三国岳

 三国岳 911m 烏帽子岳 870m

山域:鈴鹿
2000.9.24


鈴鹿の主要なピークの中で、未だ立ったことのないものの一つが、三国岳であった。中でも阿蘇谷のコースは素晴らしいという評判があり、登るときはここからと考えていたが、激しい雨の土曜日の翌日は朝から起きると明るい日差しが差し込んでおり、さっそく登山口へと向かった。その様な状況なので、蛭だけが気がかりであったのだが....。

阿蘇谷の登山口に車を停めて舗装路を少し進むとすぐに山道になる。左下遠くに沢音が聞こえる道に入ると、やがてすぐに沢が寄り添ってくる。美しい渓谷を楽しみながらの歩きであるが、雨後の道でもあり、やはりすぐに蛭が現れた。以後時々立ち止まってつつ払いながら進むことになった。
微かな炭の臭いとともに現役の炭焼窯が現れ、さらに谷を奧へと進むとワサビ田に沿う。ここから斜面をジグザグに急登し小尾根を越えると、再び沢に沿った道を辿る様になる。このあたりはだんだん沢幅も狭くなり、左右に渡り返しながら行く。途中左に巡視路らしき道が別れたあとで、一旦沢から別れて、右に落葉樹の広場の様な美しい地形に入っていく。このあたりはなかなかの雰囲気で気分のいい素晴らしい道である。
ゆるやかに樹林の中を行くと再び小沢を渡り、その後細い流れに再び沿う。そのまま行ってしまうと、道が細くなり、左の尾根に巻き上げられそうになったので、おかしいな?と30mくらい戻ると道は右の斜面に上がっていた。踏み跡からすれば結構直進してしまう人もいそうだ。右に折れると緩やかな落葉樹の斜面を、ゆったりとジグザグを切りながら登って行く。ここまでは連続した登りはあまりなかったので、やっと高度を稼いでいく感じである。それもそんなに長くは続かず、五僧からの尾根に寄り添うように合流した。尾根に出ても蛭は登ってきており、意外なことに最後の斜面の登りになっても、この道は蛭が絶えなかった。
稜線を三国岳に向けて登っていくと、すぐに大君ヶ畑からの道を合わせ、三角点のピークを巻いていく。稜線に戻ったところで、踏み跡を辿って三角点まで往復してみる。この間は露岩もあり展望が良く、正面に三国岳の双耳峰を見渡すことができた。但し、今日はガスがかかっていて暗くすっきりとしないのが残念であった。
890mへは急な坂をどんどん登っていく。ある程度登っても傾斜をゆるめながらじりじりと登りが続くので、気分的にはもどかしくなるような登りであった。たどり着いた三国境のピークは御池岳の方が刈り開かれているが、ここもガスにスッポリと入っていた。最高点の911mへは、広い尾根を辿って僅かである。ただ、木々の枝が低く、腰をかがめながら通過していくことになる。最高点には特にそれを示す標識類は無いが、樹林の中に石が積まれていた。この山頂で今日最後の蛭をはじきとばす。下から足についたのを数えていたが、この日43匹めであった。
少し戻って烏帽子への稜線を辿る。890mの山頂から少し下ったあたりに右に烏帽子を示す赤テープがあり、急な広い斜面をテープを追って降りていく。ある程度下ると展望のいい露岩があり、ここに立つと烏帽子から拘留孫までの稜線がきれいにみわたせた。あちらの方は晴れていて明るいようだ。さらにテープと踏み跡を追って下ると広々とした台地状の所を通る。ここにはノタ場もあり、美しい樹林帯がある。ここを過ぎれば、基本はヤセ尾根の登降をくりかえす。踏み跡はしっかりしており、テープも付けてあるので、注意していけば問題ない。随分歩いたなと思う頃、送電鉄塔下の展望のいい広場に出たので休憩した。正面には青空の下に烏帽子岳、背後は重い雲の下に三国岳、南はぼやぁと霞んだ中に藤原岳である。
ここからは巡視路となるので、ゴムの階段がしつらえてあり急に歩きやすい道にかわる。シャクナゲの多い道は、地面は群生するイワウチワの葉に覆われている。時山への分岐はとりあえず通過して、一応烏帽子岳の山頂まで行ってみる。なぜかこの1年のうちに、3度目の烏帽子岳なのだ。笹の中の急坂を登って着いた山頂は、前の2回が、冬枯れそして芽吹きの時期に来ていたために、今日は鬱蒼としているなと感じた。
下山は歩きやすい北尾根を下る。従って烏帽子岳の三角点はパスして、さきほど通過した分岐まで戻る。途中で霊仙山の方を見たらすっぽりガスの中であった。北尾根の入り口は狭くて見過ごしそうな所だが、入ってみると落葉樹の美しい樹林の中の、広く快適な道である。稜線直下の僅かな急坂を過ぎると、淡々とした尾根の下りが続く。上の方はイワウチワがたくさん群生しているので、ここも春はとても綺麗なことだろうと思う。
足任せでどんどん下り、送電鉄塔に出ると眼下に時山の集落が見え、正面にすっかり植林の山となっている猿登と、奧深そうなソノドが見える。さらに階段道を下れば時山のバンガロー村。赤い橋を渡って車道に出れば、阿蘇谷の登山口はすぐであった。

本文中の写真(順に)

  • 阿蘇谷途中の公園のような落葉樹の広場
  • 三国〜烏帽子稜線の鉄塔から見る烏帽子岳


    記録

    日 程

    2000年9月24日(日)

    天 候

    曇り時々晴れ

    コース

    0935 登山口 → 1010 炭焼小屋 → 1020/30 ワサビ田上の乗越 → 1120/30 県境稜線 → 1145 815m三角点 → 1205 三国岳(890) → 1212/25 三国岳(911) → 1232/35 三国岳(890) → 1340/50 鉄塔 → 1415 烏帽子岳 → 1530 時山バンガロー村

    阿蘇谷の現役の炭焼小屋


    参考図書・地図 その他のコース
    エアリアマップ 霊仙・伊吹・藤原
    アルペンガイド 鈴鹿・美濃
    25000図 篠立
    50000図 彦根東部
    鞍掛峠から稜線通しで三国岳に達する
    五僧から稜線を南下して三国岳に達する(以上2つの稜線は藪あり道が細い)
    大君ヶ畑から鳴川谷・西尾根を経て三国岳(一般的)
    毘沙門谷からダイラの頭を経ることも考えられるが藪漕ぎの覚悟が必要か。
    バス
    大垣駅から近鉄バス時行き または
    近鉄北勢線 阿下喜駅から、三重交通バス時口行き
    いずれも本数少なく、事前調査要
    名阪近鉄バス大垣 0584-81-3326 三重交通北勢 0594-72-2469