鍋尻山

838.8m

山域:鈴鹿
2000.10.21


霊仙山の西には、600〜800mの山々が隆起し、広い台地状の山稜をなしている。近江カルスト台地とも言われるこのあたりは、山中にたくさんの集落が点在する不思議な場所であるが、今ではかなりの集落が廃村、あるいは夏期のみの滞在となりつつあるらしい。今回はその中でも主峰的存在の、鍋尻山と高室山を訪ねた。元々標高の高い山中の集落が起点となるため、標高差も少なく軽いハイキングである。

アサハギ林道を経て保月の集落に入ると1人の老人がゆっくりと道脇を歩いていた。ここも以前は五僧越えの要所として300人を越す人が住んでいたと言われるが、今はかつての村人が避暑を兼ねて訪れるだけになっているということである。その先で、3匹の猿が道を横切っていく。こちらの方がどうやら定住者ということらしい。
集落の西の端に、脇ヶ畑分校跡の広いスペースがあり、そこに車を停める。ここのトイレはかつての小学校の一番端だけ切り取って残したという風情である。車道を少し進んだ所に登山口の看板があり、山道へと入っていく。最初は少し広い道もすぐに普通の山道になり、植林地を奧へと進む。すぐに左へと導く道標が現れるが、直進は岳の峠を経て河内へと下るかつての峠道であろう。入り口は道型はしっかりしているが、笹に覆われていた。
植林の中をゆっくり登っていくと、やがてカヤトの道に変わる。正面が鍋尻山の山頂で、ここからは菊の花の咲く明るい道だ。右手に三国岳の双耳峰が見える。傾斜はだんだんと急になり、かなり息が切れる。ここ数日の不摂生のせいかもしれない。紫のトリカブトなども現れるところは、先日訪ねた霊仙山と同じである。一旦樹林の中に入り、石灰岩のゴロゴロしたところを過ぎると、やがて山頂部の一角に立ち、あとは明るい緩やかな道となる。息を整えながらゆっくり歩くと、三角点のある山頂に着いた。
少し北に下がったところから、正面に霊仙山が大きい。笹峠から近江展望台への斜面、南霊岳、そして西南尾根。ちょうど2週間前に歩いた道が一望できたのでとても楽しかった。霊仙山には琵琶湖の方角からどんどん雲が湧いてきていた。しばらく待ったが、残念ながらここでは山上に青空が広がるのを見ることが出来なかった。ちょっと名残惜しくはあったが、腰を上げてもとの道を戻る。下りはかなり滑りやすく、行きに息が切れたのは、体調よりも急登のせいだなと思った。

本文中の写真(順に)

  • 脇ヶ畑小学校跡
  • 鍋尻山山頂

    記録

    日 程

    2000年10月21日(土)

    天 候

    晴れ時々曇り

    コース

    1015 保月 → 1045/1105 鍋尻山 → 1130 保月

    山頂より霊仙山の展望


    参考図書・地図 その他のコース
    エアリアマップ 霊仙・伊吹・藤原
    25000図 高宮
    50000図 彦根東部
    河内から笹の峠を経て登ってくるコースがあるが、道が解りづらいとのことである。
    バス
    特になし
    河内から入る場合は、近江鉄道多賀駅から3時間以上。タクシー利用になります。