人くらい通ったような跡があるので、強引に斜面を上がってみた。
わずかな登りを、蛭に怯えつつ藪をつかんで這い上がったこともあって、ギンリョウソウを斜面に見つけたが、じっくり見る余裕は無かった。もっとも蛭はノタノ坂の入り口あたりの多発地以降は現れなかったが....。
小尾根に出ると、植林地の中の急登になる。薄いが踏み跡は続いており、また手を使う程の登りではない。大汗をかきながらグングンと高度を上げていく。途中で、一瞬傾斜が緩むが、すぐに急坂に戻る。これを登り切ると、P869から延びる緩やかな尾根の先端に出た。
ここからは緩やかな植林の中の道を登って行く。やがて傾斜が出てくるとすぐに前方が明るくなり、鉄塔に出た。鉄塔の切り開きからは、藤原岳と銚子岳静ヶ岳が見えた。茶屋川から見るそれらの山は、いつもと違い尾根がいくつも張り出している。
鉄塔を過ぎると整備された巡視路となって、ある程度の傾斜の中をジグザグに高度を上げる。コアジサイがずっと咲いており楽しい道である。いい道だなと足を動かすうちに主稜線に登りついた。
稜線に出ると緩やかな植林と2次林の混じった道になる。すぐに再び鉄塔巡視路を分け、次のピークへとジグザグに登って行く。このピークの頂上は通らず、道は左に巻いていった。途中疎らな植林地から西側の稜線を眺めることができ、天狗堂がピラミダルでカッコイイ。ピークを回り込むとついに目指す土倉岳が見えた。しかし何と言っても目を惹くのは、その背後の御池であった。ここまで来たのなら、ぜひ御池まで登ってみたくなった。
再び稜線を登っていくようになると、真の谷と土倉岳への分岐に着いた。ここには立派な御池岳の看板が掲げてあった。左に曲がって美しい2次林に入る。今日は滋賀県側は意外とガスがかからず、比較的遠くまで眺めることができた。天狗堂や日本コバ、静ヶ岳、その向こうに竜ヶ岳と姿を見せてくれた。これからしばらくは鈴鹿北部の森に入ることも無いであろう。最後にみんなに見送ってもらって幸せだなぁ..。と、新緑の2次林を歩きながら、しみじみと感慨をかみしめて歩いていった。
やがて河倉峠に出る。峠周辺は微かに道の形は残っているが、もうかなり廃道化している。いつか辿ってみたい気もしてくる。やがて傾斜も緩んで樹林の中で笹に覆われた場所に出た。ピークという感じでは無い。左に笹の切り開きがあったので進んでみると三角点があった。小さな切り開きの中で、ここが本当に一番高いのかなぁ?という感じの所であった。

3.御池の南端

なんとなく薄暗く雑然とした雰囲気で、長居する気にはならず、御池へと向かう。緩やかに樹林の中を下ったあとに出る鞍部は開けていて、いい幕営ポイントかもしれない。その先で土倉谷の源頭を回り込んで笹の斜面を登る。踏み跡は薄く、登りでもあり、少々抵抗される。やがて樹林の中に入ると急な土の斜面に踏み跡が続き、なぜか枯れてしまっているコバイケイソウの中の急斜面を登っていく。そして、樹林から抜けると御池岳の南端に登り着いた。
目の前には緩やかな地形と笹原が広がる。残念ながら今日は土倉岳の地図しかもっていず、どこに行ったらいいかわからない。とりあえず笹原を抜けて向こうの樹林帯まで行ってみる。笹を漕いでいると、目の前で鹿が飛び上がって、数回跳ねて行った。樹林帯を突っ切っていくと反対側に10人くらいのパーティーがいた。彼らもそれほど明確に目的を持たず彷徨しているような感じだ。私も別に行くあてもなく、岩のゴロゴロしたところで目の前に藤原岳と真の谷の方を見ながら少し休んだ。
少しウロウロしてから、土倉岳への下降点まで戻る。ちょうどいい草付きになっており、横になって休む。薄くもやがかかりながらも明るい風景で、遠くに雨乞岳が霞んでいるのまで見える。広大な開放的な風景をビール片手にしばらく眺めていた。今度来るときはちゃんと地図を持って、山頂を歩き回ってみようと思った。

4.下山

下りは元の道をたどってあっという間であった。行きに巻いていった、900m某のピークを帰りは忠実にたどってみた。かつて巡視路が無かった時は、ここを通る人たちはこれを越えていったんだろうなと思う。ピークで尾根は直角に向きを変える。
往きに稜線に登り着いた登ってきた分岐を通り過ぎ、少し下って稜線上の鉄塔を通過。その次の鉄塔で左に下る。ノタノ坂の少し手前である。少し下ると再び鉄塔。ここで下らず右の踏み後に入ると、君ヶ畑からの道に合流。細い踏み跡を、右へ右へと振られたあと、一気にもとの稜線に水平に戻ってきた。ここからは古くから踏まれた峠道の風情で、2次林の美しい森をどんどん下る。沢音が聞こえてくると、行きに見過ごした分岐に到着。再び蛭をケアしながら茨川へと降り立った。下りは早いとはいえ、2匹ほど付いていた。茨川からはあわてることも無く林道を戻る。時速10〜20kmでは、10kmの道は30分かかる。茶屋川の眺めを楽しみつつ国道に出て、再び石榑峠を経て、戻っていった。

私にとって、もうそろそろ鈴鹿の山もしばしのお別れかなぁと思う頃、北部の2次林を歩いて、また出張ついでに遊びに来ようと思うのでした。山々の風景を眺めつつ、いろんな山に登ったなぁと思っていました。
このコースはそれほど難しい所もなく、御池への最短コースかなぁと思いますが、特に登りは道標の無い場所もあり、地図には赤線もないので、行かれる場合は注意して下さい。

本文中の写真

  • 登山道にはコアジサイが満開
  • 土倉岳の鞍部から見上げる御池岳
  • 御池岳南部のカレンフェルト
  • ノタノ坂から茨川に下る樹林の道



  • 記録

    日 程

    2001年6月17日(日)

    天 候

    曇り 時々 晴れ

    コース

    1040 茨川 → 1125/30 R192鉄塔 → 1145 P869主稜線 → 1205/10 真の谷分岐 → 1218 河倉峠 → 1225 土倉岳 → 1250/1400 御池岳南端 → 1415 土倉岳 → 1422 河倉峠 → 1450/55 鉄塔分岐 → 1500 L193鉄塔 → 1540 茨川

    稜線から見る土倉岳と御池岳


    参考図書・地図 その他のコース
    昭文社 エアリアマップ 霊仙・伊吹・藤原
    鈴鹿の山ハイキング 中日新聞社
    25000図 竜ヶ岳・篠立
    50000図 御在所山・彦根東部
    土倉岳へは、一般道とは言えないと思いますが、以下の2つのコースが考えられます。
    1.君ヶ畑よりノタノ坂を経て本文のコース
    2.白船峠から一旦真の谷に下り、再び土倉岳からの尾根に登り返して本文のコース
    ある程度のルートファインディングは必要でしょうが、藪こぎはあまり無いと思われます。
    バス
    公共交通機関利用の場合は、君ヶ畑から歩くケースが一番楽に登れると思います。しかしそれでも林道歩きが長くかかります。
    君ヶ畑へは、八日市から永源寺役場まで近江バス(0748-22-5511)
    永源寺役場よりさらに永源寺町営バスに乗換、終点下車となります。
    白船峠からの場合は、三岐鉄道西藤原駅下車で、坂本谷などから登ることになります。